VS Codeの新バージョンで「MCP仕様を全機能をサポートした」とMicrosoftが発表MCPにおける認証、プロンプト、リソース、サンプリングとは

Microsoftは2025年6月12日、「Visual Studio Code」の最新版「May 2025」(バージョン1.101)が、MCPの仕様を完全にサポートしたと発表した。

» 2025年06月19日 08時00分 公開
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 Microsoftは2025年6月12日(米国時間)、同日公開した「Visual Studio Code」(以下、VS Code)の最新版「May 2025」(バージョン1.101)で、MCP(Model Context Protocol)の仕様を完全にサポートしたことをブログで紹介した。

 同年5月に公開されたバージョン1.100で、MCPのツールやワークスペースの認識機能などは導入されていたが、バージョン1.101では「認証」「プロンプト」「リソース」「サンプリング」などの機能が利用可能になった。Microsoftは「これでMCPの全機能に対応した」としている。

認証のサポート

 VS CodeがMCPの新しい認証の仕様に対応した。同社によると、この仕様の策定には、Microsoftの他、Anthropic、Okta(Auth0)、Stytch、Descopeを含む幅広いアイデンティティー(ID)コミュニティーが協力したという。

 新しい認証では、MCPサーバを「リソースプロバイダー」として認証サーバから明確に分離した。そのため、開発者が独自の「OAuth」認証機能を一から構築する必要がなくなり、既存のIDプロバイダーに認証を任せられるようになった。

 バージョン1.100で導入された「Streamable HTTPトランスポート」と組み合わせることで、エンタープライズレベルのセキュリティを維持しながら、独立して拡張可能なリモートMCPサーバを構築できるようになった。「GitHub MCP Server」がその一例だ。GitHub MCP Serverは、VS Codeの既存のGitHub認証とアカウント管理を利用し、OAuthを適切に統合したリモートサーバとして利用可能になっている。

画像 VS CodeからGitHub MCPサーバへのログインダイアログ(提供:Microsoft

プロンプトのサポート

 MCPは、LLM(大規模言語モデル)のアプリケーションやAI(人工知能)エージェントといったMCPクライアントに、MCPサーバがコンテキスト(文脈)、ツール、プロンプトを提供する仕組みになっている。

 プロンプトは、LLMのために再利用可能なスニペットやタスクを生成するためにMCPサーバによって定義される。これは、ユーザーによって管理、調整できるように設計されている。

 VS Codeのチャット内で「/mcp.servername.promptname」という形式のコマンドとしてアクセスでき、プレーンテキストを入力したり、プロンプト変数にコマンド出力を含めたりできる。

画像 AIを使ってプロンプトを生成し、Gistpad MCPサーバを用いて保存し、それを使って変更履歴エントリを生成している例(提供:Microsoft

リソースのサポート

 MCPにおけるリソースは、MCPサーバがエクスポーズ(公開)し、MCPクライアントによって読み取ることができるデータやコンテンツのことだ。テキストや画像などが含まれ、LLMが回答を生成する際のコンテキストとして利用される。

 VS Codeでは、このリソースを表示したり保存したりできる他、コンテキストとして添付も可能だ。

画像 Gistpad MCPサーバからリソースをチャットに添付している例(提供:Microsoft

サンプリングのサポート(実験段階)

 MCPにおけるサンプリングとは、MCPサーバがMCPクライアントを通じて、LLMにリクエストを送る機能だ。この機能を使うことで、セキュリティとプライバシーを維持しながら、複雑な推論をさせたりマルチエージェント同士の連携を促したりできる。

画像 MCPサーバが初めてサンプリングのリクエストをする際にユーザーは確認を求められる。MCPサーバがアクセスできるモデルを設定したり、リクエストのログを確認したりできる(提供:Microsoft

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