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「ブルースクリーン」が表示される原因と対処法を冷静に学ぼうビジネスパーソンのためのIT用語基礎解説

IT用語の基礎の基礎を、初学者や非エンジニアにも分かりやすく解説する本連載、第30回は「ブルースクリーン」です。ITエンジニアの学習、エンジニアと協業する業務部門の仲間や経営層への解説にご活用ください。

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1 ブルースクリーンとは

 ブルースクリーンは、Windows PCが重大なエラーを検知した際に表示する画面のことです。ブルースクリーン・オブ・デス(BSOD)とも呼ばれます。

 この画面は、Windowsがシステムを保護するために動作を強制的に停止し、エラーの内容を表示する仕組みです。画面上にはエラーメッセージなどの情報が表示されるため、問題の手掛かりを得られます。


図1 ブルースクリーン画面(引用:Windowsのブルースクリーンエラーの解決 Microsoft

 突然画面が青くなり操作ができなくなることから、故障のように見えますが、実際は深刻な障害からデータやシステムを守るための保護動作です。原因によっては自力で復旧可能なこともありますが、ハードウェアの障害や深刻なシステム破損の場合は、専門的な対応が必要になることもあります。

2 ブルースクリーンの主な発生要因

 ブルースクリーンの主な原因は、ハードウェアやソフトウェアの不具合によるものです。

 ハードウェア面では、メモリやストレージの故障、CPUやメモリの過熱、周辺機器の接続不良などが挙げられます。例えばPC内部に熱がこもるとシステムが異常を検知し、自動で停止することがあります。

 ソフトウェア面では、互換性のないドライバ(※1)のインストールや、Windowsの更新プログラム、新しいソフトウェア導入後の不整合(ハードウェアやOS、既存ソフトウェアとの間で発生する相性問題や設定ミスなど)が要因になることがあります。これらがシステム内部で競合を起こすと、Windowsはデータ保護のため強制的に動作を停止し、ブルースクリーンを表示します。また、ウイルスやマルウェアの影響によってもシステムが不安定になり、同様の現象が起こることがあります。


図2 ブルースクリーンの主な原因分類
※1 ドライバ:OSがハードウェアの制御や操作命令を正しく実行するためのソフトウェアのこと。新しい機器を接続した際や、Windows Update実行時にインストール、更新される。

3 昨今のブルースクリーン事例

 2024年7月、世界中のWindows PCやサーバでブルースクリーンが大量に発生する障害が起きました。原因は、セキュリティ企業CrowdStrikeが配信したウイルス対策ソフトウェア「Falcon」の更新プログラムに不具合があったためです。

 この更新によりシステム内部で異常が発生し、業務用PCだけでなく、商用システムが動作するサーバまでもが強制的に停止しました。航空会社のチェックイン端末、病院の受け付けシステム、金融機関の業務サーバなどにも影響がおよび、世界各地で業務の中断が相次ぎました。

 この事例は、信頼性の高いソフトウェアであっても、更新内容には十分な検証が必要であることを改めて示したといえます。こうした事態を防ぐためには、ソフトウェアの更新を一斉に適用するのではなく、まず一部の端末で試験的に導入して問題がないことを確認してから全社的に展開する、といった段階的な運用が必要です。また、事前検証用のテスト環境を整え、更新前に問題の有無を確認する仕組み作りも有効です。さらに、自動更新を管理者の判断でコントロールできるようにすることで、想定外のトラブルを未然に防ぐことができます。

4 ブルースクリーン発生時の基本的な対応手順

 ブルースクリーンが発生した際は、まずは画面に表示されたエラーメッセージなどの情報を記録しましょう。これらは原因を特定する上で重要な手掛かりになります。

 業務用PCでは、USB機器などの周辺機器を一度取り外し、必要に応じてシステム管理者へ連絡し指示を待ちます。サーバ環境においては、影響範囲や再起動のタイミングが業務に直結するため、勝手に再起動せず、必ずシステム管理者などへ情報を共有し、ログ取得や原因調査を優先することが重要です。

 再起動後も同じ症状が発生する場合は、セーフモード(※2)での起動、復元ポイントの利用、必要に応じてバックアップからのリストア(※3)などを検討します。PC、サーバいずれの場合も、「安易な再起動」よりも「正確な状況把握」が復旧への第一歩です。

※2 セーフモード:Windowsを最小限のドライバと設定で起動するモードのこと。トラブルの原因調査や修復に使用する。
※3 リストア:バックアップデータからシステムやファイルを以前の状態に戻すこと。

5 日常的な予防策と心構え

 ブルースクリーンの発生を未然に防ぐためには、日頃からブルースクリーンの発生要因を作らないことが大切です。

 セキュリティの観点からすると、一般的にはWindowsの更新プログラムやドライバを最新の状態に保つことが推奨されます。しかし、全ての環境において即時アップデートを適用することが、安定したシステム運用の観点からすると最善とは限らないことがCrowdStrikeの事例から分かります。ビジネスや行政をはじめ、あらゆる分野でデジタル化が進む現代においては、システムの安定稼働が社会全体の信頼や継続性を支える重要な基盤となっています。

古閑俊廣

BFT インフラエンジニア

主に金融系、公共系情報システムの設計、構築、運用、チームマネジメントを経験。

現在はこれまでのエンジニア経験を生かし、ITインフラ教育サービス「BFT道場」を運営。

「現場で使える技術」をテーマに、インフラエンジニアの育成に力を注いでいる。

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