Microsoft、生成AIの可能性を引き出す25種類の効果的なプロンプトの作成方法を紹介:AIに目的のコンテンツを生成させるには
Microsoftは公式ブログで、効果的なプロンプトを作成し、生成AIの可能性を引き出す25のヒントを紹介した。
Microsoftは2023年10月23日(米国時間)に公式ブログで、効果的なプロンプトを作成し、生成AIの可能性を引き出す25のヒントを紹介した。
AI(人工知能)、特に大規模言語モデル(LLM)の文脈では、プロンプトとは、ユーザーが特定のタイプの応答を引き出すために、AIに与える入力や指示を指す。このところ注目を集めているLLMを最大限に活用するには、効果的なプロンプトを作成することが不可欠だ。
Microsoftは「Azure OpenAI Service」で「GPT-3.5-Turbo」や「GPT-4」のようなLLMを提供している。「実生活でのコミュニケーションと同じように、AIとのやりとりでも、欲しい情報をどのようにリクエストするかで、受け取る情報の種類が限られたり、広がったりする。プロンプトは、AIがユーザーの意図とAIへの期待を特定するのに役立つ。そのため、より正確なプロンプトが、より正確で適切な結果につながる」と述べている。
25種類のプロンプト作成のヒント
Microsoftは、仕事や生活に限らずAIに必要なコンテンツを生成させるのに役立つプロンプト作成のヒントを、25種類紹介した。
1. 自分が何を求めているかを知らせる
対処しようとしている問題やニーズを明確に示す。
例:「最新アプリのマーケティングキャンペーンの斬新なアイデアが欲しい」
2. 簡単な質問から始める
モデルの理解度を確認するために簡単な質問から始め、より複雑な質問に発展させる。
3. 自由回答形式の質問をする
生成モデルは、自由に回答できるときの方が力を発揮する。「マーケティングにソーシャルメディアを使うべきかどうか」と尋ねる代わりに、「ソーシャルメディアプラットフォーム全体で注目を集める革新的な方法は何か」と尋ねる。使用するプラットフォームを指定して質問することもできる(X、LinkedInなど)。
4. 質問を繰り返し、改良していく
最初のプロンプトから得たフィードバックを基に、質問を練り上げていく。「一般的なコンテンツマーケティング戦略についてのアイデアはあるか」「留守中のペットの幸福度をモニタリングする技術製品のコンテンツマーケティング戦略を実行するには、どうすればよいか」といった追加の質問をする。
5. 文脈を提供する
より多くの文脈を提供すればするほど、AIはユーザーのユニークな状況に合わせて応答を調整できる。
例:「私は睡眠パターンを追跡するアプリをリリースしたばかりで、従業員の健康を心配する企業にアピールする低コストのマーケティング戦略を探している」
6. 制約条件を述べる
制約条件(予算、スケジュール、リソースなど)があれば、前もって伝える。
例:「5000ドルの予算で2週間以内に実行できる新製品のマーケティング戦略は何か」
7. 質問を分解する
大きな質問を小さな質問に分解し、より実行可能な洞察を得る。「どうすればビジネスを改善できるか」ではなく、「どうすればオンラインセールスを増やせるか」と質問する。そして、「お手玉の宣伝に最適なソーシャルメディアプラットフォームは?」と追加の質問をする。
8. 創造的なリクエストと分析的なリクエストを組み合わせる
AIは、クリエイティブなブレインストーミングと分析的なタスクの両方をこなせる。だが、最良の結果を得るためには、「分割して統治する」とよい。マーケティング戦略をブレインストーミングしてから、「インフルエンサーマーケティングの長所と短所は?」と質問する。
9. SWOT(強み、弱み、機会、脅威)分析
SWOT分析は、ビジネスを正しい方向に導くのに役立つ。AIに、自分のビジネスをSWOT分析してもらい、すぐに実行可能な事柄を見つける。
10. 例を求める
概念は、具体例がある方が理解しやすい。例を教えてもらい、それをモデルとして使うことで、具体的なケースで何が有効で、何が有効でないかが分かる。「成功したインフルエンサーマーケティングキャンペーンの事例を教えてもらえますか」と質問する。
11. フォーマットを指定する
箇条書き、段落、リストなど、どのような形式で回答してほしいかを伝える。
12. 技術用語を定義する
業界特有の用語や略語がある場合は、プロンプトを使用して定義するか、その用語が使われる文脈をモデルに理解させる。
13. 正確に言い換える
最初の答えが満足のいくものでなかったら、質問を言い換える。
14. 詳細と簡潔
1つの段落に要約してほしいのか、学術的に掘り下げた何ページにもわたる解説を求めているのかを、プロンプトに明記する。
15. 目的に合わせて否定的な指示を適宜使う
不要なものが分かっている場合は、明記する。
例:「オンライン広告を除くマーケティング戦略を教えて」
16. 複数回答
トピックをより包括的に、より深く理解するために、1つの質問について複数の回答や視点を求める。
17. 情報源を求める
ほとんどのモデルは、回答時にリアルタイムでWebをブラウズしない。だが、最後に受けたトレーニングに使われたデータまでの既知の情報源に基づく回答を求めることで、より信頼性を高めることができる。
18. バイアスを制限する
偏りのない答えを出すように、あるいは複数の視点を考慮するように、モデルに明示的に求める。
19. コンプライアンスに注意する
特定の業界のコンプライアンス要件を尋ねる。
例:「ヘルスケア関連のトピックでは、どのようなコンプライアンス要件に留意すべきか」
20. 数値の力
可能な限り数値化する。例えば、数、割合、距離、速度などの情報が必要なら、プロンプトに明記する。
21. 誘導的な質問は避ける
モデルを特定の答えに誘導するような質問をしない。
22. 希望するトーンを伝える
学術的な厳密さを求めるのではなく、既成概念にとらわれない楽しい内容が必要な場合は、その旨を伝える。
例:「グリーンエネルギーキャンペーンのクリエイティブで楽しいキャッチフレーズを考えてほしい」
23. 現実世界での意味を説明する
なぜその答えが必要なのか、あるいはその答えがどのように使われるのかを説明する。
例:「来月、新しいCookieテストアプリを発表する。競合する『〇〇』に対してどのように位置付けるべきか」
24. 安全性と正確性
モデルによって提供される重要な情報を、信頼できる外部の情報源と照合する。モデルの回答に基づく決定がビジネス上重要な意味を持つ場合は、特にそうする必要がある。
25. 時間をかけて改良する
モデルを定期的に使用する場合は、どんな種類のプロンプトで最良の結果が得られるかを記録し、それに応じてプロンプトを改良する。
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