CEATECで“顔パス”入退 不正入場防止や利便性向上に――パナソニック、顔認証技術を活用した入退管理システムの実証実験
パナソニックは2018年10月16日〜19日に開催される「CEATEC JAPAN 2018」で、プレス来場者を対象に、顔認証技術を活用した入退管理システムの実証実験を行う。不正入場を防ぐなど、セキュリティ強化と利便性向上などの効果を検証する。
パナソニックは、ディープラーニング技術を応用した顔認証技術の活用による「入退セキュリティ&オフィス可視化システム」(仮称:KPAS)の実証実験を、2018年10月16日〜19日に千葉・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2018」のプレスセンターで実施する。
実証実験への参加を希望するプレス来場者は、当日、プレス登録カウンターで顔画像と名刺を登録すれば、以降は顔認証のみで入退室ができるようになる。
従来プレスバッジで管理している入退室を顔認証に置き換えることで、登録やバッジ発行にかかる作業を効率化するとともに、バッジの貸し借りや盗難による不正入場を防ぎ、セキュリティ強化と利便性向上を図れるとしている。なお、顔認証を利用しない場合は、従来のようにプレスバッジで入室が可能。
KPASは、入退室管理に加え、名刺情報と顔情報の連携により、オフィスや施設内で人の動きや人脈を可視化、分析する機能も備える。例えば、従業員や一時的な来訪者が施設のどこを通過したか、会議室で誰と誰がミーティングを行ったかなどを可視化できる他、会議中に出席者の顔や名前、訪問履歴などを確認し、コミュニケーションの活性化に利用することができる。
また、蓄積されたビッグデータを使い、人脈の可視化、施設稼働率、使用人数の算出も可能で、働き方改革の指標などにも活用できるという。
KPASに使われている顔認証技術は、パナソニックがシンガポール国立大学と共同開発した顔照合技術が基になっている。ディープラーニングと誤りを抑制する類似度計算手法を組み合わせた独自のアルゴリズムにより、目視では判別が困難な状態でも高精度な顔照合が可能で、左右90度近い横向き、照明の明暗が強い屋外環境、サングラスやマスクなどで一部顔が隠れているような状態でも、高精度に識別できる。
パナソニックでは、これまで空港やアミューズメントパークでの入出場管理で、顔認証技術を応用したシステムを展開している。今回の実証実験を通じて、KPASの実用化に向けた検証を進める。
KPASは、B2B(Business to Business)向けに展開する同社のIoTサービス「μSockets(ミューソケッツ)」の一つとして提供する予定で、MICE施設(展示場、国際会議場)、オフィスビル、商業施設などを中心に展開していくとしている。
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