AI活用は不正、能力不足、怠惰? AIエージェント導入に対する従業員の懸念を解消する方法をSalesforceが解説:48%が「AIの使用を上司に伝えにくい」
Salesforceは、AIエージェント導入に対する従業員の懸念を解消する方法を同社のブログで解説した。上長はデジタル労働力の台頭と、それが労働力に与える影響を認識することが重要だとしている。
Salesforceは2025年6月12日、AI(人工知能)エージェント導入に対する従業員の懸念を解消する方法を同社のブログで解説した。
なぜAIの利用に負い目を感じるのか
Slackが2024年11月に実施した調査「Workforce Index調査」(2024年秋版)によると、一般的な業務で「AIを使用することを上司に伝えることにためらいがある」と回答した人の割合は48%だった。その理由としては「AIの使用が不正行為のように感じられる」(47%)、「能力不足と判断される恐れがある」(46%)、「怠惰な印象を与える恐れがある」(46%)が上位に並んだ。
Salesforceは、こうした懸念に対処するには「デジタル労働力」(例えば24時間365日稼働し自律的にタスクを完了するAIエージェント)の台頭と、それが労働力に与える影響を認識することが重要だとしている。
オープンな文化、タスクの明確化が重要
Salesforceのロリ・カスティーリョ・マルティネス氏(人材育成、開発担当エグゼクティブバイスプレジデント)は「従業員がAIを安心して活用するためには、経験を通して学べる、『オープンで透明性のある文化』を築くことが不可欠だ」と述べている。
同氏はSalesforceの従業員(7万人)のキャリア形成とスキル向上を支援する立場にあり、特定のタスクに限定してAIツールを使っているという。そのためマルティネス氏は「AIエージェントに割り当てるタスクを明確化すること」と「その使用についてオープンにすること」の重要性を指摘している。
「ツールは人間のスキルや判断力と組み合わせて使うことで最も効果を発揮する」(マルティネス氏)
Salesforceのルーカス・プエンテ氏(プロダクトリサーチ&インサイト担当バイスプレジデント)は、「AIを使うべきか否か、という二者択一の問題ではなく、具体的にどのような仕事をAIで遂行すべきか、AIを活用して生産性を向上できる具体的なユースケースは何か、という点を繊細に見極めることが重要だ」と指摘する。
同氏は、「校正ツールを使う人がズルをしているとか、『Googleマップ』を使って探している店を探す人が怠け者などと考える人はいない。こうした技術は生活や仕事に深く根付いている。AIはそこに近づいているが、まだ完全には到達していない」と述べている。
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