取締役の69%が「新型コロナはビジネスのデジタル化を加速させた」と回答 ガートナー:企業は「反脆弱性」を目指すべき
ガートナーが実施した2021年の取締役向け調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、取締役の69%がビジネスのデジタル化を加速させたという。
ガートナー ジャパンは2020年10月5日、2021年の取締役向け調査の結果を発表した。この調査は米国、欧州、中東、アフリカ、アジア太平洋で、法人の取締役会メンバーを対象に2020年5〜6月にオンライン形式で実施し、265人の取締役から回答を得た。それによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて、取締役の69%がビジネスのデジタル化を加速させたという。
IT関連は予算増加、マーケティングや人事などは予算削減
「COVID-19の影響で、技術関連予算が増加する」と予測する取締役は67%に及んだ。中でもIT予算の増加率が最も大きく、約7%増える見込みだ。ガートナーは「アナリティクスやAI(人工知能)は、リモートワークを主とした企業の新たな労働環境で意思決定の向上のために活用される。そのためアナリティクスやAIは『ゲームチェンジャーの技術』としてこれまで以上に強化されるだろう」と予測する。
調査結果では、戦略的なビジネス優先課題に対処する上で、技術が革新的な役割を果たすと考えていた割合は86%。このためガートナーは「ほとんどの企業が『最高デジタル責任者(CDO)』を新たに設置することになる」とみている。
最高情報責任者(CIO)が上級ビジネスリーダーのパートナーとしての役割を果たしていると考えている割合は半数以上を占め、CIOがデジタルビジネスの課題を単独で主導することを期待している割合も3分の1を上回った。
ガートナー ジャパンのアナリストでバイス プレジデントを務める藤原恒夫氏は、日本の状況を踏まえて、次のように述べている。
「これからの不確実性の高い時代に再生して成功を収めていくには、企業は『反脆弱(ぜいじゃく)性』(Antifragility)を目指して、将来のビジネスモデルを創造していくことが求められる。CIOとITリーダーはその期待に応え、より積極的にビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)に打って出ていくことで、良い成果につながる」
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