AIエージェント導入はRPAの教訓なくして語れない? ノークリサーチが分析レポートを公開“全自動”幻想を解く

ノークリサーチは、AIエージェント提案のポイントに関する分析レポートを発表した。タスクの自動実行という点で共通点があるRPAと比較し、「RPAの失敗を繰り返さないことが重要だ」と指摘している。

» 2025年07月07日 08時00分 公開
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 ノークリサーチは2025年7月2日、「AIエージェントの提案ポイント」に関する分析レポートを発表した。これは同社がSIer(システムインテグレーター)の視点で、AI(人工知能)エージェントの導入を企業に勧める際に、どのような点に留意すべきかをまとめたものだ。

AIエージェントはRPAの再来?

 ノークリサーチは、AIエージェントとRPA(Robotic Process Automation)を比較している。これはRPAもAIエージェントも「タスクを自律的に実行する」という共通点があるからだ。

 同社の分析では、RPAが話題になった当初は業務効率化の手段として期待が集まったものの、RPAを活用するには「業務シナリオの定義」が不可欠で、そこで挫折した企業もあったという。そのため同社は「AIエージェント導入を推進するに当たって、RPAで経験した“業務シナリオ定義の課題”を繰り返さないことが重要だ」と指摘する。

 ノークリサーチはAIエージェントを「ユーザーとの自然な対話を通じて情報システムのタスクフローを実行または定義できるアプリケーション」としている。ただし、厳密には、タスクフローの実行のみ自動化可能で、定義は手動で実施する必要がある「広義のAIエージェント」と、タスクフローの実行に加えて定義も自動化する「狭義のAIエージェント」がある。

画像 ノークリサーチのAIエージェントの定義(提供:ノークリサーチ

 どちらのAIエージェントも、自然な対話を通じて指示できるという点で従来のRPAよりも柔軟性が高くなっているものの、特に広義のAIエージェントではRPAと同様にタスクフローの定義が必要だ。ノークリサーチは「この課題を対処しないと、AIエージェントもRPAと同じ障壁に直面する」と警告を鳴らす。

 そのためノークリサーチは、まず単発タスクでの生成AI活用の成功体験を積むというアプローチを提案する。生成AIで何ができるのか、どこまでAIに任せられるのか、誤情報や誤判断はないかといった点をユーザーが十分に経験できていなければ、複数のタスクをつなぐタスクフローを定義することは難しい。RPAの教訓をAIエージェント提案に生かすには、単発タスクからタスクフローへの段階的な提案を進めることが大切だと同社は述べている。

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