HDDのモデル別年間/生涯故障率が明らかに Backblazeが2025年第1四半期の調査結果を発表安定稼働する4TBドライブ、故障ゼロの4モデルなど

Backblazeは、2025年第1四半期の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。

» 2025年05月20日 08時00分 公開
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 クラウドストレージやクラウドバックアップサービスを提供するBackblazeは2025年5月13日(米国時間、以下同)、2025年第1四半期の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。

 2025年第1四半期末(3月31日)時点で、Backblazeは世界のデータセンターで31万2831台のドライブを管理していた。そのうち3970台が起動ドライブ(SSDとHDD)、30万8861台がデータドライブ(全てHDD)だ。同レポートではデータドライブに焦点を当て、2025年第1四半期における年間平均故障率(AFR:Annualized Failure Rate)と、2025年第1四半期末までの生涯AFRを報告している。

2025年第1四半期におけるHDDの故障率

 Backblazeは、従来のHDD統計レポートとは異なり、2025年第1四半期全体でモニタリングしていた31万8426台のHDDから、以下の593台を除いた31万7833台のHDDを分析し、これらを構成する30種類のモデル別に2025年第1四半期のAFRを算出した。

 除外された593台のドライブの内訳は以下の通り。

  • テスト目的で使用していたドライブ
  • 2025年第1四半期末にドライブの使用台数が100台に満たなかったモデル
  • 2025年第1四半期のドライブの総稼働日数(個々のドライブの稼働日数の合計)が1万日に満たなかったモデル
画像 2025年第1四半期におけるBackblazeのHDDのAFR ※Avg. Age(months):平均使用期間(月数)、Drive Days:総稼働日数、Drive Failures:故障件数(提供:Backblaze

置き換え間近な4TBドライブは引き続き安定稼働

 Backblazeは4TBドライブから20TB、22TB、24TBドライブへの置き換えを進めており、現在運用している4TBドライブは2モデルのみとなっている。一方のAFRは0%で、もう一方のAFRは0.34%だった。

20TB以上のモデルは低AFR

 20TB以上のドライブ全体では、AFRは平均0.72%となり、HDD全体のAFR(1.42%)よりも低かった。

4モデルが故障ゼロ

 2025年第1四半期には、4つのモデルで故障がなかった。その内訳は、HGSTの4TBモデル(HMS5C4040ALE640)、Seagate Technology(以下、Seagate)の8TBモデル(ST8000NM000A)、12TBモデル(ST12000NM000J)、14TBモデル(ST14000NM000J)だ。このうちSeagateの12TBモデル以外は、2024年第4四半期も故障がなかった。

AFRがわずかに上昇

 2025年第1四半期のAFRは1.42%となり、2024年第4四半期の1.35%からわずかに上昇した。2四半期連続でAFRが高かったモデルとして、以下が挙げられる。

モデル 2024年第4四半期AFR 2025年第1四半期AFR
Seagateの10TBモデル(ST10000NM0086) 5.72% 4.72%
HGSTの12TBモデル(HUH721212ALN604) 5.15% 4.97%
Seagateの12TBモデル(ST12000NM0007) 8.72% 9.47%
Seagateの14TBモデル(ST14000NM0138) 5.95% 6.82%

2025年第1四半期末までのHDD累積故障率

 Backblazeは、2025年第1四半期末時点でモニタリングしていたHDDから、以下のドライブを除いた31万2493台のHDDを分析し、これらを構成する26種類のモデル別に、2025年第1四半期末までの累積故障率(生涯AFR)を以下のように算出した。

 除外されたドライブの内訳は以下の通り。

  • テスト目的で使用していたドライブ
  • 2025年第1四半期末にドライブの使用台数が500台に満たなかったモデル
  • 2025年第1四半期末までのドライブの総稼働日数(個々のドライブの稼働日数の合計)が10万日に満たなかったモデル
画像 2025年第1四半期末までのBackblazeのHDDの生涯AFR(提供:Backblaze)

 全ドライブモデルの2025年第1四半期末までの生涯AFRは1.32%となり、2024年末までの生涯AFR(1.31%)からほぼ横ばいで推移した。

 ドライブモデル全体よりもはるかに低い生涯AFRを記録したモデルには、HGSTの4TBモデル(HMS5C4040BLE640)、12TBモデル(HUH721212ALE600)、Western Digital(WDC)の14TBモデル(WUH721414ALE6L4)、16TBモデル(WUH721816ALE6L4)などがある。

 一方、生涯AFRがドライブモデル全体よりもはるかに高かったモデルには、HGSTの12TBモデル(HUH721212ALN604)、Seagateの10TBモデル(ST10000NM0086)、12TBモデル(ST12000NM0007およびST12000NM000J)、14TBモデル(ST14000NM0138)などがある。

 また、分析対象ドライブの中で、2025年第1四半期末までの生涯AFRが2024年末までの生涯AFRよりも改善した(故障率が低下した)モデルは以下だ。

Mfg Model Size(TB) Drive Count Avg Age(Months) Drive Days Drive Failures 2025 1Q Lifetime AFR 2024 Lifetime AFR
Seagate ST12000NM000J 12 918 9.2 262,834 17 2.36% 3.29%
Toshiba MG07ACA14TEY 14 834 33.9 892,848 35 1.43% 1.52%
Toshiba MGI0ACA20TE 20 10,814 3.8 1,265,700 26 0.75% 0.87%
WDC WUH722222ALE6L4 22 34,857 7.3 7,736,601 197 0.93% 1.06%
2025年第1四半期末までの生涯AFRが、2024年末までの生涯AFRよりも改善した主なモデル ※リリース情報を基に編集部で一部加工

 同様に、分析対象ドライブの中で、2025年第1四半期末までの生涯AFRが悪化した(故障率が上昇した)モデルの主なものは、以下の通りだ。

Mfg Model Size(TB) Drive Count Avg Age(Months) Drive Days Drive Failures 2025 1Q Lifetime AFR 2024 Lifetime AFR
HGST HUH721212ALE604 12 13,435 44.6 19,179,335 763 1.45% 1.36%
HGST HUH721212ALN604 12 10,195 67.1 23,327,671 1,314 2.06% 1.94%
WDC WUH721414ALE6L4 14 8,615 49.5 13,198,175 175 0.48% 0.45%
WDC WUH721816ALE6L0 16 3,016 38.3 3,575,753 61 0.62% 0.55%
WDC WUH721816ALE6L4 16 26,529 23.1 18,772,383 189 0.37% 0.34%
2025年第1四半期末までの生涯AFRが、2024年末までの生涯AFRよりも悪化した主なモデル ※リリース情報を基に編集部で一部加工

 これらのうち、WDCの16TBモデル(WUH721816ALE6L0)は、生涯AFRが2024年末から0.07ポイント上昇し、この上昇幅はドライブ全体の中で3番目に大きかったが、それはあくまで相対的なもので、生涯AFR自体は最も低い部類に入る。

 HGSTの12TBモデル(HUH721212ALN604)は、平均使用期間が67.1カ月、つまり約5年半であり、生涯AFRは、バスタブ曲線によって定義される故障率の推移パターンをたどっているため、Backblazeは「問題視しない」としている。

 HGSTの12TBモデル(HUH721212ALE604)については「引き続き注視していくが、その生涯AFRはドライブモデル全体の数字に比較的近いため、悪化が続かなければ、それほど懸念しなくてもよい」Backblazeは述べている。

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