リクルートマネジメントソリューションズは「上司・部下間コミュニケーションに関する実態調査」の結果を発表した。すれ違いなどの実態が明らかになり、同社はテレワーク環境下で管理職と一般社員のコミュニケーションを円滑にする3つの方法を提案する。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
リクルートマネジメントソリューションズは2021年2月24日、「上司・部下間コミュニケーションに関する実態調査」の結果を発表した。今回の調査は、テレワーク環境下でのコミュニケーションに焦点を当てたもので、コミュニケーションのすれ違いなどの実態が明らかになった。
調査では、どういったコミュニケーションを重視しているかについて調べた。総じて管理職の方がコミュニケーションの重要度を高く認識しており、特に「期待をかけていることを伝える」「貢献に対して感謝する」「心身の健康状態について話をする」「意見やアイデアを求める」などを重要視していることが分かった。
管理職と一般社員が、それぞれ十分にコミュニケーションできていると認識していることを比較すると、管理職の方で「認識度合い」が高いのは「仕事の意味についての説明」「期待をかけていることを伝える」「貢献に対して感謝する」「会社や自部署の長期的な目標について話す」「意見やアイデアを求める」ことだった。
それに対し、一般社員の方で認識度合いが高いのは「間違いや足りない点の指摘」「世間話やプライベートに関する雑談」だった。この結果からリクルートマネジメントソリューションズは「どちらが認識できているかにかかわらず、差がある点で相手に十分に伝わっていない恐れがある」と考察している。
次に、テレワーク環境下において一般社員が直属の上司に言いたかったのに言えなかったことを聞いたところ「対面で話せないことでうまく伝えられない」「リマインドをしづらい」「なんとなく出社してしまっている」などが挙がった。それに対して管理職が部下に言うべきだったのに言えなかったこととしては、「微妙なニュアンスを気にして対面でないと言いづらいことがある」と回答した。
言いたかった、あるいは言うべきだったのに言えなかった理由は、一般社員と管理職のいずれも、「相手の気分を害するから」「話すタイミングがなかったから」「気軽に声をかけづらいから」が多かった。
ただし、テレワークについては、一般社員の方が管理職よりもポジティブに考えている傾向にあった。一般社員はテレワークによって「対人関係のストレスが減る」と感じ、「テレワークがもっと普及するといい」と考えているのに対して、管理職は「会社への愛着を感じにくくなる」「仕事の自己管理能力が求められる」ことを懸念し、「発想を広げたり、アイデアを出し合ったりするのが難しい」「気持ちを察した上でのコミュニケーションが難しい」といった点に課題があると考えていた。
この調査結果を受け、リクルートマネジメントソリューションズは「テレワーク環境下で管理職と一般社員のコミュニケーションを円滑にする3つの方法」を提案している。
1つ目は「コミュニケーションに対する互いの期待をすり合わせる」こと。テレワーク環境下では、管理職と一般社員で、立場の違いによるコミュニケーションのすれ違いが生じることがある。その中でコミュニケーションを円滑に進めるためには、互いの期待をより意識し、すり合わせることが必要だとリクルートマネジメントソリューションズはいう。
2つ目は「コミュニケーションの重要度を高めるための土台を整える」こと。今回の調査で、管理職と一般社員のどちらについても、コミュニケーションの重要度の認識には「相手に対する評価や信頼」「自律的に仕事が行われる程度」「職場の心理的安全性の認識」などがポジティブな影響を与えていることが分かった。リクルートマネジメントソリューションズは、これらの要素を整えることがコミュニケーションの改善に役立つとしている。
3つ目は「ネガティブフィードバックの難しさを認識した上で、先送りせず丁寧にコミュニケーションする」こと。今回の調査で、立場にかかわらず、テレワークでネガティブな内容を伝えることにちゅうちょする実態が明らかになった。一般社員は相談や考えを上司に伝えるタイミングが捉えづらく、管理職は部下の反応を見ながら微妙なニュアンスを伝えることが難しいと感じている。リクルートマネジメントソリューションズは「管理職は気軽に相談できる機会を設ける必要がある」と指摘している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.