1DKから脱出できず、満員電車には慣れず、都会の距離感が解せず、友人もできず――「ITエンジニア U&Iターンの理想と現実」。徳島編は「東京に選ばれなかったエンジニア」が、徳島で人生を取り戻すお話です。
はじめまして。「GTラボ」代表取締役、坂東です。「電脳交通」という交通系会社など幾つかのベンチャーでCTOもやってます。
39歳フルスタック寄りのエンジニア。徳島で生まれ育ち、東京で働き、家族を持ち、今はUターンで徳島に住んでいます。
「U&Iターンの理想と現実」徳島編は、ロハスでキラキラした移住話や、人間関係に悩む田舎暮らしではなく、普通にUターンしたエンジニアの例として自分語りをします。これから上京する人も参考にしてください。
僕は地元徳島の工業高専を卒業しました。卒業後は下記のようなレールを進めば、安定が保障された人生を送れるはずでした。
1. 日亜化学、大塚製薬など製造業に就職
2. 25歳ごろで結婚。第一子を授かる
3. 30歳で第二子を授かり、一軒家を建てる
4. 老後に備え貯金をしつつ、年1回ぐらいの家族旅行
でも、僕はプログラミングが好きでした。
学校で教わる「Z80でポケコンでC言語」という工業系のそれでは物足りず、「I/O」を読んだり、「ベーマガ」や「NIFTY」に投稿したりしました。
だから、「IT企業に就職したい。できれば自分も使うサービスを出しているところに……」と思ったのです。でも徳島を見回すと、地場SIerは業務系で地味というイメージがあり、コンシューマー向けの「ジャストシステム」は大卒しか採ってくれませんでした(1999年当時)。
仕方がないので上京することにしました。東京に憧れていましたし、「田舎で歳を重ねるなんて嫌だ。親もうざったい……」とも思っていましたし。
そして、東京の自動車系のITベンチャーに就職しました。有名メーカーと共同開発したり、テレビCMを打つような自社サービスに携わったりと、憧れのエンジニア生活@東京の始まりです。
想定外だったのは、IT業界ははやりすたりで会社が傾いたり、自分も飽きっぽかったりで、転職を繰り返すはめになったことです。
気がついたら30歳目前。東京のIT業界にいながら、年収は地元に残った友人以下、1DKから脱出できず、満員電車には慣れず、都会の距離感が解せず、友人もできず……何者にもなれない感覚がずっとありました。
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