阿部川 パトリックさん自身もまだ27歳とお若いのですが、現在までのアカデミックや仕事での経験を基にして、日本の若いエンジニアにメッセージを頂けますか。
パトリックさん (流ちょうな日本語で)ここからは日本語でお話しします。おっしゃる通り、まだ私は若造で(笑)、何ともいえないところがありますが。
「人生は1回しかない」という言葉があります。しかし、それぞれのシーンは1回しかないかもしれませんが、生き方そのものは、いくらでもあると思うのです。
ですから、まずは自分の好きなものを明確にすることだと思います。その道の中で、迷ったり、つまずいたりするけれど、諦めない「ど根性」を必ず持つ。人生は数学ではないので、そのど根性で負けたら、また次のことを考えたらいいので。だから、取りあえず好きなことを明確にして、ど根性を持って一歩ずつやっていけば5年後10年後には知らず知らずに良いものになっていくと思います。言えることはそれしかないかなあ。
阿部川 (日本語で)素晴らしいですね。(英語で)なぜわざわざ日本語でお話しになったのですか。
パトリックさん (日本語で)気持ちを伝えることが必要なので。英語にするとニュアンスが変わってしまうのではないかと思い、気持ちを直接日本語にしました。
阿部川 ありがとうございます。
カメルーンは、英語の地域とフランス語の地域が明確に分かれている。英語でインタビューしたが、パトリックさんはフランス語で育てられた。
インタビューの最後にメッセージをお願いしたとき、わざわざ日本語で話してくれた。フランス語で考え、英語で話し、それが日本語に訳されると、表現したい真意が伝わらないと配慮してくれたのだと思う。「ど根性」という日本語を久しぶりに聞いた。
今どき「ど根性で仕事しろ」などと言おうものなら、ハラスメントだし、非論理的で伝わらない。根性論を振りかざす私たちの世代が一番厄介だと自覚、自戒している。もちろん実際に使うことはまずない。
そんな中パトリックさんは、どこで、誰から、いつ、この単語を仕入れたのだろうか(平面ガエルのピョン吉=『ど根性ガエル』から?)。その彼がAIを専門にしているのが何とも不思議、というかむしろとても頼もしく思えた。
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