Backblazeは、2025年第1四半期の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。
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クラウドストレージやクラウドバックアップサービスを提供するBackblazeは2025年5月13日(米国時間、以下同)、2025年第1四半期の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。
2025年第1四半期末(3月31日)時点で、Backblazeは世界のデータセンターで31万2831台のドライブを管理していた。そのうち3970台が起動ドライブ(SSDとHDD)、30万8861台がデータドライブ(全てHDD)だ。同レポートではデータドライブに焦点を当て、2025年第1四半期における年間平均故障率(AFR:Annualized Failure Rate)と、2025年第1四半期末までの生涯AFRを報告している。
Backblazeは、従来のHDD統計レポートとは異なり、2025年第1四半期全体でモニタリングしていた31万8426台のHDDから、以下の593台を除いた31万7833台のHDDを分析し、これらを構成する30種類のモデル別に2025年第1四半期のAFRを算出した。
除外された593台のドライブの内訳は以下の通り。
Backblazeは4TBドライブから20TB、22TB、24TBドライブへの置き換えを進めており、現在運用している4TBドライブは2モデルのみとなっている。一方のAFRは0%で、もう一方のAFRは0.34%だった。
20TB以上のドライブ全体では、AFRは平均0.72%となり、HDD全体のAFR(1.42%)よりも低かった。
2025年第1四半期には、4つのモデルで故障がなかった。その内訳は、HGSTの4TBモデル(HMS5C4040ALE640)、Seagate Technology(以下、Seagate)の8TBモデル(ST8000NM000A)、12TBモデル(ST12000NM000J)、14TBモデル(ST14000NM000J)だ。このうちSeagateの12TBモデル以外は、2024年第4四半期も故障がなかった。
2025年第1四半期のAFRは1.42%となり、2024年第4四半期の1.35%からわずかに上昇した。2四半期連続でAFRが高かったモデルとして、以下が挙げられる。
モデル | 2024年第4四半期AFR | 2025年第1四半期AFR |
---|---|---|
Seagateの10TBモデル(ST10000NM0086) | 5.72% | 4.72% |
HGSTの12TBモデル(HUH721212ALN604) | 5.15% | 4.97% |
Seagateの12TBモデル(ST12000NM0007) | 8.72% | 9.47% |
Seagateの14TBモデル(ST14000NM0138) | 5.95% | 6.82% |
Backblazeは、2025年第1四半期末時点でモニタリングしていたHDDから、以下のドライブを除いた31万2493台のHDDを分析し、これらを構成する26種類のモデル別に、2025年第1四半期末までの累積故障率(生涯AFR)を以下のように算出した。
除外されたドライブの内訳は以下の通り。
全ドライブモデルの2025年第1四半期末までの生涯AFRは1.32%となり、2024年末までの生涯AFR(1.31%)からほぼ横ばいで推移した。
ドライブモデル全体よりもはるかに低い生涯AFRを記録したモデルには、HGSTの4TBモデル(HMS5C4040BLE640)、12TBモデル(HUH721212ALE600)、Western Digital(WDC)の14TBモデル(WUH721414ALE6L4)、16TBモデル(WUH721816ALE6L4)などがある。
一方、生涯AFRがドライブモデル全体よりもはるかに高かったモデルには、HGSTの12TBモデル(HUH721212ALN604)、Seagateの10TBモデル(ST10000NM0086)、12TBモデル(ST12000NM0007およびST12000NM000J)、14TBモデル(ST14000NM0138)などがある。
また、分析対象ドライブの中で、2025年第1四半期末までの生涯AFRが2024年末までの生涯AFRよりも改善した(故障率が低下した)モデルは以下だ。
Mfg | Model | Size(TB) | Drive Count | Avg Age(Months) | Drive Days | Drive Failures | 2025 1Q Lifetime AFR | 2024 Lifetime AFR |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Seagate | ST12000NM000J | 12 | 918 | 9.2 | 262,834 | 17 | 2.36% | 3.29% |
Toshiba | MG07ACA14TEY | 14 | 834 | 33.9 | 892,848 | 35 | 1.43% | 1.52% |
Toshiba | MGI0ACA20TE | 20 | 10,814 | 3.8 | 1,265,700 | 26 | 0.75% | 0.87% |
WDC | WUH722222ALE6L4 | 22 | 34,857 | 7.3 | 7,736,601 | 197 | 0.93% | 1.06% |
同様に、分析対象ドライブの中で、2025年第1四半期末までの生涯AFRが悪化した(故障率が上昇した)モデルの主なものは、以下の通りだ。
Mfg | Model | Size(TB) | Drive Count | Avg Age(Months) | Drive Days | Drive Failures | 2025 1Q Lifetime AFR | 2024 Lifetime AFR |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
HGST | HUH721212ALE604 | 12 | 13,435 | 44.6 | 19,179,335 | 763 | 1.45% | 1.36% |
HGST | HUH721212ALN604 | 12 | 10,195 | 67.1 | 23,327,671 | 1,314 | 2.06% | 1.94% |
WDC | WUH721414ALE6L4 | 14 | 8,615 | 49.5 | 13,198,175 | 175 | 0.48% | 0.45% |
WDC | WUH721816ALE6L0 | 16 | 3,016 | 38.3 | 3,575,753 | 61 | 0.62% | 0.55% |
WDC | WUH721816ALE6L4 | 16 | 26,529 | 23.1 | 18,772,383 | 189 | 0.37% | 0.34% |
これらのうち、WDCの16TBモデル(WUH721816ALE6L0)は、生涯AFRが2024年末から0.07ポイント上昇し、この上昇幅はドライブ全体の中で3番目に大きかったが、それはあくまで相対的なもので、生涯AFR自体は最も低い部類に入る。
HGSTの12TBモデル(HUH721212ALN604)は、平均使用期間が67.1カ月、つまり約5年半であり、生涯AFRは、バスタブ曲線によって定義される故障率の推移パターンをたどっているため、Backblazeは「問題視しない」としている。
HGSTの12TBモデル(HUH721212ALE604)については「引き続き注視していくが、その生涯AFRはドライブモデル全体の数字に比較的近いため、悪化が続かなければ、それほど懸念しなくてもよい」Backblazeは述べている。
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