この先、どうなるのかな?――40代から考える、エンジニアのキャリア仕事が「つまんない」ままでいいの?(127)(1/4 ページ)

「この先のキャリア、どうなるんだろう?」そんな不安を感じる40代のエンジニアへ。人生100年時代、これからも「長く活躍したい」と願っているはず。実は企業も同様です。このすれ違いを解消するために、あなたの経験を生かし、無理なくキャリアの未来を開くヒントを提案します。未来への小さな一歩を踏み出すきっかけにしてください。

» 2025年07月16日 05時00分 公開

将来のキャリアに対する「漠然とした不安」

 もしあなたが、40〜50代の、経験をそれなりに積んできたエンジニアだったら「この先、どうなるのかな?」と、ふと、不安になることはありませんか?

 毎日の仕事は着実にこなしているし、技術力もそれなりにはある。けれども、未来の自分を想像すると、漠然とした「将来への不安」がある――このような焦燥感を抱いている方も多いのではないでしょうか?

 この漠然とした不安の背景には、ひょっとしたら「人生100年時代」といった、社会の変化もあるのかもしれませんね。

 人生を80年としたとき、定年が65歳なら、定年後は15年です。15年なら年金と退職金で何とかなりそうです。でも、人生が100年の場合、単純に考えただけでも、あと20年は長く生きることになります。35年と思うと……結構長い(笑)。

 漠然とした不安の正体は、ひょっとしたら「先の見えなさ」にあるのかもしれません。

 「もう、働きたくない」のなら仕方がないけれど、「いままでの経験を生かして、もっと活躍できたらいいな」と思っていたら、これから何をしていけばいいのか、一緒に考えてみませんか?

「人材がいない」漠然とした不安、実は企業側も

 「いままでの経験を生かして、もっと活躍できたらいいな」というあなたの願い。これまでは容易でなかったかもしれません。でもひょっとしたら、今後は可能になってくるかもしれません。

 なぜなら、企業側もまた、切実にあなたの力――つまり、ミドルシニア世代のエンジニアが持つ経験とスキルを求めているからです。いまはそう思えなくても、今後は、そのようになってくるでしょう。というのも、近年深刻化している「人口減少、少子高齢化」の影響で、若い世代の採用が本当に難しくなっているからです。

 僕は、組織づくりやコミュニケーションに関する企業研修や講演に携わっています。人事や教育担当者と話す機会も多くありますが、近年、次のような声を聞く機会が増えてきました。

  • 人口減少、少子高齢化で若い世代の採用が難しくなってきている
  • ミドルシニア世代は最も人数が多い「ボリュームゾーン」
  • これまで、「50代で役職定年、60代で定年、その先は再雇用」といった一律の制度だったが、もしもミドルシニア世代がさらに活躍できれば、本人にとっても、会社にとっても良いことのはず

 こうした話を耳にするたびに思うのです。働く側は「長く働きたい」と思っているし、企業側も「長く働いてほしい」と願っている。「本当は、相思相愛なんじゃないか」と。

本当は相思相愛なんだね

ミドルシニアが抱える「マインドの壁」と企業の「育てられない現状」

 ただ、課題もあります。相思相愛のはずなのに、すれ違ってしまっているのには幾つかの理由があります。

 まずは、ミドルシニア世代が抱える「マインドの壁」です。

 私たちミドルシニア世代の多くは、これまでのキャリアを「65歳で定年」という前提で歩んできました。言い方を変えると「定年後のキャリアプランなんて、考えたこともなかった」という人がほとんどかもしれません。会社の指示に従って仕事をし、やがて定年を迎える。これまではそれが、当たり前の人生設計だったわけです。そのため……。

「自分はもう年だから、新しい技術の習得なんて無理だよ……」

「今さら頑張っても、あと何年働けるんだ?」

「何とか定年まで逃げ切って、後は悠々自適に暮らしたい……」

 このように年齢を理由に、学ぶことを諦めてしまったり、「いかに乗り切るか」を考えてしまったりする人も、残念ながら一定数います。

 でも、僕は思うのです。エンジニアの皆さんは、これまでの経験の中でさまざまなプロジェクトを経験し、困難を乗り越え、多くの修羅場をくぐり抜けてきました。若手にはない「経験知」と「課題解決能力」は、何物にも代え難いあなたの財産です。それは、会社の財産でもあります。そんな貴重な人材が、自ら未来の可能性を閉ざしてしまうなんて、本当にもったいない!

 では、企業側はどうでしょう? あなたの会社も、ミドルシニアの可能性を理解していないわけではありません。しかし、企業側もまた、幾つかの課題に直面しています。

 ややトゲのある言い方ではありますが、ミドルシニア層はこれまで、会社にとって「近い将来、去っていく」存在でした。そのため、彼らに対する体系的な教育投資やキャリア開発は、正直、手薄になりがちでした。

 もちろん、近年では「リスキリング」や「アップスキル」の重要性が叫ばれ、学ぶ機会を設けたり、将来のキャリア自律のために副業できるような制度を導入したりする企業も増えました。でも、それもどこか「本人任せ」になっているのが実情です。「はい、学ぶ機会は提供しましたよ。後は自分で頑張ってね」というスタンスだと、やる気も出ないし、なかなか成果にはつながりませんよね。

 つまり、労働者側も企業側も、お互いがお互いを必要としているはずなのに、「過去の慣習」と「未来への対応の遅れ」によって、その思いがなかなかつながらない。これが、あなたも感じている「漠然とした不安」の大きな原因ではないでしょうか?

 このすれ違いは、決して乗り越えられない壁ではありません。むしろ、あなたにも企業側にも乗り越えてほしい。あなたが少し意識を変え、行動を起こすことで、企業側がミドルシニア従業員の悩みに寄り添い、今後の活躍を支援することによって、この現状を打破し、「相思相愛」の関係を本当の意味で築き上げていけるのではないかと思うのです。

 とはいえ、自分を変えるのさえ難しいのに、会社を変えるのはもっと難しい。そこで、相思相愛の関係を築くために、まずは労働者側ができる戦略を3つ、考えてみました。

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