博報堂テクノロジーズは2025年9月24日、NVIDIA の技術を活用して、エージェント型AI(Agentic AI)の研究開発を本格的に開始すると発表した。複数のタスクを横断的に遂行できるエージェント型AIを活用し、広告・マーケティング領域で複数のAIが協調、自律的に判断する仕組みの高度化を目指す。
博報堂テクノロジーズが広告領域に特化したAIエージェント技術の研究開発を主導。NVIDIAが提供する最新のフレームワーク「NVIDIA AI Blueprint」や「NVIDIA NeMo-Agent-Toolkit」を活用し、自律的に広告制作を行うAIエージェントの開発を推進する。
具体的には、「NVIDIA AI Blueprint for RAG」を活用し、企業の独自データを使ってAIエージェントに情報を提供するパイプラインを構築。これらのエージェントをライフサイクル全体にわたって管理する仕組みを、企業が独自の生成AIモデルを構築、デプロイできるプラットフォーム「NVIDIA NeMo」によって構築する。また、NVIDIA NeMo Agent Toolkitを使い、同ツールキットのReAct Agentを用いて広告制作を自律的に遂行するAIエージェントを開発するという。「NVIDIA NeMoマイクロサービス」を活用した「NVIDIA Data Flywheel」の考え方も取り入れ、実運用から得られるフィードバックデータを基に継続的に精度を改善していく。
これにより、広告主には、実施したキャンペーンの成果やユーザーの反応を次の施策へ反映でき、マーケティング投資の効率を高める「自己強化型の広告運用サイクル」を提供。生活者には、個々の広告体験が常にアップデートされ、自身の興味関心や状況に合致した広告が表示されるようになることで、煩わしさの軽減が期待できるという。
博報堂DYグループのデジタルマーケティング会社、Hakuhodo DY ONEが2025年8月に提供開始したAIエージェントサービス「ONE-AIGENT」(市場分析、クリエイティブ生成など、複数の専門特化AIエージェントを連携させるマーケティング支援サービス)や、博報堂DYホールディングスが開発する統合マーケティングプラットフォーム「CREATIVITY ENGINE BLOOM」(AI技術とグループ保有データを生かし、顧客接点をワンストップで統合・管理する仕組み)での応用・強化も視野に入れ、「グループ全体の競争力強化に寄与する」としている。
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