Add-VMSwitchTeamMemberコマンドレット――Hyper-VのSETが有効化された仮想スイッチにネットワークアダプターを追加する：Windows PowerShell基本Tips（133）

本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「Add-VMSwitchTeamMember」コマンドレットを解説します。

» 2025年05月13日 05時00分公開

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　本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、コンピュータ上で動作するHyper-VのSETが有効化された仮想スイッチに、物理ネットワークアダプターを追加する「Add-VMSwitchTeamMember」コマンドレットです。

実行例

SETが有効化された仮想スイッチに物理ネットワークアダプターを追加する

Add-VMSwitchTeamMemberコマンドレットとは？

　仮想スイッチの物理ネットワーク接続の冗長化手法として「スイッチ埋め込みチーミング」（Switch Embedded Teaming：SET）が使用可能であることは、本連載第131回の「Get-VMSwitchTeam」コマンドレットで解説した通りです。

　物理ネットワーク接続を冗長化する場合、SETが有効化された仮想スイッチにアタッチする物理ネットワークアダプターは、当然のことながら複数となります。

　本連載第127回で紹介した「New-VMSwitch」コマンドレットを使用して、仮想スイッチを新規作成する場合、「-NetAdapterName」オプションでネットワークアダプターを複数指定することで、新規作成時に複数の物理ネットワークアダプターをアタッチできます。しかし、運用開始後に物理ネットワークアダプターを追加したいというニーズもあるでしょう。

　SETが有効化された仮想スイッチを作り直すことなく、物理ネットワークアダプターを追加するのがAdd-VMSwitchTeamMemberコマンドレットです。

　SETが有効化された仮想スイッチは、最大8つの物理ネットワークアダプターで構成可能です。ネットワーク帯域確保のためにネットワークアダプターを追加する場合に備え、本コマンドレットの使用方法を押さえておきましょう。

【注】Add-VMSwitchTeamMemberは「Windows PowerShell用Hyper-Vモジュール」に含まれるコマンドレットとなります。GUIの「Windowsの機能の有効化」や「役割と機能の追加」からHyper-Vを有効化するか、PowerShellから「Enable-WindowsOptionalFeature」コマンドレットを使用して有効化します。

Add-VMSwitchTeamMemberコマンドレットの書式

Add-VMSwitchTeamMember [オプション]

Add-VMSwitchTeamMemberコマンドレットの主なオプション


オプション	意味
-VMSwitchName	物理ネットワークアダプターを追加するSETが有効化された仮想スイッチの名前を指定する
-ComputerName	リモートのHyper-VホストのSETが有効化された仮想スイッチに物理ネットワークアダプターを追加する場合に対象のコンピュータ名を指定する。省略可能
-NetAdapterName	SETが有効化された仮想スイッチに追加する物理ネットワークアダプター名を指定する。「-NetAdapterInterfaceDescription」オプションを使用する場合は省略可能
-NetAdapterInterfaceDescription	SETが有効化された仮想スイッチに追加する物理ネットワークアダプターのデバイス名を指定する。「-NetAdapterName」オプションを使用する場合は省略可能

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SETが有効化された仮想スイッチに物理ネットワークアダプターを追加する

　SETが有効化された仮想スイッチに物理ネットワークアダプターを追加する場合、追加対象の仮想スイッチ名を「-VMSwitchName」オプションに、追加する物理ネットワークアダプター名を「-NetAdapterName」オプションに指定してAdd-VMSwitchTeamMemberコマンドレットを実行することで、SETが有効化された仮想スイッチに物理ネットワークアダプターを追加できます（画面1）。なお、Add-VMSwitchTeamMemberコマンドレットは管理者権限での実行が必要となります。

コマンドレット実行例

Add-VMSwitchTeamMember -VMSwitchName "External TeamSwitch" -NetAdapterName "イーサネット 3"

画面1　ローカルのHyper-VホストのSETが有効化された仮想スイッチに「イーサネット 3」を追加した

　画面1では、Add-VMSwitchTeamMemberコマンドレットの実行前後で、Get-VMSwitchTeamコマンドレットを使用してアタッチされている物理ネットワークアダプターを確認しています。実行前は「Intel(R) PRO/1000 PT Dual Port Server Adapter」だけだった物理ネットワークアダプターが、実行後には「Intel(R) PRO/1000 PT Dual Port Server Adapter #2」も追加されていることが分かります。

　なお、画面1では物理ネットワークアダプター名を指定するために「-NetAdapterName」オプションを使用しましたが、物理ネットワークアダプターのデバイス名を使用することもできます（画面2）。

コマンドレット実行例

Add-VMSwitchTeamMember -VMSwitchName "External TeamSwitch" -NetAdapterInterfaceDescription "Intel(R) PRO/1000 PT Dual Port Server Adapter #2"

画面2　「-NetAdapterInterfaceDescription」オプションを使用することで、物理ネットワークアダプターのデバイス名を指定できる

　しかし、「-NetAdapterInterfaceDescription」オプションを使用する場合は、コマンドレットのオプション指定が長くなってしまうので、「-NetAdapterName」オプションを使用する方が無難でしょう。

筆者紹介

後藤諭史（ごとうさとし）

Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management（2012-2025）。現業の傍ら、コミュニティーイベントでの登壇や著作にてMicrosoftテクノロジーに関する技術情報の発信、共有を続けている。ネットワークやハードウェアといった物理層に近いところが大好きな、昔ながらのインフラ屋さん。得意技はケーブル整線。近著は『詳解! Windows Server仮想ネットワーク』（日経BP社）。