OpenAIの経済調査チームとハーバード大学の研究グループは、一般消費者がChatGPTをどのように利用しているのか、ChatGPTの公開から約3年間の利用データに基づいて調査した結果を明らかにした。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
OpenAIの経済調査チームとハーバード大学の研究グループは2025年9月15日(米国時間)、「ChatGPT」の利用実態をまとめた調査結果を、全米経済研究所(NBER)のワーキングペーパー(査読前論文)として公開した。
同調査は、ChatGPTのサービス公開(2022年11月)から2025年7月までの約3年間を対象とし、大規模言語モデル(LLM)ベースのチャットbotが、どのように普及していったか、生成AIが社会にどのような経済的価値を生み出しているのかを、一般消費者(※)の利用データに基づき分析したものだ。
※:同調査は、一般消費者の利用実態を明らかにすることを目的とし、ChatGPTの無料版および「ChatGPT Plus」「ChatGPT Pro」ユーザーの利用データに基づいている。法人向けプランの利用者、18歳未満のアカウント、メッセージ共有をオプトアウトした利用者は分析の対象外となっている。
OpenAIは同ワーキングペーパーのポイントを、次のようにまとめている。
ChatGPTのリリースから1年で週間アクティブユーザー数(WAU)は1億人以上、2年後には3億5000万人に到達した。2025年7月末には、WAUが7億人(世界の成人人口の約10%に相当)を突破したという。
またグローバルでの普及動向を分析した結果、特に一人当たりGDP(国内総生産)が1万〜4万ドルの低・中所得国でChatGPTの利用が大きく伸びていたという。
ChatGPTの利用は、主に日常的なタスクをこなすことに集中しており、「実用的なアドバイス」「情報検索」「文章作成」の3つで、約78%を占めていた。
対話の目的は大きく分けて「質問する」「実行する」「表現する」の3パターンに分類できるという。
OpenAIは「1日当たり合計25億件以上、毎秒約2万9000件のメッセージが送信されている」とした上で「ChatGPTは仕事の生産性向上に寄与するツールであると同時に、日々の生活においても価値をもたらす存在になりつつあることを示唆するものだ。ChatGPTは特に知識集約型の仕事において、判断力と生産性の向上を助ける役割を担うようになりつつあり、アドバイザーやリサーチアシスタントとしての価値を生み出している」と結論付けている。
OpenAIの調査は、生成AI(人工知能)が社会に浸透し、人々が私生活においても生成AIを使いこなしていることを強く示唆している。企業にとっては、従業員が業務で私的に生成AIを利用する「シャドーAI」が大きな懸念材料になるだろう。業務におけるAI活用ポリシーの策定や、従業員に対するAIリテラシー教育が今後の焦点といえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.