「自律」に疲れたエンジニアへ 身近な課題から始める、オリジナルのリスキリング:仕事が「つまんない」ままでいいの?(129)(1/3 ページ)
「自律せよ」というメッセージに疲れていませんか? 終身雇用が崩壊し、変化の速い時代に求められる「自律」の本質を見つめ直し、あなたらしい一歩を見つけるためのヒントをお届けします。
皆さん、「自律せよ」というメッセージに、疲れていませんか?
「これからは、会社にキャリア形成をゆだねるのではなく、個人が自らの意思でキャリアについて考え、主体的に形成を」――ちまたには、このようなメッセージがあふれています。
終身雇用制度が崩壊し、個人が自身のキャリアに責任を持つことが求められるようになりました。加えて「人生100年時代」となり、「いままでより長く生きるのだから、継続的に学び続けて、変化に対応しながら成長していこう」などとも言われます。
時代の変化に対応するために「リスキリング、学び直しが大切」とも言われますよね。そのために「新たな資格を取らなくちゃ」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
「自律せよ」というメッセージ自体は間違いではありません。むしろ正しい。でも……何となく「せかされている感じ」がしたり、「いまのままで大丈夫だろうか?」といった漠然とした不安を感じたりしているのではありませんか?
確かに、企業が個人に生涯のキャリアを保証する終身雇用は難しくなっていますし、雇用も流動化しています。また、近年のAI(人工知能)登場のように、技術の変化や社会の変化が速く、企業が個人のキャリアに責任を負うことが難しくなってきていることもあるでしょう。
だからといって、それほどまでに「自律せよ」と求められると、ちょっと焦ってしまうし、何となく不安になってしまう。また、「いままでの人生は間違っていたのか」なんて思ってしまう。特に、ある程度経験を重ねてきたエンジニアほどそう感じるかもしれません。
時代や社会の変化に合わせて新しいスキルや知識を学び続けることも大切です。ですが、「そもそも、自律って何?」「自律しているって、どういう状態?」が分かりにくい。明るい未来が描けない中で、「自律せよ」「もっと成長せよ」と言われても、目的もないまま走らされているようで、疲れてしまいますよね。
そもそも、自律とは何か?
そもそも、自律とは何でしょうか? 幾つかの辞書を調べてみると、おおむね以下のようなことが書かれていました。
- 他からの支配や制約などを受けずに、自分で立てた規範に従って行動すること
- 自然的欲望などに拘束されず、自らの意志によって普遍的道徳法則を立て、これに従うこと
「自律」と「自立」は似ていますが、「自立は、他者に依存せず、自分の力だけで行動すること」「自律は、自分の規範やルールに従い、自分をコントロールすること」と区別されています。
これらを見ると、自律にはまず「内発的な動機」が必要そうです。周囲から「自律せよ」と言われて、資格の勉強などをしている=「外発的な状態」は、本当の意味での「自律している状態」とはいえないのかもしれません。
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