IDCが2023年までの「世界のAR/VR市場」の予測を発表した。同社によると、2019年の市場規模は105億ドル、2020年には78.5ポイント成長し、188億ドルに達する見通しだという。
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IDCは2019年11月27日(米国時間)、世界の拡張現実/仮想現実(AR/VR)市場の予測を発表した。2019年の市場規模は105億ドルとなり、2020年は78.5%成長して188億ドルに達する見通しだ。同市場の2019〜2023年の年平均成長率は77.0%とIDCは予想している。
世界AR/VR市場のこうした成長は、一般消費者向け企業(コンシューマー企業)がけん引する。AR/VR市場でコンシューマー企業が占める割合は、2020年の50%未満から2023年には68.8%に上昇する見通しだ。
2020年のAR/VR支出は、15業種で2019〜2023年のAR/VR支出の年平均成長率(CAGR)が100%を超える見通しだ。特に多いと予想される業種は、小売業(15億ドル)と組み立て製造業(14億ドル)。消費者のAR/VR支出は2020年に70億ドルの見込みとどの業種よりも多いが、2019〜2023年の支出の年平均成長率は39.5%の見込みと成長率は企業より低い。
IDCの欧州産業ソリューション、顧客インサイトおよび分析担当のリサーチアナリスト、ジュリア・カロセラ氏は、次のように説明している。
「AR/VRの企業市場は急成長が続く。導入コストが下がり、本格展開したときの効果が明らかなためだ。以前は技術的効果が話題になっていたが、今では実際の測定可能なビジネス効果が証明されるようになってきた。こうした効果には、生産性や効率の向上、知識の移転、従業員の安全、より魅力的な顧客エクスペリエンスなどがある」
2020年のAR/VR市場をユースケース別に見ると、コンシューマー企業では、トレーニング(26億ドル)、メンテナンス(9億1400万ドル)の支出が多い。消費者支出は、VRゲーム(33億ドル)とVR視聴(14億ドル)の支出が多いが、2020年のAR/VR市場に占める割合は3分の1強にとどまる
2019〜2023年を通じて、ハードウェアがAR/VR支出の3分の2近くを占め、ソフトウェア、サービスがこれに続く。サービスはこの間の年平均成長率が高い見通しで、中でもシステム統合が113.4%、コンサルティングサービスが99.9%、カスタムアプリケーション開発が96.1%と予想されている。ソフトウェア支出の予想年平均成長率は78.2%だ。
VRとARを比べると、当初はVRソリューション支出がARソリューションを上回るが、2019〜2023年の年平均成長率が164.9%の見込みとARハードウェア、ソフトウェア、サービス支出が急成長する見込みだ。2023年には、AR支出がVR支出よりはるかに多くなると予想されている。
地域別では、2020年のAR/VR支出が多いのは、中国(58億ドル)、米国(51億ドル)、西欧(33億ドル)、日本(18億ドル)など。2023年には、西欧が中国を抜いて首位となる見通しだ。欧州におけるAR/VR支出の2019〜2023年の年平均成長率は104.2%、米国は96.1%と予想されている。
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