それではまずWindows Server 2003のインターネット接続(ADSL接続)の設定から始めよう。Windows Server 2003をインストールしたPCに、ネットワーク・カードを2枚装着し、それぞれをインターネット向け接続とイントラネット向け接続として利用する。この場合、内側のLANインターフェイスには支社側のネットワーク・アドレスに含まれる10.101.2.1を付けておく。インターネット側のインターフェイスは、PPPoEによる接続を行うので、特にIPアドレスを付けておく必要はないと考えるかもしれないが、実際にはダミーで何らかのIPアドレスを付けておかなければならない。さもないと、ネットワーク・インターフェイスが有効化されないからだ。今回の例では192.168.254.254というIPアドレスを付けている。DSLモデムは、外部からWebインターフェイスを使って操作するために何らかのIPアドレスが割り当てられていることが多いので、同じネットワーク・アドレスになるようにしておくと、簡単にDSLモデムへアクセスできるので便利である。
ネットワークの基本設定が完了したら、次はWindows Server 2003の「ルーティングとリモート アクセス(RRAS)」を使って、PPPoE接続の設定とNAT/ベーシック・ファイアウォールの設定を行う。
[スタート]メニューの[すべてのプログラム]−[管理ツール]−[ルーティングとリモート アクセス]を起動し、サーバ名を右クリックしてポップアップ・メニューから[ルーティングとリモート アクセスの構成と有効化]を選択する。するとRRASの設定を開始するウィザードが起動する。
RRASウィザードの起動前回も述べたが、このウィザードではさまざまな状況に応じたネットワーク構成を簡単にセットアップすることができる。今回の事例では、一番基本的な構成(NAT機能)を選択して、まずはPPPoE接続+NAT機能+ベーシック・ファイアウォール機能だけを有効にしておき、VPNのクライアントの設定はまたあとで行う。Windows Server 2003のRRASのウィザードでは、これらの作業を同時に行うことができないようである。
RRASウィザードの起動次はWindows Server 2003に含まれているPPPoE機能を使って、プロバイダのDSL回線への接続を確立する。従来のWindows 2000などのOSでは、OSにPPPoEのドライバが含まれていなかったので、後からユーザーがインストールする必要があった。しかしWindows XPやWindows Server 2003ではOSの標準機能として用意されているので、インストールや設定が容易になっている。
NATで使用するインターフェイスの設定次は、インターネット側のネットワーク・インターフェイス上で、プロバイダへのPPPoE接続を設定する。このインターフェイスには、ダミーのIPアドレスとして192.168.254.254をあらかじめ設定しておき、DSLモデムに対してWebアクセスできるようにしている。しかしDSLモデムに接続する必要がなければほかの(プライベート)IPアドレス(ただし既存のネットワーク・アドレスとは重複しないもの)でも構わない。
PPPoEのためのインターフェイスの選択PPPoEインターフェイスを選択すると、次はPPPoE接続のためのアカウントの設定を行う。
ウィザードの最初のステップでは、PPPoE接続に対して名前を付ける。プロバイダ名や利用しているDSL回線やサービスの名称などをベースに、後で識別しやすい名前にしておくとよいだろう。
次は作成するインターフェイスの種類を選択する。ここでは、物理的なインターフェイス(モデム、ネットワーク接続、DSLなど)上に作成する、仮想的な接続の種類(ダイヤルアップ接続、VPN接続、PPPoE接続など)を選択する。
PPPoE接続では、ユーザー名やパスワードを使って、接続するプロバイダを選択、認証するのが普通である(NTTのフレッツADSLなどを使っている場合)。次の画面では、それらの認証情報を入力する。
PPPoE接続のアカウント情報の指定以上で(DSL回線上の)PPPoE接続の設定は完了である。これだけで実際にインターネットへ接続する環境(インターネットへはNATを使って接続される)が出来上がっているはずだ。RRASの管理コンソールで新しく作成したインターフェイスを確認し、ポップアップ・メニューから[接続]を選んで([プロパティ]ダイアログで[固定接続]に設定しておけば、手動で接続操作を行う必要はない)、実際にインターネットへの接続が正しく行われているかどうかを確認しておこう。インターネット上のホストへ接続できることを確認するだけでなく、本社側のVPNサーバに対しても、pingなどで通信ができるかどうかを確認しておこう。
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