本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「Update-MgIdentityConditionalAccessPolicy」コマンドレットを解説します。
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本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、「Microsoft Entra ID」(旧称:Microsoft Azure Active Directory)の条件付きアクセスポリシーの設定を変更する「Update-MgIdentityConditionalAccessPolicy」コマンドレットです。
「Update-MgIdentityConditionalAccessPolicy」は、PowerShellを利用してMicrosoft Entra IDに作成された既存の「条件付きアクセスポリシー」の設定を変更するためのコマンドレットです。
本連載第78回で解説した「New-MgIdentityConditionalAccessPolicy」コマンドレットと組み合わせて使用することで、PowerShellから条件付きアクセスポリシーの新規作成と変更が管理できるようになるので、Infrastructure as Code(IaC)に基づいて運用するケースにおいて有効です。
特に条件付きアクセスはポリシーの説明をGUIから設定できないため、コマンドレットで登録するパラメーターをGitHubなどで管理し、そこでコメントを入れて管理すれば、条件付きアクセスに関わる構成管理が容易になります。
なお、Update-MgIdentityConditionalAccessPolicyコマンドレットは、本連載第45回で解説した「Connect-MgGraph」コマンドレットで「Connect-MgGraph -Scopes "Policy.ReadWrite.ConditionalAccess"」と実行して、Microsoft Entra IDへの接続とアクセス許可を与えておくことが前提条件になります。
オプション | 意味 |
---|---|
-ConditionalAccessPolicyId | 設定を変更する条件付きアクセスポリシーのポリシーIDを指定する |
-BodyParameter | 条件付きアクセスポリシーのパラメーターを指定する。省略可能 |
-State | 条件付きアクセスポリシーの有効/無効を指定する。省略可能 |
Update-MgIdentityConditionalAccessPolicyコマンドレットを通じてポリシーの有効/無効を設定する場合は、「-ConditionalAccessPolicyId」オプションで設定を変更するポリシーを指定しなければなりません。
そのため、最初に本連載77回で解説した「Get-MgIdentityConditionalAccessPolicy」コマンドレットで、ポリシー名に対応する「ポリシーID」を確認します(画面1)。
Get-MgIdentityConditionalAccessPolicy -Filter "displayName eq 'P001'"
その後、Update-MgIdentityConditionalAccessPolicyコマンドレットでConditionalAccessPolicyIdオプションでポリシーID、「-State」オプションで有効/無効を指定します(画面2)。
Update-MgIdentityConditionalAccessPolicy -ConditionalAccessPolicyId 14f6d822-f371-485d-a2ab-45ba44829e72 -State Enabled
本連載第78回でも解説したように、条件付きアクセスポリシーはパラメーターを基に設定します。そのため、ポリシー設定を変更する場合は、変更箇所となるパラメーターを最初に作成します(画面3)。ここでは「全てのユーザーに多要素認証を要求する」というポリシーに対し、特定のユーザーはこのポリシーが除外されるように設定を変更しています。
パラメーターの設定が完了したら、Update-MgIdentityConditionalAccessPolicyコマンドレットでパラメーターを登録します(画面4)。
$params = @{ Users = @{ includeUsers = @( "All Users" ) ExcludeUsers = @( "de4e57c1-73e5-418e-a25f-ff67b7cf4b4c" ) } }
Update-MgIdentityConditionalAccessPolicy -ConditionalAccessPolicyId 14f6d822-f371-485d-a2ab-45ba44829e72 -BodyParameter $params
株式会社エストディアン代表取締役。1997年からマイクロソフト認定トレーナーとして、Azure Active DirectoryやMicrosoft 365 Defenderなど、クラウドセキュリティを中心としたトレーニングを提供している。2007年からMicrosoft MVP for Enterprise Mobilityを連続して受賞。なお、テストで作成するユーザーアカウントには必ずサッカー選手の名前が登場するほどのサッカー好き。
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