Microsoftが「Visual Studio Code 1.100」を公開 GitHubリポジトリ横断検索やMCPサポートなど機能拡充「指示ファイル」と「プロンプトファイル」が使用可能に

Microsoftは、2025年5月8日「Visual Studio Code」の最新版「April 2025」(バージョン 1.100)を公開した。AIチャットの機能やパフォーマンスの強化をはじめ、さまざまな改良が加えられている。

» 2025年05月22日 08時00分 公開
[@IT]

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 Microsoftは2025年5月8日(米国時間)、「Visual Studio Code」(以下、VS Code)の最新版「April 2025」(バージョン 1.100)を公開した。主に以下の部分が強化されている。

チャット

  • AI(人工知能)への指示に、「指示ファイル」と「プロンプトファイル」を利用できるようになった。
  • 「GitHub」や拡張機能用のツールの機能が拡充され、より便利になった。
  • MCP(Model Context Protocol)用に「Streamable HTTP」と画像出力がサポートされた。

パフォーマンス

  • チャットリクエストの応答が高速になった。
  • エージェントモードで高速な編集が可能になった。

開発者体験

  • チャットとエディタのマルチウィンドウサポートが改善された。
  • ステージングされた変更をエディタから直接表示できるようになった。

「指示ファイル」と「プロンプトファイル」が使用可能に

 Markdown形式の指示ファイルとプロンプトファイルを使用することで、特定のコーディング慣行や技術スタックに合わせて“VS CodeでのAI体験”をカスタマイズできるようになった。

指示ファイル

 指示ファイルは、コードスタイルルールや使用するフレームワークなど、AIモデルのための一般的なガイドラインとコンテキストをMarkdown形式で記述したものだ(*.instructions.md)。ユーザーデータフォルダまたはワークスペースに配置でき、「chat.instructionsFilesLocations」の設定で、指示ファイルを格納しているフォルダを指定する。指示ファイルは特定のチャットリクエストに手動で添付したり、自動的に追加したりできる。

画像 TypeScriptファイルのための指示ファイルの例。プロンプトがTypeScriptファイルを含む場合、自動的に指示ファイルが添付される(提供:Microsoft

プロンプトファイル

 プロンプトファイルは、プロンプトテキスト、チャットモード、使用するツールを含む、独立したチャットリクエストをMarkdown形式で記述したものだ(*.prompt.md)。再利用を前提としたチャットリクエストを作成するのに便利だ。例えば、フロントエンドのコンポーネント作成や、セキュリティレビューの実行など。プロンプトファイルはユーザーデータフォルダまたはワークスペースに配置でき、「chat.promptFilesLocations」の設定で、プロンプトファイルのフォルダを指定する。

画像 プロンプトファイルの実行例1:チャット入力フィールで「/」に続けてプロンプトファイル名を入力(提供:Microsoft
画像 プロンプトファイルの実行例2:エディタでプロンプトファイルを開き、エディタツールバーの「再生」ボタンを押すと、チャットビューに戻らずに素早くそのプロンプトを実行できる(提供:Microsoft

「#githubRepo」ツールでGitHubリポジトリのコードを検索できる

 エディタで開いていないGitHubリポジトリについて質問したい場合(例えば、「microsoft/vscode」リポジトリで特定の関数がどのように実装されているかを知りたい場合など)に、アクセス権のあるGitHubリポジトリで「#githubRepo」ツールを使って、コードスニペットを検索できるようになった。前述した指示ファイルと組み合わせて使うこともできる。

「#extensions」ツールでMarketplaceの拡張機能を検索可能に

 「#extensions」ツールを使うことで、チャットでMarketplaceの拡張機能を検索できるようになった。このツールは、検索条件に一致する拡張機能のリストを返す。検索結果から拡張機能を直接インストールすることもできる。

MCPで「Streamable HTTP」をサポート

 MCPサーバ用に新たにStreamable HTTPトランスポートをサポートする。Streamable HTTPサーバは既存の「SSE(サーバ送信イベント)サーバ」と同様に構成されており、実装はSSEサーバとの後方互換性を保っている。

MCPによる画像出力をサポート

 ツール出力の一部として画像を生成するMCPサーバをサポートするようになった。

会話の要約とプロンプトキャッシングの改善

 エージェントモードでは、大きなコンテキストで反復的なリクエストが実施されることが多いが、こうした場合のAIモデルの応答を高速化するために、プロンプトキャッシングの方法を変更した。

 会話(AIとのチャットでのやりとり)が長くなった場合や、コンテキストが非常に大きくなった場合に、それまでの会話で最も重要な情報とタスクの現状を要約(圧縮)するようになった。

エージェントモードでの編集がより高速に

 エージェントモードでOpenAIのパッチ適用編集形式(「GPT 4.1」と「o4-mini」)とAnthropicの文字列置換ツール(「Claude Sonnet 3.7」と「Claude Sonnet 3.5」)のサポートを実装した。これによって、これまでより大幅に高速な編集が可能になったという。

フローティングウィンドウの新モードを実装

 エディタと特定のビューをメインウィンドウから小さなウィンドウに移動した「フローティングウィンドウ」で、以下の2つの新しいモードが利用できるようになった。

コンパクトモード

 特定のUI(ユーザーインタフェース)要素を隠し、コンテンツをより大きなスペースで表示する

“常に手前”モード

 ウィンドウが常に他の全てのウィンドウより手前に表示される(モードを終了すると元に戻る)

ステージングされた変更をエディタから直接表示可能に

 ソース管理ビューを開くことなく、ステージングされた変更をエディタから直接表示できるようになった。

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