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エンゲージメント、熱意、やる気を持って仕事に取り組んでいる従業員は31% Gartner調査従業員エンゲージメントの3つの課題への対処法も紹介

Gartnerは「エンゲージメント、熱意、やる気を持って仕事に取り組んでいる従業員は31%にとどまる」との調査結果を発表し、従業員エンゲージメントに関する現在の3つの課題とそれらへの対処法を解説した。

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 Gartnerは2023年10月24日(米国時間)、「エンゲージメント、熱意、やる気を持って仕事に取り組んでいる従業員は31%にとどまる」との調査結果を発表し、従業員エンゲージメントに関する現在の3つの課題とそれらへの対処法を解説した。

 この調査はGartnerが2023年6月、企業の従業員3500人近くを対象に行った。この調査では、仕事にやる気があり、わくわくしていると答えた従業員は、組織にとどまる可能性が31%高く、求められている以上の働きをする(自分の裁量で)可能性も31%高く、貢献度も15%高いことが分かった。

 Gartnerは、エンゲージメントを以下の3つの側面から定義している。

  • 従業員がやる気を持っている
  • 従業員が目的を持って仕事をしている
  • 従業員が価値ある仕事を任されていると感じている

 「組織が従業員エンゲージメントに投資しているにもかかわらず、Gartnerの調査によると、従業員の70%近くはエンゲージメントがなく、仕事との有意義なつながりを感じていない」と、Gartner HR部門のシニアプリンシパルでアドバイザリーを務めるキーア・バートン氏は述べている。「従業員エンゲージメントに実際に影響を与える方法を見いだすことは、重要な優先事項だ。従業員エンゲージメントは、幾つかの主要なビジネス成果を大きく左右するからだ」

 Gartnerの調査では、エンゲージメントに影響する主な問題の一つが明らかになった。それは、雇用主や職場での体験についてフィードバックを提供した後の企業側の対応に対する従業員の不満だ。自分のフィードバックに組織が対応すると考えている従業員は、3分の1にとどまる。従業員の46%は、組織が従業員のフィードバックへの対応を改善することを望んでいる。

 「こうした行動の欠如が障壁となり、従業員がエンゲージメントへの取り組みに関わり、その恩恵を受けることを妨げている」(バートン氏)

 HR(人事)部門は行動ギャップを埋めるために、従業員エンゲージメントに関する以下の3つの課題に取り組む必要があると、Gartnerは述べている。

間違った問題を解決しようとする

 人事部門はしばしば、従業員エンゲージメント調査を行ってフィードバックを求め、それに基づいて表彰や能力開発など、関連施策を拡充しようとする。

 だが、前述の調査では従業員の40%が、能力開発の機会よりも、困難なプロセスの修正を望むと回答している。エンゲージメントを高めるには、人事部門は従業員と積極的に対話し、仕事の負担を特定して減らすのと並行して、必要で望ましい能力開発機会を提供しなければならない。

取り組みが不完全

 組織は、従業員エンゲージメントの維持、向上を目指し、多大な時間と費用を費やしてきたが、効果が乏しかった。2023年第2四半期にGartnerが144人のCHRO(最高人事責任者)に対して行った調査によると、CHROの大半が、12の従業員エンゲージメント施策のうち10の施策について、マネジャーが担当していると報告している。だが、エンゲージメントフィードバックへの対応の仕方をマネジャーが認識していると答えたCHROは、19%しかいない。

 人事部門は、従業員エンゲージメント計画の立案と実行の両方で、マネジャーをうまくサポートする必要がある。このサポートには、マネジャーがエンゲージメントデータをより早く理解できるようにするための支援や、具体的なエンゲージメント計画の共同作成などが含まれる。

 「組織がエンゲージメント施策の計画立案に関してマネジャーを効果的にサポートすれば、従業員エンゲージメントを51%向上させることができる」(バートン氏)

従業員にとって無関係に見える施策

 従業員の60%は、エンゲージメントを高めるために組織が何を行っているかを理解していない。Gartnerの分析によると、その一因は、「エンゲージメント」が人事用語であり、従業員にはピンとこないことにある。

 人事部門は、エンゲージメントではなく、人材とその体験について測定し、従業員と対話するために、共通言語を使用する必要がある。

 「人事部門がエンゲージメントの取り組みをより適切なものにするために行動を起こし、従業員エンゲージメントのために組織が何を行っているかを従業員が理解するようになれば、従業員エンゲージメントは49%向上する」(バートン氏)

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