Windows 10からWindows 11にすると、大きく変更されたユーザーインタフェースに戸惑うことになる。とりわけ日本語入力システム「Microsoft IME」が変わったように感じることに不満を持つ人も多いのではないだろうか。そこで、Windows 10からWindows 11に移行して困る日本語入力システムの問題を解決する方法を紹介しよう。
対象:Windows 11
Windows 10からWindows 11にアップグレードして戸惑うのは、やはり大きく変更されたユーザーインタフェースだろう。Windows 11で目的の機能が見つからなかったり、変更したい設定項目の場所が分からなかったり、一通りの設定が終わって、慣れるまでは使いにくいと感じることも多いと思う。
さらに日本語入力システム「Microsoft IME」の仕様変更が、Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)で実施されており、Windows 11でも同じ仕様が引き継がれている。当時は話題になったため、「古いMicrosoft IME」に変更した人も多かったのではないかと思う。
しかし、既に5年近く経過して、変更したこと自体忘れているかもしれない。Windows 11にしたら、Microsoft IMEが使いにくくなり、以前は可能だった設定ができなくなった、と感じていることだろう。そこで、本Tech TIPSではWindows 10からWindows 11に移行した際の日本語入力システムに関する困り事を解消する方法を紹介しよう。
Windows 11がプリインストールされたPCを購入した場合など、改めてMicrosoft IMEの設定をしたいこともあるだろう。Microsoft IMEの設定は、Windows 11の「設定」アプリでできるのだが、「設定」アプリの深いところにあるため、トップ画面からたどるのは結構面倒だ。
設定したい場合は、通知領域にある[A]または[あ]アイコン(マウスホバーで「右クリックでIMEのオプションを表示します」と表示される)を右クリックして、表示されたメニューの[設定]を選択する。「Microsoft IME」画面が表示された状態で「設定」アプリが開くはずだ。
ちなみに「設定」アプリのトップ画面からたどる場合は、[時刻と言語]−[言語と地域]を選択して、「言語と地域」画面を開き、「日本語」の[…]アイコンをクリックして、[言語のオプション]を選択する。「オプション」画面が開いたら、「キーボード」欄にある「Microsoft IME」の[…]をクリックして、[キーボードオプション]を選択すると、「Microsoft IME」画面が開く。
この「Microsoft IME」画面でMicrosoft IMEに関するさまざまな設定が可能だ。
[変換]キーでIMEのオン/オフをできるようにしたい場合、「Microsoft IME」画面で[キーとタッチのカスタマイズ]をクリックし、「キーとタッチのカスタマイズ」画面を開き、「キーの割り当て」欄の「各キー/キーの組み合わせに好みの機能を割り当てます」のスイッチを「オン」にして、「変換キー」欄のプルダウンリストで[IME-オン/オフ]を選択すればよい。
また、「キーとタッチのカスタマイズ」画面では、キーテンプレートを「Microsoft IME」と「ATOK」のいずれかから選択可能だ。
句読点の組み合わせは、「Microsoft IME」画面で[全般]を選択し、「全般」画面を開き、「句読点」のプルダウンリストで設定できる。
前述の通り、Windows 11のMicrosoft IMEは、Windows 10 May 2020 Updateから導入された「新しいMicrosoft IME」と同じものが標準となっている。そのため、違和感がない人もいる一方で、「古いMicrosoft IME」を使っていた人は新しいMicrosoft IMEに馴染めない場合もある。
新しいMicrosoft IMEでは、前述の通り、キーテンプレートとして「Microsoft IME」と「ATOK」の2種類からしか選択できなくなっている。古いMicrosoft IMEでは、それに加え「IME Standard」「VJE」「WX」といったキーテンプレートが選択できた。それに加えて古いMicrosoft IMEでは、選択したキーテンプレートをベースに特定のキーに機能を割り当てることも可能だった。
筆者の場合、「VJE」を選択してから、[変換]キーを「IME-オン/オフ」にするカスタマイズをして使ってきた。こうしたキーボードショートカットは、指が覚えているので、これが変わってしまうと日本語の入力効率が大幅に落ちてしまうことになる。
新しいMicrosoft IMEが使いにくいならば、Windows 10と同様、古いMicrosoft IMEに戻せばよい。
通知領域にある[A]アイコンを右クリックして、表示されたメニューの[設定]を選択する。「設定」アプリの「Microsoft IME」画面が開くので、[全般]をクリックして、「全般」画面を開き、「互換性」欄の「以前のバージョンのMicrosoft IMEを使う」のスイッチを「オン」にする。[IMEバージョンの変更]ダイアログが表示されたら、[OK]ボタンをクリックして、古いMicrosoft IMEに切り替える。
古いMicrosoft IMEの設定を変更/確認するには、通知領域にある[A]アイコンを右クリックして、表示されたメニューの[プロパティ]を選択する。[Microsoft IMEの設定]ダイアログが開くので、入力モードの表示を「オフ」にしたい場合は、「IME入力モード切替の通知」欄にある「画面中央に表示する」のチェックを外せばよい。[詳細設定]ボタンをクリックして、[Microsoft IMEの詳細設定]ダイアログを開くと、キーテンプレートなどの変更が可能だ。
日本語入力システムとして、Microsoft IME以外のGoogle日本語入力やATOKを利用している人も多いのではないだろうか。Windows OSでは、複数の日本語入力システムをインストールして、[Windows]+[Space]キーで切り替えて使うことも可能だ。
ただ、Microsoft IME以外の日本語入力システムを既定として選んでいる場合、更新プログラムを適用すると、既定がMicrosoft IMEに戻ってしまうことがある。常にGoogle日本語入力やATOKを使いたい場合は少々不便な仕様だ。
もしMicrosoft IMEを使わないのであれば、日本語入力システムからMicrosoft IMEを削除してしまえばよい。それには、「設定」アプリを起動し、[時刻と言語]−[言語と地域]を選択して、「言語と地域」画面を開き、「日本語」欄の[…]アイコンをクリックして、[言語のオプション]を選択する。
「オプション」画面が開くので、ここの「キーボード」欄にある「Microsoft IME」の[…]アイコンをクリックして、表示されたメニューの[削除]を選択する。これで、Microsoft IMEが削除され、日本語入力システムはGoogle日本語入力もしくはATOKだけになる([キーボードレイアウト]アイコンも非表示になる)。
なお、機能更新プログラムなどの大型更新プログラムを適用した際にMicrosoft IMEが復活して、既定の日本語入力システムになってしまうこともあるので注意してほしい。
また、Microsoft IMEを元に戻したい場合は、「オプション」画面を開き、「インストールされているキーボード」欄の[キーボードの追加]ボタンをクリックし、表示されたメニューから[Microsoft IME]を選択すればよい。
MicrosoftのPC「Surface」シリーズで個人向けとしてArmプロセッサ版が販売されていたり、Copilot+ PCとして各社からArmプロセッサ搭載のノートPCが数多くラインアップされたりしているため、Arm版Windows 11を利用している人も増えているのではないだろうか。
Arm版Windows 11では、Windows 11 Trends「Arm版Windows 10/11でx86/x64アプリが動作するのか試してみた」でも解説しているようにx86/x64アプリケーションもバイナリ変換機能によって実行可能だ。
ただし、Google日本語入力はインストールは可能なものの、日本語入力への切り替えができず、半角英数しか入力できなかった。ATOKは、日本語入力が可能な場合もある(使用できないアプリケーションもあるようだ)ようだが、動作保証外ということだ。
Google日本語入力やATOKのArmプロセッサ対応版が提供されるまで、実質的にArm版Windows 11で利用可能な日本語入力システムはMicrosoft IMEのみとなりそうだ。
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