ゲームが好き、プログラミングも好き、柔道は怖い、クモはもっと怖い。ブドウの産地で産まれ育った青年は、次第に外の世界に目を向けていく。
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はペイメントフォーのシステムエンジニア、Julien Descombes(ジュリアン・デコンブ)さんに登場いただく。数学が苦手だったジュリアンさんは、高校生の時にC言語と出会い、プリントアウトしたコードを一生懸命読み込んだ――。
聞き手は、AppleやDisneyなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。
阿部川“Go”久広(以下、阿部川) フランス出身とのことですが、具体的にはどちらですか?
Julien Descombes(ジュリアン・デコンブ 以下、ジュリアンさん) ブルゴーニュ地方のヴォーヌ・ロマネ村にあるロマネ・シュトランです。すごい田舎でブドウ畑しかありません。ボジョレ・ヌーボーはこの村で採れたブドウで作られます。
阿部川 村の多くの方がブドウ栽培やワインに関わっているのでしょうか。
ジュリアンさん 9割方そうですね。私も小さい頃からブドウ畑を手伝いました。
阿部川 子どもの頃、PCに触れる機会はありましたか?
ジュリアンさん 小さな頃から自宅にあるPCでゲームをしていました。たしかOSはWindows 98です。最初はスタンドアロンでしたが、中学生の時にインターネットにつながるようになって、世界が広がりました。
阿部川 ジュリアンさんは1990年生まれなので、2005年ごろでしょうか。基本的にWindowsでしたか?
ジュリアンさん そうです。Linuxを触ったのは大学に入ってから、Mac OSは日本に来てからです。
阿部川 PCはもっぱらゲームで遊んでいたのですか?
ジュリアンさん 高校生になってプログラミングに興味を持つようになりましたが、小中学生の頃は、ゲームだけです。『Dofus』というゲームにけっこうはまりました。フランスのゲーム会社「Ankama Games」が提供しているマルチプレーヤーRPG(ロールプレイングゲーム)です。プレイヤー同士の対戦もあり、いまだに人気があります。
阿部川 フランスの教育制度は日本と同じですか?
ジュリアンさん 3歳から幼稚園、6歳から小学校、12歳から中学校なので日本とあまり変わりませんね。ロマネ・シュトランは人口1300人の小さな村なので、小学校しかありません。中学校は隣町、高校はより大きな町へ通学しました。中学校へはバスで20分ほどでした。
阿部川 人口が1300人だとみんな互いに知っていそうですね。学校で部活などはしましたか?
ジュリアンさん フランスは日本と違って学校に部活がないので、個人で遊んだりレッスンを受けたりします。小学生の時は、当然のようにサッカーをしていました。あと、柔道とアーチェリーも。柔道は道着と畳があればできますので、フランスでは人気のスポーツです。でも私は落とされるのが怖くなっちゃって、柔道は長続きしませんでした。
阿部川 中学生の時はどの教科が得意でしたか?
ジュリアンさん ずっと理系でしたが、数学はダメだったんですよね。
阿部川 理系といえば数学ですが(笑)。
ジュリアンさん 数学(計算)以外なら何でも好きでしたね。物理とか。
阿部川 人が頭を使うのは計算ではありませんものね。そして高校に進学します。大きな町の学校まで通学したのですね。
ジュリアンさん はい。バスで片道1時間20分くらいかかるので、朝は5時半起きでした。
阿部川 高校でプログラミングに興味を持ち始めたんですよね。
ジュリアンさん 高校2年生になると、技術系や理系など、進路を選ぶ必要がありました。とか。そこでプログラミングに興味を持ち始め、C言語をプリントでたくさんやりました。
阿部川 紙に出していたんですね。
ジュリアンさん 紙に40〜50枚ほど印刷して、一生懸命コードを読んでいました。高校にもPCの授業がありましたが、PCの触り方を習う程度だったので、「それはもう知ってる」という感じでした。なので、プログラミングについては独学でした。
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