IPv4の枯渇に備えよ――IPv6の特徴と必要性:ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(32)(2/2 ページ)
本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。
正解
a
解説
選択肢aは省略可能表記に従って省略されています。選択肢bは、第3ブロックの終わりの0が省略されているため誤りです。選択肢cとeは、「::」を2度使用しているので誤りです。選択肢dは、第2ブロックの終わりの0が省略されているため、誤りです。
IPv6のアドレス設定
IPv6アドレスの設定方法は主に3つあります。
● 手動設定
アドレスを固定する必要があるデバイスでは、手動で設定します。
● DHCP(ステートフル)
IPv4と同じようにDHCPサーバからアドレスを取得することも可能です。サーバがどのようなアドレスを割り当てたのか管理していることから、ステートフルと呼ばれます。
● オートコンフィグレーション(ステートレス
IPv6から新たに追加された方法です。ルータからホストにプレフィックス(ネットワークアドレス)、デフォルトゲートウェイなどの情報を送信します。ホストはその情報を基に自身のMACアドレスからIPv6アドレスを生成します。DHCPがなくてもネットワークに接続できるプラグ&プレイが可能です。DHCPサーバのようにアドレスの割り当てを管理していないことから、ステートレスと呼ばれます。
IPv4からIPv6への移行手段
現在のIPv4からIPv6ネットワークへの移行は、一晩で行えるようなものではなく、段階的に移行しようという計画になっています。そのため、IPv4からIPv6へ移行する際には、IPv4とIPv6ネットワークが混在する環境となります。IPv4からIPv6へ移行する技術は、次の3つです。
● デュアルスタック
移行技術の最も基本となるもので、IPv4とIPv6の両方に対応したデバイスです。デュアルスタックのホストやルータはIPv4とIPv6の両方のパケットを扱うことが可能です。あて先がIPv4ホストのときはIPv4パケットを、あて先がIPv6ホストのときはIPv6パケットを送信する、という使い分けができます。
● トンネリング
IPv4ネットワークを介してIPv6ネットワーク間で通信を行いたいとき、トンネリングを利用します。トンネリングにより、IPv4内部にIPv6パケットをカプセル化します。これによって、離れてしまったIPv6ネットワークのホスト間をIPv4ネットワークを通して接続できます。トンネリングを行うにはIPv6とIPv4ネットワークの境界にデュアルスタックルータが必要です。
● プロトコル変換
IPv4ヘッダとIPv6ヘッダを相互に変換することによって、IPv4とIPv6ネットワークを接続する機能です。
確認問題3
問題
IPv4ネットワークを介して、IPv6ネットワーク間で通信を行う技術を1つ選択してください。
a.デュアルスタック
b.プロトコル変換
c.トンネリング
d.NAT
正解
c
解説
IPv4ネットワークを介してIPv6ネットワーク間で通信を行いたいときは、トンネリングを利用します。IPv4内部にIPv6パケットをカプセル化することにより、離れてしまったIPv6ネットワークのホスト間をIPv4ネットワークを通して接続することができます。従って、選択肢cが正解です。
筆者プロフィール
齋藤理恵(さいとうりえ)
グローバル ナレッジ ネットワーク ソリューション本部に在籍。Cisco認定トレーナー。トレーナー歴は11年。マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズなどIT業界でトレーナーとして活動。現在は、グローバル ナレッジ ネットワークで、Cisco認定トレーニングコース(CCNA、CCNP)、ネットワーク系オリジナルコースを中心に講師を担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら。
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