いま盛り上がるThreads、まるで「令和の2ちゃんねる」 白熱する“ネタバトル”:ここはBBAの“逆マウント”道場
誰も文句を言わず、キラつきもしない。ネタ合戦をしたり、優しい警察がパトロールしたり……こういうのでいいんだよ、こういうので。
短文SNSの勢力図が、変化してきています。
2023年、イーロン・マスク氏が「Twitter」を買収する前後から、「ポストTwitter」を狙ったSNSが乱立。「Mastodon」「Bluesky」「Threads」「mixi2」などが誕生しました。
Twitterが「X」に変わり、サービスが変化していくのを嫌ったユーザーたちは、他のサービスを試しますが、「当初は盛り上がっても、しばらくすると閑古鳥、人がいるのはXだけ」という感じでみんなXに戻っていく。そんなパターンの繰り返しでした。
でも最近、風向きの変化を感じます。MetaのテキストSNS「Threads」に多くの人が集まってきており、これまでになかった面白い空間を作り始めているのです。
失敗自慢で“ネタ合戦”
Threadsは、「Instagram」のアカウントを使ってログインするテキストSNS。Xより文字数制限が緩く(最大500文字)、フォロー相手のポストよりもアルゴリズムに選ばれた投稿が表示されやすいことなどが特徴です。
筆者は2023年のサービス開始当初から利用していますが、「面白くなってきた」と感じたのは2025年に入ってから。大阪万博関連の情報がどこよりも早くThreadsに上がるようになったことがきっかけで日々ウオッチしていると、面白いトレンドを幾つも目にするようになりました。
例えば「まず、○○します」構文。料理を作ろうとしたときや、完成後に大失敗した瞬間の写真を投稿するムーブメントで、「まず、卵を割ります」というテキストに、卵を数個、床に落として割ってしまった写真が投稿されたことが発端でした。
コメント欄では、「私はもっとやらかした」という“逆マウント”が発生。「家族が多いので倍量でトライします」と10個以上の卵が床にぶちまけられた写真、「続いてオーブンレンジを割ります」と、オーブンレンジが落ちてガラス部品が粉々になった写真、「ついでにIHも割ります」と、IHヒーターのガラストップが割れた写真などが続々と投稿されていきました。
その後も、魚を真っ黒に焦がしたり、犬の餌をひっくり返してしまうなど、“やらかした”人々が喜々として写真を撮り、「まず、○○します」の構文でThreadsにアップするトレンドが続き、「失敗しても笑いにできる」「みんな失敗している」とホッとできる空間になっています。
自称“ババア”がトレンド作る
Threadsで話題になり、商品が売れるケースも出てきました。例えば「BBA(ババア)の粉」というコスメです。
正式名称は「セザンヌトーンフィルターハイライト」で、顔のくすみを明るく補正するパウダーハイライト。対象年齢は明記されていませんが、TikTokで「ババア全員これを買え」と、中年女性に強く薦める動画がバズり、そのブームがThreadsに飛び火。自称“ババア”たちによる「買いました」「使ってみた」などの報告が相次ぎ、店頭では品薄状態になりました。
メーカーが「出荷を上回る反響で、納品後すぐに完売している」「増産に努めている」とコメントを出す事態に発展しています。
「手抜き警察」が優しくパトロール
「警察」も現れます。ネット文化で「警察」といえば、「着物警察」「マナー警察」など、特定のルール知識などに照らし合わせて、他人の言動の間違いを厳しく指摘する人を指しますが、Threadsの警察はひと味違い、優しい人です。
一番人気の「手抜き警察」は、「今日は手抜きで……」と謙遜しながら家族のために作った料理写真を投稿する人に、「全然手抜きじゃないです」と、具体的に示しながら優しく声をかける個人男性。普段は家族のために料理している男性で、主婦が苦労するポイントを理解した上で、「そこを褒めてほしかった」と思える部分をうまく指摘してくれます。
mixi2もまだまだ元気
Xは、ユーザー個々のタイムラインが中心ですが、Threadsは投稿された内容そのものや、投稿につく返信が中心。かつての「2ちゃんねる」のように、テーマごとに人が集まり、レスでネタをかぶせたり、話題を発展させていきます。
Instagramとつながっているため、ユーザー層には女性が多い。テキストSNSなので、文章表現がうまい人が目立ち、中でも自虐ネタが得意な人たちが脚光を浴びています。匿名性も比較的高く、誰が言ったかよりも、何をどう表現したかに注目が集まります。
もちろん、問題はあります。“パクツイ”も見かけるし、バズった投稿には“クソリプ”もつきます。でも主にバズっているのは、面白いネタや心がホッコリする話なので、Xの荒波に疲れたときにThreadsをのぞくと、フッと笑えることが多い。
Threads以外の“ポストX”も、一定の利用者数を保っているようです。筆者はたまに「mixi2」にも投稿しますが、驚くほど多くのリアクションが付きます。毎日チェックしている人がまだまだいて、投稿を歓迎してくれる雰囲気があると感じます。
TwitterがXになった頃、筆者は「Xは嫌だけれど、代替になるSNSもない」と行き場を失っていましたが、今は「Threadsもmixi2もあるし」と思えるから、Xも心穏やかに見られるようになりました。
Threadsやmixi2のこの雰囲気、ずっと続くといいなあ。
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