RPAのUiPathが、AIエージェントを業務自動化プロセスに組み込めるオーケストレーションツールを国内発表した。場合によっては複数のAIエージェントをロボットや人と組み合わせ、高度な自動化ができるという。
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RPA(業務プロセス自動化)で知られてきたUiPathが、AIエージェントに対応したオーケストレーションツール「UiPath Agentic Orchestration(UiPath Maestro)」(以下、Maestro)を国内発表した。同社の会計年度で2025年第2四半期中に提供を開始する。
UiPathには以前から中核機能として、自動的にIT処理を行うロボットをつなぎ合わせて業務プロセスをデザインできるオーケストレーター「UiPath Orchestrator」があるが、Maestroはこれとは別製品。AIエージェントを含めたオーケストレーションの設計、実装、運用、最適化が容易にできるツールとして位置付けられている。
Maestroでは、「ロボット」「AIエージェント」「人」を組み合わせた自動化ワークフローを設計して実行し、監視できる。従来のRPAと同様、部門をまたいだ業務プロセスの自動化には特に役立つという。
設計では、BPMN 2.0準拠のフローチャートが描ける。運用では実行状況を監視し、リアルタイムで分析できる。プロセスの逸脱やボトルネックなどを特定し、改善策を講じられる。
Maestroのワークフローに組み込めるAIエージェントとしては、UiPathが提供する構築済みのものやサードパーティーのものが使える。ユーザー側がエージェントを構築できる機能も備わっている。
では、RPAにAIエージェントを組み込むことで、具体的には何ができるようになるのか。
基本的にはロボットが定型的な処理を行うのに対し、AIエージェントではよりインテリジェントな処理や判断を実行できる。AIエージェントだけだとブラックボックス化しやすいが、ロボットと組み合わせれば機能の制御や検証がしやすくなるという。
UiPathプロダクトマーケティング部部長の夏目健氏は、ローン審査を例に説明した。
まず、ロボットがローン申請への入力をチェックして受け付ける。次に別のロボットが内容に基づいてリスク分析を行う。これを受けてAIエージェントが適格性評価を行い、人間がレビューして最終的な承認あるいは却下を行う。
UiPathではまた、業務分野別に下のようなユースケースが考えられると説明している。
UiPathのRPAでは、さまざまな業務アプリケーションベンダーと連携してきた。そうしたベンダーは自社製品へのAIエージェント機能の実装を急いでいる。例えば、Salesforceは「Agentforce」を展開中だ。Maestroはこれとどういう関係になるのだろうか。
「Agentforceは、Salesforce内のデータに関するさまざまなアクションに価値がある。これにUiPathやサードパーティーのエージェントを組み合わせることで、より高度な業務プロセスの自動化を実現できる」(夏目氏)
例えばAgentforceでは、顧客の購入履歴のコンタクト状況などの情報を整理し、出力する。また、UiPathや他社のAIエージェントが、別システムにある自社製品情報、提案アプローチ戦略、過去の提案のベストプラクティスなどを取得する一方、Webの市場関連情報を入手する。こうした情報を、UiPath上のAIエージェントが総合的に理解し、対象顧客に対するアプローチ戦略や、有効なコンテンツを提案する、といったことができるとする。
他社のAIエージェントと対立するものではなく、場合によっては複数のAIエージェントを活用し、これらをロボットや人と組み合わせた業務プロセスを構築して実行を管理したり、人のチェックによるガードレールを機能させたりするのがMaestroの役割だという。
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