約9割の企業がコンテナ環境を本番利用、一方で「開発チームとのカルチャーの変化」が課題に?Linux Foundation Japanが調査レポートを公開

Linux Foundation Japanは2025年5月14日、調査レポート「Cloud Native 2024:コード、クラウド、そして変革の10年に迫る」の日本語版を公開した。クラウドネイティブの導入状況やクラウドとコンテナの利用状況などについて分析している。

» 2025年05月19日 08時00分 公開
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 Linux Foundation Japanは2025年5月14日、「Cloud Native 2024:コード、クラウド、そして変革の10年に迫る」を公開した。Cloud Native Computing Foundation(CNCF)とLF Researchが発行した調査レポートの日本語版で、クラウドネイティブの導入状況や「Kubernetes」の普及範囲などについて分析している。

【お詫びと訂正:2025年5月20日追記】記事公開時、タイトルと本文で調査結果の一部を引用しておりましたが、調査結果と異なる表現にしており、関連性が分かりにくくなっておりました。お詫びして調査結果と同じ表現に訂正させていただきます。

約9割の企業が何かしらの形でクラウドネイティブを採用

 クラウドネイティブ技術の利用について見ると、最も多い回答は「開発とデプロイメントの大部分で同技術を使用している」で36%だった。一方、最も少ないのは「クラウドネイティブコンピューティング技術の使用を開始していない」で2%だった。

画像 クラウドネイティブ技術の導入状況(提供:Linux Foundation Japan

 クラウドネイティブを何かしらの形(一部、大部分、ほぼ全て)で採用している割合は合計で約90%となっており、Linux Foundation Japanは「あらゆる分野でクラウドネイティブの勢いが拡大していることを示している」と分析している。

 データセンターやパブリッククラウドなど、利用しているサービス内容を見ると、オンプレミスデータセンターとパブリッククラウドでほぼ均等に分かれており、どちらもセルフマネージドの利用に偏っていた(利用率はどちらも59%)。また、ハイブリッドクラウドは複数環境での導入率が高く、39%だった。

画像 クラウドとデータセンターの利用状況(提供:Linux Foundation Japan

 コンテナの使用状況を見ると、コンテナをプロダクション環境(サービスを提供する本番環境)で利用している割合は91%で、2023年調査の80%から11ポイント増加した。使用するコンテナの数も、2023年の平均1140個から今回の調査では同2341個に増えた。

 コンテナに関する課題については、2023年調査時は「セキュリティ」(42%)や「複雑さ」(38%)が上位に挙がったのに対して、2024年の調査では「開発チームとのカルチャーの変化」(46%)や「CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)」(40%)、「トレーニング不足」(38%)などが挙がった。

 「開発チームとのカルチャーの変化」の課題について同レポートでは「クラウドネイティブ技術が広まる中で、これまではセキュリティやネットワーク、ストレージ、監視(オブザーバビリティ)といった技術的な問題が大きな課題だった。だが、最近ではそうした技術的な壁は乗り越えつつあり、例えばプラットフォームエンジニアリングへの切り替えや『GitOps』の導入、システムの作り方をモノリシックからマイクロサービスへ変えるなど、組織の文化や働き方をどう変えていくかが大きな課題になっている」と解説している。

画像 コンテナユーザーの課題(提供:Linux Foundation Japan

 Kubernetesの利用状況については、本稼働環境での利用率は80%で、2023年調査の66%から14ポイント増加した。試験的に導入または積極的に評価している企業を加えると93%だった。また、クラウドネイティブやコンテナ化された環境でのアプリケーションの分離手法として急速に普及したNamespacesの採用率が、2023年調査から16ポイント増の88%となった。特にKubernetes環境でその普及傾向が顕著だった。

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