ガートナーがAIエージェント、エージェント型AI、チャットbot、RPAの違いを解説：改めて確認したい、それぞれの違い
ガートナージャパンは、「AIエージェント」と「エージェント型AI」に関する見解を発表した。両社の違いに加え、チャットbotやRPAとの違いも図を交えて解説している。
ガートナージャパンは2025年5月14日、AI（人工知能）に関するトレンドになりつつある「AIエージェント」と「エージェント型AI」に関する見解を発表した。ガートナージャパンは「両者の違いについて混乱が見られる」と指摘する。
「AIエージェントは『弱いエージェント型AI』である」
ガートナージャパンの亦賀忠明氏（ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリスト）は、「ガートナージャパンは、『AIエージェントはエージェント型AIの一つ』と捉えている。エージェント型AIは、AIエージェントよりも包括的かつ進化的な概念であり、より高度で自律性の高いAI像を示唆している。見方を変えれば、AIエージェントは『弱いエージェント型AI』と見なせる」と述べている。
同社の見解では、現在の多くのAIエージェントは「手組み細工的な存在」で、ある程度の判断力を持ち、シンプルなタスクの一部を自律的に実行できる。それに対して、エージェント型AIは「エージェント性（自律的にアクションを選択する性質）と目標指向性（目標に向かって一貫した行動を取る性質）を備えた進化系」であり、記憶や計画、ツール活用などの機能を備え、複雑なタスクを自律的に遂行する。
似たようなソフトウェアには、チャットbotやRPA（Robotic Process Automation）がある。ガートナージャパンは、これらとAIエージェントやエージェント型AIの違いを、次のように説明する。
「チャットbotは、あらかじめ設定された通りに答えを返す。RPAも同様に、設定された通りにタスクを実行する。それに対してAIエージェントは、少し“気を利かせて”あらかじめ設定された通りに単純なタスクを実行する。そしてエージェント型AIは、大いに“気を利かせて”、自律的に複雑なタスクを実行するといった違いがある」
これ以外にも、AIエージェントやエージェント型AIに関連する技術としては、現在急速に注目を集めている「MCP」（Model Context Protocol）と「A2A」（Agent-to-Agent）がある。MCPはAIエージェントと外部サービスとを接続するオープンソースの標準規格（プロトコル）で、A2Aは異なる開発言語やフレームワークで開発されたAIエージェント同士が情報を交換できるようにするプロトコルのことだ。
亦賀氏は、「AIは今後数年から数十年かけて進化し、人間の能力をはるかに超える可能性がある。そのとき、人間の役割や働き方そのものが改めて問われることになる。企業は、AIエージェントとエージェント型AI、さらにAGI（汎用<はんよう>人工知能）への進化をAI共生時代と捉え、今からAIエージェントやエージェント型AIへの理解を深め、戦略的に準備を進めておく必要がある」と述べている。
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