機密データを守るセキュリティ・ガバナンス機能を持つ「Einstein Trust Layer」も決め手に。
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セールスフォース・ジャパンは2025年9月4日、LINEヤフーがカスタマーサポート業務にSalesforceの自律型AIエージェント「Agentforce」を採用したと発表した。「Yahoo! JAPAN」のヘルプページをはじめとする問い合わせ対応で利用することで、顧客体験の向上と運用効率化を目指すという。
LINEヤフーでは、メール、電話、チャットbotなど、マルチチャネルでYahoo! JAPANの各種サービスの問い合わせに対応するカスタマーサポートを提供。ユーザーごとに異なる問い合わせに対応するため、3年前から「Salesforce AI」を活用し、ケース分類の自動化、適切なオペレーターへの振り分けなど業務効率化を進めてきた。2024年にはSalesforceの生成AI機能を活用したメール自動返信も稼働。2025年6月末時点で月間約9000件の問い合わせの約8割以上に、初回回答でAIが的確に対応できる仕組みを構築している。
一方、Yahoo! JAPANのヘルプページの一部に置かれていた既存のチャットbotは定型的な応答に限られていたため、初回対応での解決率や顧客満足度、運用コストに課題があった。そこでAgentforceのPoC(概念実証)を実施。結果、月間30万件超の問い合わせ対応が可能な他、問題解決率の向上、運用効率化の効果が確認できたことから本格導入を決定したという。
AgentforceはSalesforceプラットフォーム上で自律型AIエージェントを構築、管理、展開できるツールセット。指定した役割や目的に基づいて「Sales Cloud」「Service Cloud」「Marketing Cloud」などのデータや、他システムに保存されているデータを使って複雑なタスクを自律的に処理できる。営業、マーケティング、カスタマーサポートなど多様な業務を支援するとして関心を集めている。
LINEヤフーでは、Agentforceの導入により、チャネルやツールごとに分散管理されていたナレッジをSalesforceのプラットフォームで統合的に活用できるようになることから、運用の負荷軽減と精度向上を見込んでいる。また、AIの支援によってチャットbotの会話シナリオ設計やメンテナンス工数を最少化できるため、「オペレーターがより戦略的な業務に集中できる体制が整う」と期待しているという。
なお、データを最小限保持して処理後に速やかに破棄する「ゼロデータリテンション」や個人情報など機密データを保護する「データマスキング」など、顧客データのプライバシーとセキュリティを保護するセキュリティ・ガバナンス機能を持つ「Einstein Trust Layer」や、AI活用計画策定から導入までの一貫した支援体制、24時間365日の安定稼働支援なども導入の決め手になったという。
LINEヤフーは「この統合基盤を活用し、より高度な問い合わせ対応や音声サポート、24時間365日のサービス体制の構築など、カスタマーサポートのさらなる充実を図っていく」とコメントしている。
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