さて、タニシさんや。お主は組み込みエンジニアとのことじゃな。ワシの専門と一緒でうれしいぞい! しかしながら「やりがいを感じない」ようじゃな。ワシのやりがいは、いかに貧弱なハードスペックに対して機能をギッチギチに詰め込むか、じゃったぞ。アセンブリ言語で低レイヤーを触ってたもんじゃから、Pythonなどモダンな高級言語を使うと地に足が着かないようで落ち着かんわい。へっ? そろそろ足がない幽霊になるからちょうどいいじゃないかって? じゃかわしいわ! 笑点みたいなブラックジョークはよすんだよ!
とはいえ、昭和世代のやりがいをZ世代に当てはめるのも筋違いじゃな。これからの者のために「やりがい」とは何かを示すことが有意義じゃろう。いったん、このお化けのようにつかみどころのない「やりがい」というものを整理しようじゃないか。
こういうつかみどころのないものを捉えるのには、考えをサポートする道具が便利じゃ。今回、知恵袋から取り出したるは「切り口」という道具だぞい。要素の軸を用いて切り分けて考え、2x2のマトリクスなどにして分析する方法じゃ。例えば、やりがいに「個人的⇔社会的」「意欲的⇔能力的」という2つの切り口を当てはめるとこうなるわ。
このように、切り口を使って幾つかに分けることで、やりがいのような抽象的な言葉を具体的に絞り込めるのじゃ。象限ごとに見ていくぞい。
やりたいこと
やりたいことは、個人の欲求や興味に基づくものごとを意欲的に行うことで「やりがい」を感じることじゃな。「〇〇になりたい」のような自己実現もここに含まれる。例えば、ゲームが好きだからゲームの販売やゲーム雑誌などゲームに関わる仕事をすることや、ゲーム業界を目指すこと自体がやりがいになる、ということじゃ。
やれること
やれることは、個人の「能力」「知識」「経験」などに基づき、それらを生かせると「やりがい」となる、ということじゃな。技能が成長することもここに含まれる。例えば、プログラミングができるからゲーム業界のプログラマーになることや、プログラム技術が上達するとやりがいとなる、じゃ。
やってほしいこと
やってほしいことは、他者の要求や欲求を満たせると「やりがい」になるということじゃ。能力の対価としての感謝や金銭を得て、それらが多いほどやりがいにもなりおるな。例えば、ゲーム会社でインフラ整備や販促のニーズがあり、それを満たす仕事をすることで感謝や報酬を得てやりがいとなる、などじゃ。
やるべきこと
やるべきことは、社会的な責任や義務に基づくことを意欲的に行うことで「やりがい」となることじゃ。文化の啓発や、教育や環境保護運動など社会課題の解決に役立つことじゃな。例えばゲームを作るにしても、ゲーム文化が広まること、創造性を育むゲームにすること、売り上げを社会貢献のために寄付して還元すること、などがやりがいとなりおる。
どうじゃ? 4つに分けることで「やりがい」が捉えやすくなったんじゃないかい? 「やりがい」のある仕事の理想は、4つとも満たすことじゃ。好きでやりたいことであり、実際にできることであり、需要もあるやってほしいことで、社会的な意義もあるやるべき仕事じゃな。天職とでもいえるだろうねぇ。しかし、そんな仕事を見つけることは簡単ではない。ましてや、天職の方から来ることは奇跡じゃろう。
では、どうするべきか? この問いに答えにくいならば、心にバグがあるっちゅうことじゃ。「やりがい」は心の作用である故、心の仕組みを把握することが肝要じゃ。さもなくば、あたかも心をコントロールできるかのようにうたう自己啓発にハマることにもなり得る。だからこそ、心のバグをデバッグして「やりがい」と向き合う必要があるんじゃ。というわけで、ここからが本題じゃぞ。
お悩みデバッグ連載、始まりますわよ〜
お悩みその1 やりたいことがない(30歳 男性 SE)
お悩みその2 エンジニアだと思ったら通訳だった(28歳 男性 ブリッジSE)
お悩みその3 何を作りたいのか分からない(25歳 男性 プログラマー)
お悩みその4 一生女性に相手にされず孤独に寿命を終えそうで、つらい(30歳 男性 プログラマー)
お悩みその5 勉強への熱意がなくなってしまいました(25歳 男性 プログラマー)
お悩みその6 SESの現場を変えてもらうべきでしょうか(27歳 男性 SE)
お悩みその7 未経験だけど田舎暮らしエンジニアになれますか(24歳 学生 うどん)
お悩みその8 複雑怪奇なシステムばかり立ち上がる(36歳 男性 SE)Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.