AWS、AIエージェントとの統合を支援する9つのMCPサーバを「AWS MCP Servers」として公開 オープンソースで提供開始ドキュメントやフレームワークの参照、「AWS CDKコード」の自動作成に対応

Amazon Web Servicesは、AIエージェントとの統合を支援する9つのMCPサーバを「AWS MCP Servers」としてオープンソースで公開した。クラウドインフラの設計や実装、コスト分析やナレッジベースの活用まで、時間と労力を要した作業を大幅に効率化するという。

» 2025年04月22日 08時00分 公開
[@IT]

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 Amazon Web Services(AWS)は2025年4月1日(米国時間、以下同)、AI(人工知能)エージェント(MCPクライアント)との統合を支援する9つのMCP(Model Context Protocol)サーバを「AWS MCP Servers」としてオープンソースで公開した。

 AWS MCP Serversは、複数のMCPサーバで構築されており、互いに連携してAWSに関する包括的な知識や機能をAIエージェントに提供する。

 AWSは、AWS MCP Serversで公開されている各種MCPサーバの利用方法やユースケースを開発者向けに解説するブログエントリを同日公開した。

 「AWSの経験が豊富な開発者でも、クラウド初心者でも、AIコーディングアシスタントを活用することで、複雑なサービス構成、Infrastructure as Code(IaC)の実装、ナレッジベース統合といった共通課題をどう解決できるか理解できるようになる」と、AWSは述べている。

 AWS MCP Serversで利用可能なMCPサーバは以下の通り。

9つのMCPサーバはAWS開発者にどう役立つ?

Core MCP Server

 AI処理パイプライン機能を提供し、AWS MCP Serversの中心として機能する基盤サーバ。AWSソリューション構築のための明確な計画策定を支援し、必要に応じて他のMCPサーバと連携する。

AWS Documentation MCP Server

 AWSのドキュメントやベストプラクティスへのアクセスに特化したMCPサーバ。公式APIを用いたAWSのドキュメント検索、AWSドキュメントページのコンテンツレコメンド、ドキュメントのMarkdown変換に対応する。

Amazon Bedrock Knowledge Bases Retrieval MCP Server

 Amazon Bedrockナレッジベースへのシームレスなアクセスを可能にするMCPサーバ。開発者が自然言語で企業のナレッジベースを検索したり、データソース別に結果をフィルタリングしたり、関連性を高めるための再ランク付けを実行したりできる。

 このMCP Serverを利用することで、社内データから取得したコンテキストをコードアシスタントに直接提供できるようになる。

AWS CDK MCP Server

 ソリューション全体をデプロイするためのAWS CDKコードを生成するMCPサーバ。オープンソースの検証ツール「cdk-nag」を自動的に実行し、潜在的なセキュリティ問題を特定する他、指摘事項に対する修正手順も提供する。これにより「AWS Well-Architected」に準拠したAWS CDKコードを実装できるという。

Cost Analysis MCP Server

 AWSサービスのコストを分析し、包括的なコスト分析レポートを生成するMCPサーバ。開発者はアーキテクチャの選択による金銭的影響を理解し、コスト効率を最適化できるようになる。

Amazon Nova Canvas MCP Server

 「Amazon Bedrock」経由で「Amazon Nova Canvas」を使用して画像を生成するMCPサーバ。テキストプロンプトやカラーパレットからビジュアルを作成できる。モックアップ、図解、UI設計コンセプトなどのユースケースを支援する。

 画像生成のためのプロンプトガイドも含まれており、MCPクライアント側でより適切な画像を生成できるよう、プロンプトの作成段階から支援する。

AWS Diagram MCP Server

 Pythonの「diagrams」パッケージを使用して、AWSのアーキテクチャ図やシーケンス図、フローチャート、クラス図をシームレスに作成するMCPサーバ。図の外観、レイアウトのカスタマイズにも対応する。

AWS Lambda MCP Server

 MCPクライアントとAWS Lambda関数の間の橋渡し役として機能するMCPサーバ。MCPクライアントがLambda関数を実行できるようにする。

AWS Terraform MCP Server

 AWS環境におけるTerraformのベストプラクティスを提供するMCPサーバ。Terraformワークフローの実行、「Checkov」との統合によるIaCコードのセキュリティスキャンに対応する。

これらのAWS MCP Serversを利用するには?

 AWS MCP Serversを利用するには、以下の条件を満たしている必要がある。

  • 「uv」(パッケージマネジャー)の導入
  • 「uv python install 3.13」によるPythonのインストール
  • 適切な権限を持つAWS認証情報
  • MCP互換のLLM(大規模言語モデル)クライアント(「Claude for Desktop」「Cline」「Amazon Q CLI」「Cursor」など)

 AWS MCP Serversは、GitHubまたはPyPIパッケージマネジャーからダウンロードできる。MCPクライアントでこれらのMCP Serverを使用するには、以下のように設定する。

# Install and setup the MCP servers
{
  "mcpServers": {
    "awslabs-core-mcp-server": {
      "command": "uvx",
      "args": ["awslabs.core-mcp-server@latest"],
      "env": {
        "FASTMCP_LOG_LEVEL": "ERROR",
        "MCP_SETTINGS_PATH": "path to your mcp server settings"
      },
      "autoApprove": [],
      "disabled": false
    },
    "awslabs-bedrock-kb-retrieval-mcp-server": {
      "command": "uvx",
      "args": ["awslabs.bedrock-kb-retrieval-mcp-server@latest"],
      "env": {
        "AWS_PROFILE": "your-aws-profile",
        "AWS_REGION": "us-east-1"
      }
    },
    "awslabs-cdk-mcp-server": {
      "command": "uvx",
      "args": ["awslabs.cdk-mcp-server@latest"],
      "env": {
        "FASTMCP_LOG_LEVEL": "ERROR"
      }
    },
    "awslabs-cost-analysis-mcp-server": {
      "command": "uvx",
      "args": ["awslabs.cost-analysis-mcp-server@latest"],
      "env": {
        "AWS_PROFILE": "your-aws-profile",
        "FASTMCP_LOG_LEVEL": "ERROR"
      }
    },
    "awslabs-nova-canvas-mcp-server": {
      "command": "uvx",
      "args": ["awslabs.nova-canvas-mcp-server@latest"],
      "env": {
        "AWS_PROFILE": "your-aws-profile",
        "AWS_REGION": "us-east-1"
      }
    }
  }
}
MCPクライアント側にMCPサーバを追加するイメージ(提供:AWS)

 「AWS MCP Serversを活用すれば、通常は数日かかる調査や実装が数分で完了し、品質、セキュリティ、コスト効率の面でも手作業による開発を上回る結果を得ることができる」と、AWSは述べている。

MCPサーバを活用する開発者向けのガイドライン

 AWSは、MCPサーバを活用する開発者に対し、セキュリティとコード品質を維持するため、以下のガイドラインを順守するよう呼び掛けている。

  • デプロイ前に必ず生成されたコードをセキュリティ面から確認すること
  • MCPサーバはあくまでアクセラレータとして活用し、開発者の判断力や専門性の代替としないこと
  • MCPサーバを常に最新のAWSセキュリティベストプラクティスの状態に保つこと
  • AWS認証情報の設定は、最小権限の原則に従って構成すること
  • 生成されたインフラコードに対してセキュリティスキャンツールを実行すること

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