最上位モデル「Grok 4」と同等の性能を保ちながらコストを47分の1に削減し、数学ベンチマークでは90%超の精度を達成。Webでは無料かつ回数制限なしで利用でき、開発者向けにも格安APIが用意されている。
xAIは2025年9月19日、新しいリーズニング(Reasoning:思考プロセスあり)モデル「Grok 4 Fast」を公開した。7月9日に発表された最上位モデル「Grok 4」に匹敵する性能を維持しながら、運用コストを47分の1にまで大幅に削減した“コスト効率性の高さ”が最大の特徴である。
Grok 4 Fastは、Grok 4よりも平均40%少ない思考トークンで動作する。それでもなお、AIME 2024/2025やHMMT 2025といった難関数学ベンチマークで90%を超える正答率を達成し、Grok 4と同等のパフォーマンス(性能)を示した。
さらに、LMArenaというLLM(大規模言語モデル)の性能比較プラットフォームにおいても高評価を得ている。検索性能を競うSearch Arenaでは1位、テキスト処理性能を競うText Arenaでは8位にランクインし、他社モデルと比べてもトップクラスの実力を証明した。
このように、Grok 4 Fastは「知能密度(Intelligence Density)」が非常に高いモデルと位置付けられる。つまり、少ない思考量で効率的に高い性能を発揮できる点が最大の強みである。
Deep Insider編集長の一色です。こんにちは。
誰でも無料で利用できる「Grok Web版」(grok.com)やiOSアプリ/Androidアプリでは、既に全ユーザーが「Grok 4 Fast」を使えるようになっています。プロンプト入力欄の左下にあるモード選択から「Grok 4 Fast」(ベータ版)を選ぶだけです。なお、「自動(Auto)」モードを選んだ場合も、状況によっては自動的にGrok 4 Fastが使われます。
今回のGrok 4 Fast登場によって、Grokでは初めて無料ユーザーを含めて誰でも、回数制限なく最新モデルを使えるようになりました。ChatGPTやGeminiの無料版には1日や時間ごとの利用制限がありますが、Grok 4 Fastにはそれがありません。これをきっかけに、Grokを普段使いのAIとしてしばらく試してみるのも面白いと思います。ぜひその感想をSNSなどでお聞かせください。
また開発者向けには、LLMを統一的に扱えるAPIサービスのOpenRouterや、Vercel AI Gatewayを経由すれば、「Grok 4 Fast」を期間限定で無料利用できます(※終了時期は未公表です)。一方で、公式のxAI APIを直接利用する場合は有償となります。ただし、価格は(後述の価格表を基に試算すると)Grok 4と比べて93〜97%安く設定されており、「非常にお得」です。
さて、今回のリリース内容には、Grok 4 Fastが持つその他の特徴などの情報も含まれていた。これらを丁寧に解説すると長くなるので、残りは以下に箇条書きでまとめておく。
※価格については変更される可能性もあるので、厳密にはxAI公式ドキュメント「Models and Pricing」を参照してほしい。
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