「AIエージェントを企業に浸透させるにはどうすればいいか」 Salesforceが成熟度レベル別に解説:段階的にAI導入を進めるには?
Salesforceは「AIエージェント成熟度モデル」を開発した。企業がAIエージェントを安全かつ効果的に導入、活用するためのもので、5段階の成熟度レベルと、各段階を進むための実践的なステップを提示している。
Salesforceは2025年6月3日、「AIエージェント成熟度モデル」を開発したと発表した。これは、AI(人工知能)エージェントを企業に導入し、普及させるための実行可能なステップをまとめたもの。
「レベル」を上げるための手順も解説
Salesforceは、AIエージェントの成熟度をレベル0〜4の5段階に分けた。
「レベル0」のAIエージェントは、事前に定義されたルールに基づいて反復的なタスクを自動化するもので、FAQへの回答や基本的な問い合わせへの対応などに重点を置いており、アクションをレコメンド(提案)することはない。一方、「レベル1」は、情報を取得し、アクションをレコメンドすることで人間を支援するという違いがある。
Salesforceは、レベル0からレベル1へ進む際の手順として、まず企業のリスク許容度に合ったユースケースを選び、リスクを軽減するための戦略を策定することを勧める。その後、統合されたデータソースから導入を始め、データの品質と可用性を確保することを推奨している。同社は「成熟度の高まりに合わせ、より多様で広範なデータを活用するデータ戦略を計画することが重要だ」としている。
最も高い成熟度の「レベル4」は、AIエージェントのオーケストレーションを実現するもので、注文処理や在庫管理、顧客からのフィードバックといったさまざまな部門へのルーティングをリアルタイムで自律的に実行するAIエージェントだ。Salesforceによると、レベル3からレベル4へ進むためには、動的なAIエージェントのチームで複雑なワークフローを最適化し、「AIエージェント同士がシームレスに連携できる汎用(はんよう)的なコミュニケーションレイヤーを開発することが重要だ」としている。
Salesforceは、AIエージェントの導入には単なる技術的な実装だけでなく、戦略やデータ、セキュリティ、人材など、幅広い基盤づくりが不可欠だと指摘する。企業はAIの取り組みをビジネス目標としっかり結び付け、AIエージェントの自律性を高めるとともに、ガバナンス体制を整備し、「人とAIエージェントが円滑に協働できるよう、チームのスキル向上にも投資する必要がある」としている。
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