JELLYFISHは奥多摩の廃校を活用し、高度IT人材育成を目的とした学校を開校した。学校は同時にラボ型開発の拠点でもある。生徒たちは語学やエンジニアとして必要な思考力などを学び、同時にアルバイトとして開発経験も積む。ゆくゆくは自身のアイデアやプロダクトで地域活性化も狙う。
新宿から西へ西へと電車を乗り継ぎ、JR青梅線川井駅へ。降り立つと、多摩川に掛かる奥多摩大橋が目に入る。曲がりくねった坂道と階段を上ると、学校らしき建物にたどり着く。
ここは「Bridge Institute of Technology」(通称BIT)。廃校となった旧古里(こり)中学校を活用し、海外から学びに来た生徒に、語学やエンジニアとして必要な思考力、そしてITの実務を教えている。
BITを運営しているのは、日本およびアジアで教育や人材事業を展開している「JELLYFISH」(※)。ここでどのような事業が行われているのか、同社 取締役 肥田淳氏にお話を伺った。
肥田氏は東南アジアで現地法人の立ち上げなどを経験した後、2016年に帰国。次のアクションとして日本の課題解決となる事業ができないかと考えた。日本では少子高齢化や地方の過疎化、IT人材不足が深刻だ。一方、JELLYFISHの強みは海外人材との接点が豊富であること。肥田氏は「何かシナジーが起こせないだろうか」と模索した。
今は地方にシステム開発拠点を構えるIT企業が増えてきている。肥田氏は「海外ではまだ電気が不安定なところもあるが、日本ではどこでも電気と通信インフラが整備されている。地方でもあらゆる可能性がある」と地方に目を付けた。そうした中、文部科学省が全国にある廃校施設を紹介し、事業を募集する「〜未来につなごう〜『みんなの廃校』」プロジェクト」を発見した。
利用可能な廃校の中に、奥多摩の旧古里中学校があった。九州や四国などに比べれば奥多摩はそう遠くない。また学生時代は八王子に通っていた肥田氏にとって、奥多摩は親しみがある土地だった。BITの開校と同時に、品川から川井の隣にある古里(こり)に引っ越したという。ちょっとしたIターンだ。
日本が抱える地方の過疎化やエンジニア不足という課題解決が「目標」にあり、JELLYFISHには海外人材との接点が豊富という「強み」があり、廃校になった中学校の施設をまるまる使えるという「拠点」が加わった。そうして浮かび上がったのが、「奥多摩の廃校で外国人向けの語学教育と開発の事業を行う」ことだった。
海外にはIT教育を受けた若い人材が多くいる。中にはクールジャパンに憧れ、日本で働きたいと思う若者もいる。一定のエンジニア経験がある海外の若手人材に語学教育を提供し、同時にエンジニアとして開発に参画する場を提供すれば、彼らは語学知識と開発経験の両方が得られる。JELLYFISHはここで、グローバルな高度IT人材の育成を目指して動き出した。
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