「AIを活用する企業では人材がさらに必要になる」のはなぜか Linux Foundationがレポートを発表:日本の技術系人材は著しく不足
Linux Foundation Japanは、レポート「2025年 日本の技術系人材の現状レポート:技術者採用の動向、AIによるディスラプション、スキルのギャップ」を発表した。クラウドコンピューティングやAIの分野で日本の技術系人材が著しく不足しているとしている。
Linux Foundation Japanは2025年6月16日、レポート「2025年 日本の技術系人材の現状レポート:技術者採用の動向、AI(人工知能)によるディスラプション、スキルのギャップ」を発表した。これは、Linux Foundation Researchが実施した調査結果をまとめたもの。それによると、AIは全体としてはプラスの雇用効果をもたらすと期待されるものの、職務の再形成や初級技術職の減少を招いているという。
「AI活用で雇用が拡大する」のはなぜか
レポートによると、日本はコンピューティングインフラの近代化と技術系人材の確保の両面で、他の地域(北米、ヨーロッパ、日本を除くアジア太平洋地域)に著しく後れを取っている。レポートによると、日本企業がパブリッククラウドで実行しているワークロードは34%で、他の地域を下回っていた。
主要な技術分野で人員不足に直面している日本企業の割合は70%を超えており、この値は他の地域よりも52ポイント高い。
こうした人材不足はAI関連のスキル領域で特に深刻だ。ごく一般的なAIスキルでさえ、日本企業の40%未満にしか備わっていない。レポートでは「この状況が、AIの効果的な導入と拡張に大きな障壁を生み出している」と分析している。
日本企業の97%が、主要な戦略領域でAIが重要な価値を提供すると見込んでいる。そのため、高度なスキルを備えた人材の需要が一層高まっている。レポートによると、2026年まで一貫して雇用の増加が見込まれていた。一般的には、AI活用が進むことで労働力の需要が減少すると考えられているが、その認識とは異なる結果となった。
ただし例外として、エントリーレベルのポジションについては減少が懸念されている。従来型キャリア形成の道筋や、職業的な成長の機会が妨げられる恐れがあり、企業はその対策としてアップスキリングを検討している。レポートによると、アップスキリングを戦略的な優先事項として認識している日本企業の割合は94%に及んだ。
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