即戦力か、技術継承か? 70歳雇用時代に迫る組織の課題、その対処法は:ミドル層シニア層採用のジレンマ
レバテックは「IT人材における40代以上の転職・採用実態調査」の結果を発表した。70歳までの就業機会確保の取り組みを進める企業が増える一方で、40歳代以上のIT人材に対する期待が高まっていることが分かった。
レバテックは2025年4月17日、「IT人材における40代以上の転職・採用実態調査」の結果を発表した。この調査は、IT人材を採用する企業担当者を対象に実施したもので、522人から有効回答を得た。それによると、40歳代以上のIT人材に対し、即戦力としての期待だけでなく、次世代の育成や組織マネジメントの役割を担ってほしいという期待が高まっていることが分かった。
約20%の企業が70歳までの就業機会確保に向けて取り組み中
調査結果によると、40歳代以上のIT人材採用について「採用経験がある」と回答した採用担当者の割合は75.1%。
採用実績を年齢別に見ると、「40〜44歳」の採用実績があると回答した採用担当者の割合は75.3%、「45〜49歳」は67.1%、「50〜54歳」は41.6%で、特に40〜50歳代の採用が多かった。ポジション別では、「エンジニア、スペシャリスト」(61.5%)や「プロジェクトマネジャー」(54.8%)が上位を占めた。
40歳代以上のIT人材に求められるスキル、経験については「プロジェクトマネジメント能力」が最も高く、51.0%。次いで「業界特有の知識や実務経験」(41.8%)、「最新技術の知識」(40.6%)などが続いた。レバテックは「4位に『マネジメント、育成スキル』が入っていることからも、即戦力としての活躍にとどまらず、組織のマネジメントや次世代の育成役としても期待が寄せられている」と分析している。
政府が進める70歳までの就業機会確保に向けては、「既に取り組んでいる(制度導入、運用中)」と回答した割合が19.9%。具体的な施策としては、「70歳までの継続雇用制度の導入」(49.0%)や「定年制の廃止」(44.2%)、「70歳までの定年引き上げ」(43.3%)が挙がった。
役職定年制度については、導入している企業が35.4%。役職定年後の対応としては「役職を外し、給与を引き下げて継続雇用」(57.8%)や「役職を外すが、給与はほぼ据え置きで継続雇用」(23.8%)が上位を占めた。ただし、役職定年制度を「既に見直しを進めている」企業は36.8%、「今後見直し予定」は37.8%で、レバテックは「役職定年後の処遇や評価制度を改善することで、ミドル、シニア層のモチベーション維持やさらなる活躍促進を図る動きが活発化している」とみている。
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