ガートナージャパンはソフトウェアエンジニアリングに関する調査結果を発表した。それによると、58%のリーダーが「ソフトウェア開発において、質の高い開発者エクスペリエンスが重要だ」と考えていることが分かった。
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ガートナージャパンは2023年4月27日、ソフトウェアエンジニアリングに関する調査結果を発表した。
この調査は北米、欧州、中東、アフリカ、アジア太平洋の大企業に勤めるソフトウェアエンジニアリングリーダーを対象に実施し、142人から有効回答を得た。それによると、58%のリーダーが「ソフトウェア開発において、質の高い開発者エクスペリエンスが重要だ」と考えていることが分かった。
なお、ガートナージャパンは「開発者エクスペリエンス」について「ソフトウェア製品やサービスを開発し、提供するために、開発者がツールやプラットフォーム、プロセス、そして共に作業する人々との間で交わすあらゆるインタラクション(相互作用)のこと」と説明している。
GartnerのPhilip Walsh氏(シニアプリンシパルアナリスト)は、「開発者エクスペリエンスは、単なるコーディングにとどまらない。例えば、仕事の引き継ぎなど“価値提供の流れ”を中断しがちなプロセスを簡素化することでエクスペリエンスを高めることができる」と述べている。
開発者エクスペリエンスを向上させることで、ソフトウェアエンジニアリングに関する技術やプラクティスも採用しやすくなるとガートナージャパンはいう。ただ、技術やプラクティスの採用には課題もある。調査結果によると、ソフトウェアエンジニアリングに関する技術やプラクティスの採用において、リクス要因は何かを聞くと「高いコストや予測できないコスト」が最も多く、68%だった。次いで「人材不足(技術やプラクティスを導入、活用する人材が確保できないリスク)」で、17%だった。
「ソフトウェアエンジニアリングリーダーは、人材不足を解消するために、在籍中の従業員や新入社員のスキルアップとリスキリングに注力すべきだ。需要が生じる前に、各従業員のスキルの習得を目指すことで、新たな技術が導入されても、従業員がより幅広い役割を担い、技術的にチャレンジとなる新しい取り組みに貢献できるようになる」とガートナージャパンは説明している。
ガートナージャパンの片山治利氏(シニアディレクターアナリスト)は、「日本企業は、これまでソフトウェア開発を外製に頼っていたという背景があり、開発者エクスペリエンスの向上が重要という認識はあまり強くなかった。しかし、内製化への関心が高まりつつある現在、優秀なエンジニアを採用し、育成、定着を図るためには、開発者エクスペリエンスについて関心を示す必要がある」と述べている。
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