【Excel時短術】部署→役職→氏名……複雑なデータソートを一発で終わらせるテクニックTech TIPS

Microsoft Excelでデータを並べ替えるとき、「まず部署順、次に役職順、最後に氏名順に並べたい……」といった複数の条件で並べ替えたい(ソートしたい)といったことはないだろうか。標準の並べ替えでは一発でできないが、実は「レベルの追加」機能を使えば、複数の条件を組み合わせて、思い通りの順番にデータを並べ替えることができる。これを使えば、簡単に複雑な並べ替えができ、分析効率が格段にアップするはずだ。

» 2025年08月04日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]
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対象:Excel 2016/2019/2021/2024/365


Excelの「レベルの追加」機能で思い通りの並べ替えを実現 Excelの「レベルの追加」機能で思い通りの並べ替えを実現
Microsoft Excelでデータを並べ替えるとき、「まず部署順、次に役職順、最後に氏名順に並べたい……」といった複数の条件で並べ替えたい(ソートしたい)といったことはないだろうか。実は「レベルの追加」機能を使えば、複数の条件を組み合わせて、思い通りの順番にデータを並べ替えることができる。本Tech TIPSでは、その使い方を紹介しよう。なお画面中の名前は、「テストデータ・ジェネレータ」で生成したダミーデータである。

 「Microsoft Excel(エクセル)」でデータを分析する際など、複数の条件で並べ替えたい(ソートしたい)といったこともあるだろう。ただ、[データ]タブの[並べ替えとフィルター]グループにある[昇順]や[降順]では、1つの列をキーにした並べ替えしかできない。

 そのため、特定の列で並べ替えた後に、データをブロックごとにコピーして、別の並べ替え条件(キー)で並べ替えて、といった面倒な作業をしていないだろうか。実は「レベルの追加」機能を使えば、複数の条件を組み合わせて、思い通りの順番にデータを並べ替えることが可能だ。

 本Tech TIPSでは、Excelの並べ替えで「レベルの追加」機能を使う方法を紹介する。

Excelで複数の条件で並べ替える方法

 Excelの並べ替えには、単純な「昇順」「降順」でソートする方法の他、「レベルの追加」機能がある。これを使うと、複数の並べ替え条件を順番に設定できる。

 例えば、社員番号順の社員名簿を「部署」で並べ替えた後、同じ部署の中では「役職」で並べ替え、さらに同じ役職の中では「名前」で並べ替える、といったことが可能になる。

 使い方はそれほど難しくない。ここでは、社員名簿を「部署」「役職」「名前」の順で並べ替える例を見ていく。

Excelで複数の条件で並べ替える(1) Excelで複数の条件で並べ替える(1)
社員番号順の社員名簿を「部署」→「役職名」→「名前」の順で並べ替える。表内のセルを選択し、[Ctrl]+[A]キーで表のセル範囲を選択、[データ]タブの[並べ替え]をクリックする。
Excelで複数の条件で並べ替える(2) Excelで複数の条件で並べ替える(2)
[並べ替え]ダイアログが開いたら、「先頭行をデータの見出しとして使用する」にチェックを入れる。「最優先されるキー」の「列」で[部署]を、「並べ替えるキー」で[セルの値]を、「順序」で[ユーザー設定リスト]をそれぞれ選択する。
Excelで複数の条件で並べ替える(3) Excelで複数の条件で並べ替える(3)
[ユーザー設定リスト]を選択すると、[ユーザー設定リスト]ダイアログが開くので、「リストの項目」欄に並び順のリストを入力する。並び順のリストの作成方法は後述のコラム「【One Point】「ユーザー設定リスト」は重複の削除で作成できる」を参照してほしい。
Excelで複数の条件で並べ替える(4) Excelで複数の条件で並べ替える(4)
「最優先されるキー」の順序が設定できたので、[レベルの追加]ボタンをクリックして、2つ目のキーを追加する。
Excelで複数の条件で並べ替える(5) Excelで複数の条件で並べ替える(5)
同様に2つ目(「次に優先されるキー」)を設定して、3つ目のキーを設定するため、[レベルの追加]ボタンをクリックする。
Excelで複数の条件で並べ替える(6) Excelで複数の条件で並べ替える(6)
3つ目の条件を設定し、[OK]ボタンをクリックする。さらに条件を追加したい場合は、同様に[レベルの追加]ボタンをクリックして優先されるキーが追加できる。
Excelで複数の条件で並べ替える(7) Excelで複数の条件で並べ替える(7)
「部署」「役職」「名前」の順で並べ替えが実行できた。このように複数の条件で、簡単に並べ替えができる。

手順を詳しく解説

 並べ替えたいデータを含むセル範囲を選択する。通常は、表全体を選択しておけばいいだろう。表全体を選択するには、表内のセルを選択して、[Ctrl]+[A]キーを押せばよい。

 セル範囲を選択したら、[データ]タブの[並べ替えとフィルター]グループにある[並べ替え]ボタンをクリックする。[並べ替え]ダイアログが表示されるので、ここで並べ替えの条件を入力していくのだが、その前に忘れずに「先頭行をデータの見出しとして使用する」にチェックを入れること。

 チェックを入れたら、1つ目の条件を設定しよう。[並べ替え]ダイアログの「最優先されるキー」の「列」で[部署]を選択する(「先頭行を……」にチェックを入れていると見出し行の項目でキーが選択できる)。「並べ替えのキー」はプルダウンリストから[セルの値]を選択しておく。「順序」は[昇順][降順][ユーザー設定リスト]のいずれかを選ぶ。数値が入っている列の場合は、[小さい順][大きい順][ユーザー設定リスト]から選ぶ。

 「ユーザー設定リスト」を選ぶと、[ユーザー設定リスト]ダイアログが開き、ここで項目の順番が設定可能だ。独自の並び順を設定したい場合は、「ユーザー設定リスト」欄で[新しいリスト]を選択し、「リストの項目」欄に改行を入れて項目を並べればよい。例えば、「部署」の並びを設定したい場合は、「リストの項目」欄に「社長室」「人事部」「総務部」「企画部」……と改行を入れて各部署名を入力して、[追加]ボタンをクリックする。

 2つ目の条件を追加していくには、[レベルの追加]ボタンをクリックして、新しい並べ替えのキーを追加すればよい。ここで2つ目の条件として「役職」を選び、同様に順序を設定する。

 さらに「レベルの追加」をクリックし、3つ目の条件として「名前」を選び、順序を設定する。このようにして必要なだけレベルが追加できる。

 全ての条件を設定したら、[並べ替え]ダイアログの[OK]ボタンをクリックする。これで、複数の条件による並べ替えが実現できる。

【One Point】「ユーザー設定リスト」は重複の削除で作成できる

 「ユーザー設定リスト」を選択して、独自のキーの並び順を設定したい場合、もれなく項目を並べるのは面倒だろう。

 この場合、並べ替えを実行する列を新たに開いたExcelのブックにコピーして、[データ]タブの[データツール]グループにある[重複の削除]を実行すれば簡単に項目名のリストが作成できる(重複削除の詳細は、Tech TIPS「ドンとこいExcel重複削除」参照のこと)。

 これを、並べたい順番に並べ替えてから、「メモ帳」アプリなどにコピーしておく([ユーザー設定リスト]ダイアログを開くと、他のブックやシートの操作ができなくなるため) 。[ユーザー設定リスト]ダイアログを開いたら、「メモ帳」アプリなどからリストを「リストの項目」欄にコピーすればよい。

「ユーザー設定リスト」を作成する(1) 「ユーザー設定リスト」を作成する(1)
「ユーザー設定リスト」にしたい列を新しいブックにコピーし、[データ]タブの[重複の削除]をクリックする。
「ユーザー設定リスト」を作成する(2) 「ユーザー設定リスト」を作成する(2)
[重複の削除]ダイアログが開くので、「先頭行のデータを見出しとして使用する」にチェックを入れて、[OK]ボタンをクリックする。
「ユーザー設定リスト」を作成する(3) 「ユーザー設定リスト」を作成する(3)
重複したデータが削除され、「ユーザー設定リスト」に入力する項目名の一覧が作成できる。これを並べ替えたい順にして、「メモ帳」アプリにコピーする。
「ユーザー設定リスト」を作成する(4) 「ユーザー設定リスト」を作成する(4)
[ユーザー設定リスト]ダイアログが開いたら、「メモ帳」アプリからリストをコピーして、[追加]ボタンをクリックする。このようにすれば、いちいち項目名を抜き出す必要もなく、もれなく項目名が入力できる。


Excelの「レベルの追加」機能はどんなときに便利?

 このように複数の列を使って並べ替えができるので、さまざまな場面の分析などで活用できる。

 例えば、売り上げデータを分析したいような場合、「地域」→「担当者」→「商品カテゴリー」の順で並べ替えれば、どの地域の誰が、どの商品を多く売っているかが一目で分かる。売り上げが高い理由を分析すれば、他の人の売り上げを伸ばすこともできるだろう。

 また、店舗ごとの在庫状況を「商品名」→「在庫数(昇順)」で並べ替えれば、各店舗で不足している商品が把握できるので、余っている店舗から足りない店舗に在庫を回すなどの手配が可能になる。

 タスク管理でも、「優先度」→「期限」→「担当者」の順に並べ替えれば、チーム全体のタスク状況や、各人に割り当てられた緊急タスクを素早く把握でき、問題になりそうなタスクがすぐに把握可能だ。

 Excelの「レベルの追加」機能はそれほど難しいものではないが、データの分析には非常に役立つので、使い方を覚えて活用してほしい。

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