Windows 11では、目的のフォルダや設定画面にたどり着くまでに何度もマウスをクリックしなければならないケースも多い。そこで、フォルダが深い階層にあって開くのが面倒、あの設定はどこにある、といった日々の小さなストレスを解消する「秘密の呪文(コマンド)」を紹介しよう。覚えておくと、日々の作業が少し楽になるはずだ。
対象:Windows 11
Windows OSはさまざまな操作をほぼマウスだけで実行できる。しかし、目的のフォルダや設定画面にたどり着くまでに何度もクリックを繰り返していないだろうか? また、デスクトップにはそれまで開いたウィンドウやダイアログであふれ、「さっき開いたあのダイアログはどこ?」といった状態にもなりがちだ。
フォルダが深い階層にあって開くのが面倒、あの設定はどこにある、といった日々の小さなストレスを解消する「秘密の呪文(コマンド)」を紹介しよう。
ここで取り上げる「秘密の呪文」を実行するには、[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開いて、呪文を入力、[Enter]キーを押す。
[ファイル名を指定して実行]ダイアログは、[Windows]+[R]キーを押すか、[スタート]ボタンを右クリックして開くクイックリンクメニュー(WinXメニューなどとも呼ばれる)の[ファイル名を指定して実行]を選択することでも開くことが可能だ。
通常、デスクトップの左下側に[ファイル名を指定して実行]ダイアログが開く。ここに「cmd」と入力して[Enter]キーを押すと、コマンドプロンプトが開く、といった具合にさまざまな機能をコマンド入力で実行できる。なお、[Ctrl]+[Shift]+[Enter]キーを押すと、管理者として起動できる。ユーザーアクセス制御(UAC)のダイアログが表示されたら、[はい]ボタンをクリックすること。
[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開いたら下準備は終了だ。以下、覚えておくと便利な「秘密の呪文」を5つ紹介しよう。
ユーザーごとに作成されるユーザーフォルダ(C:\Users\<ユーザー名>)には、ドキュメントや画像、音楽、ダウンロードなどのユーザー固有のファイルが含まれるさまざまなサブフォルダが置かれている。また、ユーザーごとの設定やアプリのデータもユーザーフォルダの下にある[AppData]フォルダなどに保存されるようになっている。
ユーザーフォルダを開こうと思うと、通常はエクスプローラーを起動し、ナビゲーションウィンドウの[PC]−[ローカルディスク(C:)]を選択、右ペインで[ユーザー]−[<ユーザー名>]とたどる必要がある。
慣れた人ならば、エクスプローラーを起動して、アドレスバーに「%userprofile%」と入力して[Enter]キーを押すことで素早くユーザーフォルダを開いているかもしれない。
「秘密の呪文」を使えば、もっと簡単にユーザーフォルダを開ける。[Windows]+[R]キーを押して、[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開いたら、「.(ドット1つ)」を入力して、[Enter]キーを押すだけだ。これでユーザーフォルダが開いた状態でエクスプローラーが開く。
ユーザーフォルダの1つ上([C:\Users]フォルダ)を開きたい場合は、「..(ドット2つ)」を入力して、[Enter]キーを押せばよい。
ちなみに[ファイル名を指定して実行]ダイアログに「%userprofile%」と入力して[Enter]キーを押しても、ユーザーフォルダを開くことが可能だ。
アプリの一時ファイルが保存される[Temp(C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Temp)]フォルダには、ごみとなったファイルが山のように残っているはずだ。Tech TIPS「『C:ドライブがいっぱい』を回避、Windows 11の『隠れごみ』を根こそぎ削除する究極テク」で掃除するという方法もあるが、[Temp]フォルダを開いて、定期的に一時ファイルを削除するとよい。
ただ、[Temp]フォルダの場所はユーザーフォルダのさらに奥にあり、エクスプローラーでたどるのはかなり面倒だ。
Windows 11の環境変数「%temp%」を使えば、現在サインインしているユーザーの[Temp]フォルダを開くことができる。
[Windows]+[R]キーを押して、[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開いたら、「%temp%」を入力して、[Enter]キーを押すと、[Temp]フォルダが開いた状態でエクスプローラーを起動できる。
デスクトップにアプリのショートカットを作成したいといった場合、[スタート]メニューにあるアプリの一覧から目的のアプリをドラッグ&ドロップでデスクトップにコピーするのが簡単だ。
ただ、複数のアプリのショートカットを作成しようと思うと、[スタート]メニューを開いて、[すべて]をクリックして、アプリの一覧を表示、目的のアプリを探して、ドラッグ&ドロップする、という操作を繰り返さなければならない。
このような場合、PCにインストールされている全てのアプリを一覧表示できる「秘密の呪文」を使うとよい。
[Windows]+[R]キーを押して、[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開いたら、「shell:appsfolder」を入力して、[Enter]キーを押すと、エクスプローラーでアプリの一覧が表示された特殊な[Applications]フォルダが開ける。ここから目的のアプリを探して、デスクトップにドラッグ&ドロップすればよい。ただし、ドロップして作成したショートカットには名前に「- ショートカット」と付いてしまうので、この部分を削除する必要がある。
また、[Applications]フォルダ上のアプリアイコンを右クリックすると表示されるメニューでタスクバーにピン留めしたり、管理者として実行したりすることも可能だ。
Windows 11の操作で重要な相棒である「マウス」。ポインターの速度やスクロールする量など、自分好みに調整すれば、操作感が劇的に向上するはずだ。マウスは、「設定」アプリで[Bluetoothとデバイス]−[マウス]を選択して開く「マウス」画面で設定している人が多いかもしれないが、[マウスのプロパティ]ダイアログを使うとより細かな設定ができる。
ただ、この[マウスのプロパティ]ダイアログを開く場所が分かりくい。「設定」アプリの「マウス」画面にある「関連設定」欄の[マウスの追加設定]をクリックすれば開くのだが、意外と気付きにくい。
そんな場合は、[Windows]+[R]キーを押して、[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開いたら、「main.cpl」を入力して、[Enter]キーを押そう。一発で[マウスのプロパティ]ダイアログが開く。
[マウスのプロパティ]ダイアログの[ホイール]タブでは、垂直スクロールで一度にスクロールする行数が1行単位で指定できる(「設定」アプリでは複数行か1画面ずつのどちらか)。また、[ポインター]タブではマウスポインターのデザインも変更可能だ。
怪しいWebサイトや添付ファイルは開かないし、フリーソフトウェアなどもダウンロードしていないから安心、と思っていないだろうか。最近は、メールやWebサイトを通じてユーザーの知らないうちに不正なプログラムを送り込む、といった攻撃も報告されている。
また、正規のWebサイトであっても、誤ってデバイスドライバのパッケージにウイルスが仕込まれてしまっていたという例もある。実際、筆者もこれに遭遇したことがある。インストール前だったので大事には至らなかったが、システムが乗っ取られたり、他のPCに感染を広げたりしてしまうところだった。
このように気を付けていたとしても、攻撃を受ける可能性がある。定期的にウイルスチェックを実行すべきだ。
Windows 11には、「Windowsセキュリティ」が実装されており、ウイルス対策が標準装備されている。この機能を使って定期的にウイルスチェックを実行するとよいだろう。
「Windowsセキュリティ」を開いて、ウイルススキャンをするのが一般的かもしれないが、「Microsoft Windows悪意のあるソフトウェアの削除ツール」を直接起動すると、フルスキャンも簡単に実行可能だ。
[Windows]+[R]キーを押して、[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開いたら、「mrt」を入力して[Enter]キーを押すと、「Microsoft Windows悪意のあるソフトウェアの削除ツール」が起動する。
「Microsoft Windows悪意のあるソフトウェアの削除ツール」が起動したら、[次へ]ボタンをクリックし、スキャンの種類を選択(定期的に「フルスキャン」を選択して実行するとよい)、[次へ]ボタンをクリックすると、ウイルススキャンが開始される。
「mrt」の3文字なので、安心・安全のために覚えておくとよいだろう。
ここで紹介した秘密の呪文は、ほんの一部である。この中の幾つかを覚えておくだけでも、Windows操作が楽になるはずだ。
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