Remove-VMSwitchTeamMemberコマンドレット――Hyper-VのSETが有効化された仮想スイッチからネットワークアダプターを削除するWindows PowerShell基本Tips(134)

本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「Remove-VMSwitchTeamMember」コマンドレットを解説します。

» 2025年05月14日 05時00分 公開
[後藤諭史@IT]

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「Windows PowerShell基本Tips」のインデックス

連載目次

 本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、コンピュータ上で動作するHyper-VのSETが有効化された仮想スイッチから物理ネットワークアダプターを削除する「Remove-VMSwitchTeamMember」コマンドレットです。

Remove-VMSwitchTeamMemberコマンドレットとは?

 仮想スイッチに複数の物理ネットワークをアタッチし、物理ネットワーク接続を冗長化する「スイッチ埋め込みチーミング」(Switch Embedded Teaming:SET)ですが、物理ネットワークアダプターの追加は本連載第133回で紹介した「Add-VMSwitchTeamMember」コマンドレットで実施可能です。逆に物理ネットワークアダプターをSETが有効化された仮想スイッチから削除したい場合も考えられます。その場合、今回紹介するRemove-VMSwitchTeamMemberコマンドレットを使用します。

 SETが有効化された仮想スイッチから物理ネットワークアダプターを削除するというシナリオはあまり考えられませんが、いざというときのために本コマンドレットの使用方法は押さえておきましょう。

【注】Remove-VMSwitchTeamMemberは「Windows PowerShell用Hyper-Vモジュール」に含まれるコマンドレットとなります。GUIの「Windowsの機能の有効化」や「役割と機能の追加」からHyper-Vを有効化するか、PowerShellから「Enable-WindowsOptionalFeature」コマンドレットを使用して有効化します。


Remove-VMSwitchTeamMemberコマンドレットの書式

Remove-VMSwitchTeamMember [オプション]


Remove-VMSwitchTeamMemberコマンドレットの主なオプション

オプション 意味
-VMSwitchName 物理ネットワークアダプターを削除するSETが有効化された仮想スイッチの名前を指定する
-ComputerName リモートのHyper-VホストのSETが有効化された仮想スイッチから物理ネットワークアダプターを削除する場合に対象のコンピュータ名を指定する。省略可能
-NetAdapterName SETが有効化された仮想スイッチから削除する物理ネットワークアダプター名を指定する。「-NetAdapterInterfaceDescription」オプションを使用する場合は省略可能
-NetAdapterInterfaceDescription SETが有効化された仮想スイッチから削除する物理ネットワークアダプターのデバイス名を指定する。「-NetAdapterName」オプションを使用する場合は省略可能

SETが有効化された仮想スイッチから物理ネットワークアダプターを削除する

 SETが有効化された仮想スイッチから物理ネットワークアダプターを削除する場合、削除対象の仮想スイッチ名を「-VMSwitchName」オプションに、削除する物理ネットワークアダプター名を「-NetAdapterName」オプションに指定してRemove-VMSwitchTeamMemberコマンドレットを実行することで、SETが有効化された仮想スイッチから指定された物理ネットワークアダプターを削除できます(画面1)。なお、Remove-VMSwitchTeamMemberコマンドレットは管理者権限での実行が必要となります。

コマンドレット実行例

Remove-VMSwitchTeamMember -VMSwitchName "External TeamSwitch" -NetAdapterName "イーサネット 3"

ALT 画面1 ローカルのHyper-VホストのSETが有効化された仮想スイッチから「イーサネット 3」を削除した

 画面1では、Remove-VMSwitchTeamMemberコマンドレットの実行前後で、本連載第131回で紹介した「Get-VMSwitchTeam」コマンドレットを使用してアタッチされている物理ネットワークアダプターを確認しています。実行後に「Intel(R) PRO/1000 PT Dual Port Server Adapter #2」が削除され、「Intel(R) PRO/1000 PT Dual Port Server Adapter」のみになっていることが分かります。

 なお、「-NetAdapterName」オプションを使用して物理ネットワークアダプター名を指定する代わりに、物理ネットワークアダプターのデバイス名を使用することもできます(画面2)。

コマンドレット実行例

Remove-VMSwitchTeamMember -VMSwitchName "External TeamSwitch" -NetAdapterInterfaceDescription "Intel(R) PRO/1000 PT Dual Port Server Adapter #2"

ALT 画面2 「-NetAdapterInterfaceDescription」オプションを使用することで、物理ネットワークアダプターのデバイス名を指定できる

SETが有効化された仮想スイッチから物理ネットワークアダプターを削除した際の影響

 SETが有効化された仮想スイッチに接続された仮想マシンからの通信は、分散アルゴリズムに従ってアタッチされている物理ネットワークアダプターに分散されて物理ネットワークへ送信されます。

 Remove-VMSwitchTeamMemberコマンドレットでSETが有効化された仮想スイッチから物理ネットワークアダプターを削除すると、その物理ネットワークアダプターに分散されていた仮想マシンのパケットは、当然のことながら別の物理ネットワークアダプターに再振り分けされます。仮想マシンから見た場合、通信経路が変更されたことになるので、影響が気になるところです。

 筆者の環境で「Ping」コマンドを使用して確認したところ、画面3のようにPingの応答遅延は見られたものの、通信断が発生するような明確な通信障害は観測されませんでした。

ALT 画面3 Remove-VMSwitchTeamMemberコマンドレットで物理ネットワークアダプターを削除したところ、Pingレベルでは仮想マシンで若干の遅延が確認されたものの通信断は発生していない

 本結果はあくまでも単純なL2構成のネットワーク環境下におけるPingでの簡易検証の結果です。運用環境で実施する場合には、事前検証で通信影響を見極めた上で作業を実施してください。

筆者紹介

後藤 諭史(ごとう さとし)

Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management(2012-2025)。現業の傍ら、コミュニティーイベントでの登壇や著作にてMicrosoftテクノロジーに関する技術情報の発信、共有を続けている。ネットワークやハードウェアといった物理層に近いところが大好きな、昔ながらのインフラ屋さん。得意技はケーブル整線。近著は『詳解! Windows Server仮想ネットワーク』(日経BP社)。


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