Dockerは、「アプリケーション開発の現状調査」の結果を発表した。同社は、開発者の成功を支える要因と、その妨げになっている要因について考察している。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
Dockerは2025年7月2日、「2025 State of Application Development Survey」(アプリケーション開発の現状調査)の結果を公式ブログで発表した。同社は開発者の生産性について、優れたツールと効率的な学習、的確な計画、健全なチーム文化といった複合的な効果によって向上すると分析している。
本稿では、調査結果を基にしたDockerの考察のうち、以下の4つを紹介する。
セルフガイドによる学習(つまり、独学での学習)は増加傾向にある。調査結果によると「オンラインコースや認定資格を利用している」と回答した人の割合は85%だった。これに続き、「学校」(33%)、「書籍」(25%)、「OJT(On the Job Training)」(25%)などが従来の数値を上回った。
プログラミング学習に限っては、トップは依然として学校(対2024年調査比で8ポイント増の65%)、次いでオンラインリソース(同9ポイント増の63%)だった。また、AI(人工知能)ツール「GitHub Copilot」で学習していると回答した割合は全体の13%、ITプロフェッショナルでは9%と、比較的少ない結果となった。
今回の調査ではコンテナの利用率についても尋ねている。「コンテナを利用している」と回答したITプロフェッショナルの割合は、92%と急増しており、対2024年調査比でいえば12ポイント増えている。
また調査結果からは、IT業界の回答者(68%)は、他の業界の回答者(31%)よりもマイクロサービスベースのアーキテクチャを使用する頻度が高いことが分かっている。この差についてDockerは「ITプロフェッショナルがモジュール性とスケーラビリティを必要としていることが関係している可能性がある」と分析している。
開発者にとって、タスクにかかる時間の見積もりは大きな課題だ。役割に関係なく、「時間の見積もり」や「タスク計画」など、開発プロセスで多くの職種が正確なタイムプランニングに困難を感じているという。調査結果によると、多くの職種で「正確なタイムプランニングが困難だ」と回答されており、その割合は「フロントエンド開発者」(28%)、「データサイエンティスト」(31%)、「ソフトウェアの意思決定者」(49%)となっている。
同調査では、開発現場における代表的な役割や職種をモデル化した典型的なユーザー像(ペルソナ)を用いた分析も実施している。
ペルソナ全体で共通するのは、専門的な技術そのものではなく、オーケストレーションなど周辺の調整作業に苦労している点だ。役割ごとに分類すると、幾つかのテーマが浮かび上がる。例えば、経験豊富な開発者が最も苦労しているのは時間の見積もりで、特にデータサイエンティストは、従来は彼らの仕事ではなかったCD(継続的デリバリー)に、課題を抱えていることが分かった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.