AIありきのビジネスに重要な技術とは Gartner「先進テクノロジーのハイプサイクル」:「人に代わる新たな顧客」が企業の成長の鍵を握る?
ガートナージャパンは「先進テクノロジーのハイプサイクル:2025年」を発表した。AIや自動化されたシステムが自律的にビジネスを遂行する「自律型ビジネス」の核となる技術を紹介している。
ガートナージャパンは2025年9月10日、「先進テクノロジーのハイプサイクル:2025年」を発表した。同社は、「自律型ビジネスを支える重要な技術だ」と述べている。なお、ここでいう自律型ビジネスとは、AI(人工知能)などの先進テクノロジーが人間に代わって自動的に意思決定や業務遂行をするビジネスモデルのことだ。
「人に代わる新たな顧客」が企業の成長の鍵を握る?
先進テクノロジーのハイプサイクルの中でも、ガートナージャパンは以下の4つの要素に注目している。
- マシンカスタマー
- AIエージェント
- 意思決定インテリジェンス
- プログラマブルマネー
マシンカスタマー
マシンカスタマーは、人間や企業に代わってモノやサービスを購入、契約する経済主体のことだ。例えば、仮想アシスタントが店を予約したり、IoT(Internet of Things)に対応した工場設備が不足した部品を発注したりする事例がある。Gartnerは、2030年までにマシンカスタマーの台数が80億台まで増加すると予測している。
Gartnerのマーティ・レズニック氏(バイスプレジデントアナリスト)は、「マシンカスタマーを主要な顧客と捉えてビジネス戦略をアップデートする企業は、新たな売り上げの機会を獲得できる。マシンカスタマーから利益を得たいのであれば、自社のビジネスモデルを見直す必要がある」と指摘している。
AIエージェント
デジタル空間や現実世界の状況理解、目標達成に向けた意思決定や行動を人間に代わって自律的に遂行するAIが、AIエージェントだ。AIエージェントは、消費者向けサービスやデータ分析、コンテンツ作成、物流などさまざまな領域で発生する業務の自動化を促進し、「多くの業界に変革をもたらす可能性がある」とガートナージャパンは予測している。
ただし、懸念点もある。「AIエージェントがタスクを正確に予測して実行する機能には懸念があり、その信頼性は依然として限定的だ。人間による監視がない状態で運用した場合、AIエージェントが誤った意思決定を下す恐れがある」と同社は指摘している。
意思決定インテリジェンス
意思決定インテリジェンスとは、人間の知見とAIやデータ分析といった技術を掛け合わせて、意思決定の内容を最適化する枠組みだ。これによって、意思決定の質や成果を継続的に向上させることが可能になるとガートナージャパンは説明している。
プログラマブルマネー
プログラムした条件やルールによって、通貨の動作を自動的に制御できる通貨がプログラマブルマネーだ。ブロックチェーンで契約を自動的に履行する技術「スマートコントラクト」を活用することで、人間以外の経済主体が購買に参加しやすくなるだけでなく、価値交換のプロセスを自律的に制御できるようになる。
このニュースのポイント
Q: 自律型ビジネスを支える重要技術としてガートナージャパンが注目する4つの要素は何か?
A: 「マシンカスタマー」「AIエージェント」「意思決定インテリジェンス」「プログラマブルマネー」。
Q: マシンカスタマーとは何か
A: 人や企業に代わり購買や契約を行う経済主体で、例として仮想アシスタントの予約やIoT機器による部品発注がある。
Q: AIエージェントの役割と課題は何か?
A: デジタルや現実世界の状況を理解し、自律的に意思決定、行動する。だが、タスクを正確に実行する信頼性には懸念があり、人間の監視なしでは誤判断の恐れがある。
Q: 意思決定インテリジェンスとは何か?
A: 人間の知見にAIやデータ分析を組み合わせ、意思決定の質と成果を継続的に最適化する枠組み。
Q: プログラマブルマネーの特徴は?
A: ルールや条件に基づき通貨を自動制御できる仕組みで、スマートコントラクトを活用することで、人間以外の経済主体も購買に参加し、価値交換を自律制御できるようになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
関連記事
AIエージェント同士が協働する未来はすぐそこ 2026年までにエンタープライズアプリの4割がAIエージェントを搭載
Gartnerは2025年8月26日、「2026年までにエンタープライズアプリの40%がタスク特化型AIエージェントを搭載する」という予測を発表した。「週4日勤務」「AI同僚」――もうすぐ働き方はこうなる Gartnerが示す6つの論点
2025年7月15日、Gartnerは「2030年に向かって企業がデジタルワークプレースを変革する上で考慮すべき6つの論点」を発表した。働き方、働く場はどう変わるのか。2025年の生成AIモデルへの投資は142億ドル Gartnerが「専門分野特化型LLMが拡大する」と予測する背景は?
Gartnerは、2025年の世界における生成AIモデルへのエンドユーザー支出が142億ドルに達するとの予測を発表した。さらに、業種や業務に特化した「DSLM」の導入が急速に進むという。その背景には何があるのか。