年収向上戦術 仕事をしていれば生き残れるが、作業をしていれば淘汰されるという話プログラミングは仕事か作業か(2/2 ページ)

» 2021年02月08日 05時00分 公開
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仕事と作業の話

 ここでいう「仕事」とは、創造的な行為を指します。新商品の企画や改善活動、業務プロセスの見直しなどは仕事です。クライアントから要件を聞き出したり代替案を提案したりといった活動には、創造的な考えや調整ごとが求められます。

 また、クライアントからの要望を理解するためには、当該分野の業務知識が必要です。この知識を習得するのも、広義では仕事と呼びます。発展性があるからです。

 それに対して「作業」は、同じことの繰り返しが求められます。ルーティンワークともいわれます。早く正確にアウトプットすることが求められます。

 決められたルールに従って繰り返し行う作業の中に、思考を巡らせるプロセスはあまりありません。例えば、本番サーバにアクセスするためのセキュリティ申請のルールがあり、上司の承認が必要だったとしましょう。その申請行為や上司による承認行為は作業であって、仕事ではありません。月末の報告資料作成や月初のパフォーマンス確認なども作業です。

 仕事と作業は連動していますが、全くの別物です。

 一般的に、作業よりも仕事の方が時間単価が高いのです。作業よりも仕事の方が、はるかに頭を使うからです。作業者が極力頭を使わなくてもいいようにルールを決めたり関係者と調整をしたりするのが、仕事です。そこで決められたルールに従い、愚直に繰り返すのが作業です。

仕事をする力

 ロボットは作業が得意で、仕事が苦手です。新しい企画を考えたり、他者と調整したりはすることはできません。ここに高収入へのヒントがあります。人間は、人間にしかできないことに集中するのです。人間にできてロボットにできないこと、それは「創造と調整」です。仕事とは創造と調整の連続なのです。

 エンジニアにとって悲しい話かもしれませんが、極論をいえばプログラミングも作業の一つです。誰にでもできる簡単な作業だとは言いませんが、誰にでもできる簡単な作業へと徐々に変化しつつあります。

 ノーコード開発などがそれに当たります。今までは業務上の課題解決策を要件として定義し、仕様書に落とし込んで、プログラミングをしていたわけです。しかしこれからは、仕様に落とし込んだらシステムが実装できてしまうでしょうし、時代が進めば、要件定義をした瞬間に実装できるかもしれません。

 一昔前はオフショア開発がはやりました。単価の安い海外エンジニアにプログラミングをアウトソーシングしていたわけです。そして現在はノーコード開発が注目されています。オフショア開発がうまくいった企業は少ないように感じますし、ノーコード開発もうまくいくかどうか分かりません。今すぐにエンジニアが不要になるとも思えません。

 ただ、確実にいえるのは、プログラミングは作業であると経営陣に認識されてしまっているということです。それはすなわち、プログラミングだけでは高年収が望めないことを意味しています。

仕事の割合を増やす方法

 一つ付け加えると、仕事の重要性が分かったからといって、作業をおろそかにしていいわけではありません。

 特に若い時期は作業ばかり命じられると思いますが、ここで手を抜くのはご法度です。やりたくないからと作業をやらないでいると、評価が下がるだけです。だからといって作業ばかりをやっていては、いつまでも次のステージに進めません。

 大切なのはバランスです。少しずつ作業の割合を減らし、仕事の割合を増やしていくのです。

 仕事の割合を増やす方法は、シンプルです。積極的に仕事に参加すればいいのです。

 受け身でいると作業しか回ってきません。作業が入り込む余地がないほど仕事で埋め尽くし、そこで結果を出し続ければ、自然と仕事の割合を増やせます。年収を上げるとはそういうことの繰り返しなのです。

アフターコロナのエンジニアに必要なスキルまとめ

 アフターコロナのエンジニアは、テクニカルスキルだけではなく、ビジネススキルも必要になります。なぜならば、テクニカルな部分はどんどん作業へと落とし込まれていくからです。

 テクニカルスキルは作る時代から使う時代へと変わっています。ノーコード開発などがインフラ整備されていき、ITスキルが全くなくてもシステムを構築できるようになると、事業部門がライバルになり、今までの考え方しかできないエンジニアは不要となってしまいます。

 今後、テクニカルスキルのみを追求するのであれば、世界トップレベルが求められます。

 新しいプログラム言語を開発するなどの方面に伸ばしていくしかありません。それはそれで修羅の世界です。経営を知り、業務を知り、ITを知り、クライアントの要望を低コストでITデザインしていく。これからはコーディネーター的な生き方が求められると思います。



 次回(2021年2月15日掲載)は事例編。ぼくの体験を共有します。

筆者プロフィール

勝ち逃げ先生

勝ち逃げ先生

ベンチャー企業、派遣企業、大手製造業社内SEと渡り歩き、現在は外資系IT企業で働くITコンサルタント。体脂肪率8%の細マッチョでもある。

エンジニアライフ「ITエンジニアの高年収戦略



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