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AI時代のソフトウェア開発、差別化要因はAIではなくなる? Gartnerが分析90%がAIアシスタントを活用へ

Gartnerは、ソフトウェアエンリニアリングに関する2025年以降のトレンドを発表した。同社は「将来を見据えた効率的なエンジニアリング手法を導入するためのヒントになる」としている。

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 Gartnerは2025年7月1日(米国時間)、ソフトウェアエンジニアリングにおける、2025年以降の戦略的トレンドを発表した。同社のヨアヒム・ヘルシュマン氏(バイスプレジデント兼アナリスト)は、「AI(人工知能)の技術やツールが、ソフトウェア開発の在り方を根本から変えている。今、行動を起こすことが、将来の成功につながる」と説明する。

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ソフトウェア開発を変革する6つのトレンドとは?

 Gartnerが取り上げるトレンドは以下の6つ。

1.AIネイティブなソフトウェア開発の進展によって人間の役割が変わる

 ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)にAIツールを組み込めば、SDLCのタスクの大部分を自律的(または半自律的)に処理できるようになる。Gartnerは、2028年までに開発者の90%がAIコーディングアシスタントを利用するようになると予測している。この結果、開発者の役割はソフトウェアの実装から開発の指揮へと移行し、問題の解決とシステムの設計、高品質な成果物を提供することに焦点を当てるようになるという。

2.ソフトウェア開発における大規模言語モデル(LLM)の導入が加速する

 Gartnerは「LLMを活用することで、アプリケーションが人間との対話に似た形で知的かつ自律的に対話できるようになり、それがソフトウェアエンジニアリングに変革をもたらしている」と分析。2027年までに55%以上の開発チームがソフトウェア開発にLLMをベースにした機能開発に取り組むと予測している。

3.プラットフォームエンジニアリングとAI機能の統合を進める企業が増加する

 「プラットフォームエンジニアリング」は、開発者の効率的な作業を支援するため、セルフサービス型の社内開発プラットフォームを構築、運用する取り組みだ。Gartnerはこれを「内部開発プラットフォーム」(IDP)と定義し、2027年までにIDPを持つ企業の70%は、IDPに生成AIの機能を導入するとみている。

4.「タレント密度」が開発チームの価値を左右する

 高度なスキルを持つ人材が集まったチーム(Gartnerは「タレント密度が高いチーム」と定義)は高い効率性と適応性を発揮し、顧客価値を向上させられる。Gartnerによると、タレント密度の高い開発チームを構成できるかどうかが、差別化要因になるとしている。ハーシュマン氏は、「開発チームの競争力を維持するためには、従来の採用手法ではなく、タレント密度が高いチームの構築に注力する必要がある」と指摘している。

5.オープンソースAIモデルの活用が進む

 プロプライエタリ(ソースコード非公開の商用製品)なAIモデルではなく、オープンソースのAIモデルを利用することで、柔軟性の向上、コストの削減、ベンダーロックインからの脱却が可能になる。Gartnerは、2028年までに世界の企業における生成AI関連の支出総額の30%が、特定の業務や業界に特化したオープンソースAIモデルに割り当てられると予測している。

6.グリーンソフトウェアエンジニアリングが必須になる

 炭素効率や二酸化炭素排出量に配慮した、持続可能なソフトウェア開発を実践する考え方が「グリーンソフトウェアエンジニアリング」だ。企業が施策として、より多くのソフトウェアを開発、導入し、コンピューティングの負荷が高まると、二酸化炭素排出量は増加するため、持続可能なソフトウェア開発という目標と矛盾する可能性があるとハーシュマン氏は指摘している。

 「特に生成AIの活用はエネルギー負荷が高いため、ソフトウェア開発の初期段階からグリーンソフトウェアエンジニアリングを考慮する必要がある」(ハーシュマン氏)

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。