名刺をどのように管理しているだろうか。単純に名刺を引き出しの中にため込んでいて、必要なときにそこから探す、という人も多いだろう。ただ、もらった時点でスマートフォン(スマホ)を活用して取り込んでおけば、少しの手間でいつでも必要な人の名刺データが瞬時に取り出せるようになる。手間をかけずに効率よく名刺を管理する方法を伝授する。
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「名刺管理」と一口に言ってもその実態はさまざまで、テレビコマーシャルなどでもよく見かける取引先データベースや顧客管理システムと一体化した本格的なものから、部内メンバー間での情報共有を目的とした軽めのもの、そして自分専用のアドレス帳のような緩いものまである。ここで紹介するのは、自分専用のアドレス帳のようなユル〜い名刺管理方法だ。
要するに、もらった名刺をため込んでいき、そこから「あの人の連絡先どこだったかな?」「この取引先の担当者は誰だったかな?」というときに、すぐに閲覧できるようにするだけのものだ。
目指すスタイルは次のようなものだ。
使用するのは、名刺を取り込むために使うカメラアプリ「Office Lens」と、データを管理するために使うデジタルノートアプリ「OneNote」の2つだ。
いずれもMicrosoftの製品で、それぞれiOS版、Android版、Windows OS版が無償で提供されている。Android版はGoogle Playストアから、iOS版はApp Storeからダウンロード可能だ。
Office Lens | OneNote | |
---|---|---|
Android版 | Google Play | Google Play |
iOS版 | App Store | App Store |
Windows OS版 | Microsoft Store | Microsoft Store |
各アプリのダウンロード先 |
ここでは、スマートフォンのみで完結する利用法を紹介していくが、途中、活用のヒントとしてPCと連携した使い方についても少しだけ触れる。
ここで紹介する名刺管理の日常の運用は次の3ステップからなる。
STEP.0:名刺管理を始めるための準備(面倒ならスキップ可)
STEP.1:もらった名刺をスマホでどんどん撮影&保存
STEP.2:自動抽出したテキストから氏名と会社名の誤認識を修正
STEP.3:OneNoteで名刺を検索して活用
では、具体的な手順を紹介していく。
日常の運用に入る前に、名刺管理を始めるための環境を作っておかなければならない。具体的には、OneNoteに名刺管理用のセクションを作成するのだ。この手順が面倒な人や、OneNoteは名刺管理にしか使わないという人は、このSTEP.0をスキップして、始めから用意されている「クイックノート」というセクションを流用しても構わない。
ここでは「名刺管理」という名前のセクションを作成した。この後、ここに名刺データをため込んでいく。
もらった名刺をデータとして取り込むには、Office Lensを起動し、机の上に置いた名刺を1枚ずつ撮影していく。このとき撮影モードには[名刺のキャプチャ]よりも[ドキュメントのキャプチャ]を選んでおくとよい(理由は後述)。
これで名刺データの取り込みは終了だ。
できるだけ手間をかけずに管理するなら、名刺を受け取ったその日のうちに、ここで紹介したOneNoteに送る処理までを行っておこう。そうすることで、Office LensがOneNoteにデータを送る際に日時を見出しのタイトルに付けてくれるため、「この人と名刺交換したの、いつだっけ?」というときの記録になる。
Office Lensで撮影する際に、その名前の通り[名刺のキャプチャ]の方が名刺管理に最適化されているのではないか? と思うかもしれない。確かに[名刺のキャプチャ]を選択すると、名刺の画像データから読み取ったテキストを、自動的に電子名刺の規格であるVCF(vCard)形式のデータに整形してくれるという親切な機能が追加される。
しかし、氏名や所属、電話番号などの区別を正しく認識してくれるわけではないため、それぞれの欄に、あるべきデータが収まることはほとんどない。そして、その使えない(失敬)データがOneNoteに自動的に貼付けられてしまうのである。この貼り付けられたVCF形式のデータを開くには、Outlookのような別アプリを使わなければならない。また、データも修正が必要になるため、その分の工数が増えてしまう。
そこまで手間をかけるのならば最初からOutlookにデータを手で入力した方が早い。
むしろ、画像データとして保存して、検索するための最低限のテキストで管理しておくのが手っ取り早く、結果的に使い勝手がいい。そのためには[名刺のキャプチャ]よりも[ドキュメントのキャプチャ]にしておくのがよい。
次にOneNote上で、取り込んだ名刺からテキストデータを抽出し、後から検索するための最低限の文字の手直しを行う。慣れてくれば1枚当たり数秒から、せいぜい十数秒で済む作業だ。
テキストを貼り付けたら、最低限、氏名と会社名をきちんと修正しておく。冒頭でも述べたように、名刺を検索するケースは「〇〇さんの連絡先どこ?」とか「あの取引先の担当者は誰?」ということが圧倒的に多いからだ。
名前と会社名の誤認識の修正と、各文字間の空白の除去、そして、氏名と会社名をテキストエリアの1行名と2行目にカット&ペーストしておく。
さらに、検索時結果を分かりやすくするために、見出しにも氏名をコピー&ペーストしておくとよい。
ちなみに、最近ではあまりお目にかかることのない縦書きの名刺をもらっても、きちんと認識してくれるのはうれしい。
あくまでも余力があればの話だが、メールアドレスや電話番号も修正しておく。このとき記号や文字を半角にしておくと、コピー&ペーストで発信できる(OneNoteでコピーして、電話の発信画面やメールアプリにペーストする)。
いちいち電話するのにコピー&ペーストするのはスマートではないが、名刺を交換した相手全てと、そこまで頻繁に連絡を取るわけではない。むしろ、一度も連絡しないまま終わる人も多いかもしれない。名刺とはそういうものだ。もし、その相手と何度も電話やメールのやりとりをするようになったら、その段階で初めてアドレス帳に登録すればいい。
OneNoteのデータはOneDrive上に保存される。OneNoteのインストール時にMicrosoftアカウントの入力が求められるのはそのためだ。従って「テキスト修正はキーボード入力で行った方が効率的」という人は、OneDrive上に保存されているOneNoteファイルを開けば、PC上でWindows版のOneNoteを使って編集することもできる。
名刺データの中から目的のものを探し出すにはセクション「名刺管理」の画面から[検索]をタップし、検索ワードを入力する。
このように、Office LensとOneNoteを組み合わせれば、入力の手間をあまりかけずに、必要なときに必要な名刺にアクセスできるようになる。
しかも、活用法はそれだけではない。OneNoteはページ内にテキストや画像だけでなく、手書き文字、音声、Webページ、ExcelやPDFのファイルなど、さまざまなデータを貼り付けられる便利なツールである。そのため、ここで作成した名刺データの各ページに、その後の商談の記録や、個人に関する追加の情報、打ち合わせ資料などを貼り込んでいくことで、人物を軸とした自分専用のビジネスデータベースを構築するといった、さらなる活用も可能だ。
名刺管理をどこまでやるかは人それぞれ。トコトンやろうと思うと、かかる手間もコストもアッと言う間に膨れ上がる。そのため、きちんと投資対効果を見極めておく必要があるだろう。
ここで紹介した名刺管理法は、手元にスマートフォンが1台あればすぐに始められるし、データ入力作業(撮影からテキスト修正まで)も1枚当たり10秒前後で済む。まずは、このシンプルな方法を試してみてはいかがだろうか。
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