「Windows Admin Center 2410」で利用可能なPowerShellコマンドレットを知る[その4]――拡張関連コマンドレット/管理コマンドレットMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(223)

本連載では「Windows Admin Center 2410」で利用可能なPowerShellコマンドレットの詳細を紹介しています。第219回、第221回、第222回に続き、今回はWindows Admin Center 2410のPowerShellコマンドレットから、拡張を管理するコマンドレットを解説します。

» 2025年07月09日 05時00分 公開
[指崎則夫デル・テクノロジーズ株式会社]
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Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionToolsモジュールに含まれるコマンドレット

 今回は「Windows Admin Center 2410」(WAC 2410)のPowerShellコマンドレットから、拡張を管理する「Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionTools」モジュールおよび「Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementTools」モジュールに含まれるコマンドレットを解説します。

 Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementToolsモジュールには、10個のコマンドレットが含まれています。

 拡張を管理するコマンドレットの概要、構文については、「Windows Admin Center拡張機能の管理」があるものの、いまだWAC 2410に対応する記載はありません。それを解明すべく、Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionToolsモジュールをインポートしてから、「Get-Command」および「Get-Help」コマンドレットでヘルプを取得し、整形してみました。

 今後、Get-Helpコマンドレットで得られる内容が改版される可能性もありますが、現時点(2025年6月末)の情報として参考にしてください。なお、一部のコマンドレットでは、構文(Syntax)のみが取得できて、概要(Synopsis)が取得できなかったものがありました。

コマンドレット名 概要と構文
Add-WACFeed Windows Admin Center ゲートウェイにフィードを追加します
Add-WACFeed -Endpoint -Feed []
Add-WACFeed -Endpoint -Feed [-Credentials ] -AccessKey []
CreateApplicationAccessToken CreateApplicationAccessToken [[-credentials] ] [[-accessKey] ]
GetAccessParameters GetAccessParameters [[-Endpoint] ] [[-Credentials] ] [[-AccessKey] ]
GetRecentVersion GetRecentVersion [[-extensions] ]
Get-WACExtension Windows Admin Center ゲートウェイで利用可能な拡張機能を表示します
Get-WACExtension -Endpoint []
Get-WACExtension -Endpoint [-Credentials ] -AccessKey []
Get-WACFeed Windows Admin Center ゲートウェイで利用可能なフィードを表示します
Get-WACFeed -Endpoint []
Get-WACFeed -Endpoint [-Credentials ] -AccessKey []
Install-WACExtension Windows Admin Center 拡張機能をインストールします
Install-WACExtension -Endpoint -ExtensionId [-Version ] [-Feed ] []
Install-WACExtension -Endpoint -ExtensionId [-Version ] [-Feed ] [-Credentials ] -AccessKey []
Remove-WACFeed Windows Admin Center ゲートウェイへのフィードを削除します
Remove-WACFeed -Endpoint -Feed []
Remove-WACFeed -Endpoint -Feed [-Credentials ] -AccessKey []
Uninstall-WACExtension Windows Admin Center 拡張機能をアンインストールします
ninstall-WACExtension -Endpoint -ExtensionId []
Uninstall-WACExtension -Endpoint -ExtensionId [-Credentials ] -AccessKey []
Update-WACExtension Windows Admin Center 拡張機能を更新します
Update-WACExtension -Endpoint -ExtensionId [-Feed ] []
Update-WACExtension -Endpoint -ExtensionId [-Feed ] [-Credentials ] -AccessKey []
Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionToolsモジュールにあるコマンドレット概要

アクセスキーの取得

 前回の「『Windows Admin Center 2410』で利用可能なPowerShellコマンドレットを知る[その3]――接続管理関連コマンドレット」でも説明した通り、まずは事前に「アクセスキー」を取得しておきます。なお、確認の都合上、説明途中でアクセスキーの値は変わることがあります。

拡張を管理するコマンドレットを解説する前提

 本稿では以下を前提として、WAC 2410における拡張の管理を解説していきます。

  • 拡張を追加するための「Feed」については、既定値を維持したいので「Get-WACFeed」コマンドレットのみを使用例とします。「Add-WACFeed」コマンドレットと「Remove-WACFeed」コマンドレットの説明は省略します
  • 拡張を管理するコマンドレットは、前回説明した「CreateApplicationAccessTokenがMicrosoft.WindowsAdminCenter.ExtensionTools」モジュールにも含まれています。しかし、使用用途がよく分からないことから、本稿では使用例から省略します
  • 「Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionTools」モジュールは、インポート済みとします
  • クレデンシャルは、事前に変数へ設定済みとします

拡張へのアクセスパラメーターを表示する

 拡張へのアクセスパラメーターを表示するには、「GetAccessParameters」コマンドレットを実行します。このコマンドレットは、アクセスキーなしでも使えました。

GetRecentVersion

 「GetRecentVersion」コマンドレットは単独で使用するわけでもなく、この後説明する「Get-WACExtension」コマンドレットと併用するのかとも思いましたが、どうやら違うようです。

拡張のFeedを表示する

 拡張のFeedを表示するには、「Get-WACFeed」コマンドを実行します。なお、クレデンシャルとアクセスキーは必須パラメーターとなります。

 現在登録されているFeedが表示されました。

利用可能な拡張を表示する

 利用可能な拡張を表示するには、「Get-WACExtension」コマンドレットを実行します。こちらも、クレデンシャルとアクセスキーが必須パラメーターとなります。

 デフォルト(既定)では、「Format-List」コマンドレットと同様の表示形式になります。適宜、「Format-Table」コマンドレットで項目を絞って表示することも可能です。

拡張をインストールする

 「Active Directory」の拡張を「Install-WACExtension」コマンドレットでインストールしてみます。こちらも、クレデンシャルとアクセスキーが必須パラメーターです。

 WACの画面でもインストール完了を確認できました。ただし、WACの画面をリロードした方がよい場合もありました。

 「Get-WACExtension」コマンドレットでもインストール完了を確認できました。

拡張をアンインストールする

 Active Directoryの拡張を「Uninstall-WACExtension」コマンドレットでアンインストールしてみます。こちらも、クレデンシャルとアクセスキーが必須パラメーターです。

 WACの画面でもインストール完了を確認できました。ただし、WACの画面をリロードした方がよい場合もありました。

拡張を更新する

 「Update-WACExtension」コマンドレットを実行して、拡張を更新してみます。まずは、WACの画面から更新可能な拡張があることを確認しました。

 Get-WACExtensionコマンドレットでも拡張の更新を確認できました。後から気が付いたのですが、PowerShell自体は2つのエントリがありました。「アップデート可能なバージョン」と、「現在インストール済みのバージョン」です。動作確認時にはここに気が付かず、リトライしていました。

 拡張を更新しました。リトライしていたため、「-Verbose」オプションを付与しています。

 項目「version」でアップデート済みであることが確認できました。

 Get-WACExtensionコマンドレットでもで確認しましたが、PowerShellが2行あることに気が付いていなかったため、ひたすら古いバージョンばかり見ていました。今見返してみると、「status」列は「Available」になっていました。ここで気が付くべきでした。

 この時点では気が付いていないため、WACの画面をリロードしました。

 WACの画面でアップデート完了を確認できました。

 Get-WACExtensionコマンドレットで確認したところ、ようやくstatus列が「Installed」となっているPowerShell拡張を見つけることができました。

 Update-WACExtensionコマンドレットで拡張を更新する場合は、よく確認することをお勧めします。

Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementToolsモジュールに含まれるコマンドレット

 「Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementTools」モジュールにあるのは、「Enter-WACPSSession」コマンドレットだけになります。

 Enter-WACPSSessionコマンドレットの概要、構文について、公式情報は見当たりませんでした。これを解明すべく、Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementToolsモジュールをインポートしてから、Get-CommandおよびGet-Helpコマンドレットでヘルプを取得して、整形しました。

 今後、Get-Helpコマンドレットで得られる内容が改版される可能性もありますが、現時点(2025年6月末)の情報として参考にしてください。

コマンドレット名 概要と構文
Enter-WACPSSession PowerShell セッションを使用してコンピュータにリモートログオンします
Enter-WACPSSession [-Computer] [-UserName] [[-UseHttps] ] [[-PowerShellSessionConfiguration] ] [[-UserNameLabel] ] [[-PromptLabel] ] [[-Message] ] []
Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementToolsモジュールにあるコマンドレット概要

Enter-WACPSSessionによる接続

 Enter-WACPSSessionコマンドレットを実行したところ、「Enter-PSSession」コマンドレットと同様のものでした。

 パラメーターとして接続先のホスト名を指定すれば、後は必要なユーザー名とパスワードを入力するだけとなります。この確認作業は「WAC in Azure」が有効化されているホストから、WACのホストに対して行っています。

 Get-Serviceコマンドレットを実行しました。

 Exitでリモートセッションを終了できます。

 以上で、Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionToolsモジュールに含まれるコマンドレットと、Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementToolsに含まれるコマンドレットについてご紹介を終わります。次回は、「Microsoft.WindowsAdminCenter.Migration」モジュールおよび「Microsoft.WindowsAdminCenter.PowerShellTools」モジュールに含まれるコマンドレットを紹介する予定です。

筆者紹介

指崎 則夫(さしざき のりお)

デル・テクノロジーズ株式会社勤務2014年からMicrosoft MVPを連続して受賞


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