本連載では「Windows Admin Center 2410」で利用可能なPowerShellコマンドレットの詳細を紹介しています。第219回、第221回、第222回に続き、今回はWindows Admin Center 2410のPowerShellコマンドレットから、拡張を管理するコマンドレットを解説します。
今回は「Windows Admin Center 2410」(WAC 2410)のPowerShellコマンドレットから、拡張を管理する「Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionTools」モジュールおよび「Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementTools」モジュールに含まれるコマンドレットを解説します。
Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementToolsモジュールには、10個のコマンドレットが含まれています。
拡張を管理するコマンドレットの概要、構文については、「Windows Admin Center拡張機能の管理」があるものの、いまだWAC 2410に対応する記載はありません。それを解明すべく、Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionToolsモジュールをインポートしてから、「Get-Command」および「Get-Help」コマンドレットでヘルプを取得し、整形してみました。
今後、Get-Helpコマンドレットで得られる内容が改版される可能性もありますが、現時点(2025年6月末)の情報として参考にしてください。なお、一部のコマンドレットでは、構文(Syntax)のみが取得できて、概要(Synopsis)が取得できなかったものがありました。
コマンドレット名 | 概要と構文 |
---|---|
Add-WACFeed | Windows Admin Center ゲートウェイにフィードを追加します Add-WACFeed -Endpoint Add-WACFeed -Endpoint |
CreateApplicationAccessToken | CreateApplicationAccessToken [[-credentials] |
GetAccessParameters | GetAccessParameters [[-Endpoint] |
GetRecentVersion | GetRecentVersion [[-extensions] |
Get-WACExtension | Windows Admin Center ゲートウェイで利用可能な拡張機能を表示します Get-WACExtension -Endpoint Get-WACExtension -Endpoint |
Get-WACFeed | Windows Admin Center ゲートウェイで利用可能なフィードを表示します Get-WACFeed -Endpoint Get-WACFeed -Endpoint |
Install-WACExtension | Windows Admin Center 拡張機能をインストールします Install-WACExtension -Endpoint Install-WACExtension -Endpoint |
Remove-WACFeed | Windows Admin Center ゲートウェイへのフィードを削除します Remove-WACFeed -Endpoint Remove-WACFeed -Endpoint |
Uninstall-WACExtension | Windows Admin Center 拡張機能をアンインストールします ninstall-WACExtension -Endpoint Uninstall-WACExtension -Endpoint |
Update-WACExtension | Windows Admin Center 拡張機能を更新します Update-WACExtension -Endpoint Update-WACExtension -Endpoint |
Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionToolsモジュールにあるコマンドレット概要 |
前回の「『Windows Admin Center 2410』で利用可能なPowerShellコマンドレットを知る[その3]――接続管理関連コマンドレット」でも説明した通り、まずは事前に「アクセスキー」を取得しておきます。なお、確認の都合上、説明途中でアクセスキーの値は変わることがあります。
本稿では以下を前提として、WAC 2410における拡張の管理を解説していきます。
拡張へのアクセスパラメーターを表示するには、「GetAccessParameters」コマンドレットを実行します。このコマンドレットは、アクセスキーなしでも使えました。
「GetRecentVersion」コマンドレットは単独で使用するわけでもなく、この後説明する「Get-WACExtension」コマンドレットと併用するのかとも思いましたが、どうやら違うようです。
拡張のFeedを表示するには、「Get-WACFeed」コマンドを実行します。なお、クレデンシャルとアクセスキーは必須パラメーターとなります。
現在登録されているFeedが表示されました。
利用可能な拡張を表示するには、「Get-WACExtension」コマンドレットを実行します。こちらも、クレデンシャルとアクセスキーが必須パラメーターとなります。
デフォルト(既定)では、「Format-List」コマンドレットと同様の表示形式になります。適宜、「Format-Table」コマンドレットで項目を絞って表示することも可能です。
「Active Directory」の拡張を「Install-WACExtension」コマンドレットでインストールしてみます。こちらも、クレデンシャルとアクセスキーが必須パラメーターです。
WACの画面でもインストール完了を確認できました。ただし、WACの画面をリロードした方がよい場合もありました。
「Get-WACExtension」コマンドレットでもインストール完了を確認できました。
Active Directoryの拡張を「Uninstall-WACExtension」コマンドレットでアンインストールしてみます。こちらも、クレデンシャルとアクセスキーが必須パラメーターです。
WACの画面でもインストール完了を確認できました。ただし、WACの画面をリロードした方がよい場合もありました。
「Update-WACExtension」コマンドレットを実行して、拡張を更新してみます。まずは、WACの画面から更新可能な拡張があることを確認しました。
Get-WACExtensionコマンドレットでも拡張の更新を確認できました。後から気が付いたのですが、PowerShell自体は2つのエントリがありました。「アップデート可能なバージョン」と、「現在インストール済みのバージョン」です。動作確認時にはここに気が付かず、リトライしていました。
拡張を更新しました。リトライしていたため、「-Verbose」オプションを付与しています。
項目「version」でアップデート済みであることが確認できました。
Get-WACExtensionコマンドレットでもで確認しましたが、PowerShellが2行あることに気が付いていなかったため、ひたすら古いバージョンばかり見ていました。今見返してみると、「status」列は「Available」になっていました。ここで気が付くべきでした。
この時点では気が付いていないため、WACの画面をリロードしました。
WACの画面でアップデート完了を確認できました。
Get-WACExtensionコマンドレットで確認したところ、ようやくstatus列が「Installed」となっているPowerShell拡張を見つけることができました。
Update-WACExtensionコマンドレットで拡張を更新する場合は、よく確認することをお勧めします。
「Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementTools」モジュールにあるのは、「Enter-WACPSSession」コマンドレットだけになります。
Enter-WACPSSessionコマンドレットの概要、構文について、公式情報は見当たりませんでした。これを解明すべく、Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementToolsモジュールをインポートしてから、Get-CommandおよびGet-Helpコマンドレットでヘルプを取得して、整形しました。
今後、Get-Helpコマンドレットで得られる内容が改版される可能性もありますが、現時点(2025年6月末)の情報として参考にしてください。
コマンドレット名 | 概要と構文 |
---|---|
Enter-WACPSSession | PowerShell セッションを使用してコンピュータにリモートログオンします Enter-WACPSSession [-Computer] |
Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementToolsモジュールにあるコマンドレット概要 |
Enter-WACPSSessionコマンドレットを実行したところ、「Enter-PSSession」コマンドレットと同様のものでした。
パラメーターとして接続先のホスト名を指定すれば、後は必要なユーザー名とパスワードを入力するだけとなります。この確認作業は「WAC in Azure」が有効化されているホストから、WACのホストに対して行っています。
Get-Serviceコマンドレットを実行しました。
Exitでリモートセッションを終了できます。
以上で、Microsoft.WindowsAdminCenter.ExtensionToolsモジュールに含まれるコマンドレットと、Microsoft.WindowsAdminCenter.ManagementToolsに含まれるコマンドレットについてご紹介を終わります。次回は、「Microsoft.WindowsAdminCenter.Migration」モジュールおよび「Microsoft.WindowsAdminCenter.PowerShellTools」モジュールに含まれるコマンドレットを紹介する予定です。
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