「VS Code 1.102」新機能まとめ カスタム指示の生成、MCP設定の“ファーストクラスリソース”化など:中クリックでのスクロールも可能に
Microsoftは、「Visual Studio Code」の新しいバージョン「June 2025」(バージョン 1.102)を公開した。AIチャットやMCPサポート、エディタ機能など、さまざまな機能が強化されている。
Microsoftは2025年7月9日(米国時間、以下同じ)、「Visual Studio Code」(以下、VS Code)の新しいバージョン「June 2025」(バージョン 1.102)を公開した。7月11日にはVS Codeの「Python」「Pylance」「Jupyter」拡張機能のアップデートも公開している。
主に4つの分野で機能強化
チャット関連
・AI(人工知能)コーディングアシスタント「GitHub Copilot」の拡張機能「Copilot Chat」がオープンソース化した
・プロジェクトの規約を反映した「カスタム指示」を生成できるようになった
・チャットをカスタマイズする「カスタムモード」が利用可能になった
・選択したターミナルコマンドが自動的に承認されるように設定可能になった
・以前のチャットリクエストを編集して再送信できるようになった
MCP(Model Context Protocol)関連
・プロファイルと設定の同期において、MCPサーバが“ファーストクラスリソース”として扱われるようになった
エディタ関連
・タスクをCopilotエージェントに委任し、バックグラウンドで処理させることが可能になった
Python、Pylance、Jupyter拡張機能関連
・「Python Environments」拡張機能がPython拡張機能の一部として含まれるようになった
VS Code 1.102の主な機能強化点の詳細
Copilot Chatがオープンソース化
Microsoftは2025年6月末に、Copilot ChatのソースコードをMITライセンスで公開したと発表した。オープンソース化の主な目的は、コミュニティー主導のイノベーションの促進と、データの透明性向上だ。Microsoftは今後、Copilot ChatをVS Codeに統合する計画だ。「VS Codeは“オープンソースAIエディタ”として、新たなソフトウェア開発体験を創出する」としている。
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カスタム指示を生成するコマンド
プロジェクトのカスタム指示を設定することで、コーディング標準やプロジェクトの規約に関するコンテキストを提供し、AIの提案を大幅に改善できるようになった。VS Code 1.102で導入された「Chat: Generate Instructions」コマンドをコマンドパレットまたはチャットビューの構成メニューから実行すると、エージェントモードがコードベースを分析し、プロジェクトの構造、技術、パターンに応じてカスタマイズされた指示が生成される。生成された指示を確認し、チームのニーズに合わせてさらにカスタマイズすることも可能だ。
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カスタムチャットモード
組み込みのチャットモードである「質問モード」(Ask)、「編集モード」(Edit)、「エージェントモード」(Agent)に加えて、「カスタムチャットモード」を定義し、大規模言語モデル(LLM)がリクエストに応答する際に従うべき指示と使用可能なツールのセットを設定できるようになった。
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ターミナルコマンドの自動承認(実験的機能)
エージェントモードに、ターミナルコマンドの自動承認メカニズムが追加された。許可リスト(コマンドプレフィックスか正規表現のリストを使用する)を作成し、条件に一致するコマンドが自動的に承認されるようにできる。拒否リストは許可リストと同じ形式だが、これを上書きする。拒否リストは主に、許可リストに広範囲のエントリがあり、それに含まれる可能性のある特定のコマンドをブロックしたい場合に有用だ。
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以前のリクエストの編集と再送信(実験的機能)
以前のリクエストをクリックし、テキストコンテンツ、添付されたコンテキスト、モード、モデルを変更できるようになった。変更を送信すると、その後の全てのリクエストを削除し、実施した編集を取り消し、新しいリクエストをチャットで送信する。
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VS CodeでのMCPサポートの一般提供が開始
VS CodeでのMCPサポートの一般提供が開始された。企業の「GitHub Copilot」ポリシーを使用して、使用可能なMCPサーバを管理することも可能になった。
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MCPサーバの発見、インストール、管理が容易に
拡張機能ビューの一番下に「MCP SERVERS」セクションが新たに設けられた。上に挙げたMCPサーバページにリンクするウエルカムコンテンツが表示されている。
このページにアクセスしてMCPサーバを探索し、選択してインストールできる。インストールすると、インストール済みMCPサーバを示す拡張機能ビュー内のセクションに表示され、チャットビューからMCPサーバの機能を簡単に利用できる。このセクションからMCPサーバを容易に監視、設定、制御することも可能だ。
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MCPサーバが“ファーストクラスリソース”に
VS CodeにおけるMCPサーバの設定や扱いがプロファイル、拡張機能、ユーザー設定などの主要な機能(ファーストクラスリソース)と同様に管理、操作できるようになった。
専用ストレージ
MCPサーバの設定を、プロファイルごとに専用の「mcp.json」ファイルに保存する。
プロファイル固有
VS Codeのプロファイルは固有のMCPサーバセットを保持する。そのため、異なるワークフローやプロジェクトごとに、異なるMCPサーバ構成を使用できる。
設定の同期への統合
MCPサーバは、「バックアップと同期の設定」メニューの「設定の同期」ダイアログで、同期する項目として選択できるので、デバイス間でのシームレスな同期が可能だ。
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コーディングエージェントセッションの開始(プレビュー段階)
チャットで「#copilotCodingAgent」ツールを呼び出すと、作業中のコード変更の残りをコーディングエージェントに引き継がせることができる。このツールは、ローカルに保留された変更を自動的にリモートブランチへプッシュし、そのブランチとユーザーの指示を基にコーディングエージェントセッションを開始する。
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中クリックでのスクロールに対応
「editor.scrollOnMiddleClick」設定を有効にすると、マウスの中央ボタン(スクロールホイール)をクリックまたは押し続けて移動することで、エディタをスクロールできる。
Python、Pylance、Jupyter拡張機能の機能強化点の詳細
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Python Environments拡張機能がPython拡張機能の一部として配布
Microsoftは、Python拡張機能をインストールすると、Pythonの仮想環境を管理する「Python Environments」拡張機能も自動的にインストールされる仕組みを段階的に導入している。これは「Python Debugger」や「Pylance」などの拡張機能と同様で、ユーザーが個別に用意しなくても必要な機能が一括して整うよう配慮したものだ。
Microsoftはこの配布方式を段階的に開始した理由について「一般提供を開始する前に早期フィードバックを収集し、信頼性を確保するため」と説明している。
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Python 3.13でPyREPLが無効に
Python 3.13は、対話型シェルとして新たな実装「PyREPL」が導入されているが、VS Code内のインタラクティブターミナルにおいてインデントの崩れやカーソルの誤動作といった問題が発生することが確認されている。これに対応するため、Python拡張機能ではPython 3.13以降の環境でPyREPLを無効化している。
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