――オンプレミスへのBigQuery Omniの展開については、どう考えていますか?
サハ氏 顧客ニーズ次第です。技術的には実現可能ですし、顧客からの需要があり、ビジネス的に成り立つのであれば考えます。今のところは計画していません。
――しかし、ガバナンスなどの理由で、クラウドにそのままの形で出したくないデータを社内に持っている組織は多いので、需要は確実にあるのではないでしょうか?
サハ氏 そうしたこともあり得るとは思います。ただし今のところ、他のクラウドでBigQueryを使いたいという顧客が多数存在していて、私たちにとっては大きなビジネス機会となっています。そこで、オンプレミス環境に対応する前に、こちらに集中したいと思います。
――他に、どのようなデータ関連サービスをマルチクラウドで動かしたいと考えていますか?
サハ氏 それはとてもいい質問です。当社では、「マルチクラウドに未来がある」と考えています。そこで、他のサービスについても、マルチクラウド環境で動かせるかどうかを検討しています。今、このインタビューで発表できるものはありません。ただ、「Dataflow」「Dataproc」「Cloud Data Fusion」など、さまざまなプロダクトについて検討しています。最終的には、顧客ニーズに基づき、他のクラウドへの展開を判断することになります。
――いい機会ですので、Google Cloudのデータアナリティクス戦略全般について教えてください。現在、どういった点に力を注いでいますか?
サハ氏 データはGoogleのDNAです。社内のデータ分析プラットフォームはGoogleにおけるあらゆるプロダクトを支えていて、延べユーザー数は数十億人に達します。これを広く一般に提供しているのがGoogle Cloudです。
Google Cloudは、「クラウド上のアナリティクス基盤として、最も包括的な機能を提供する存在」だと言えます。データの収集から処理、保存/管理、分析、洞察にまたがって、最高レベルの製品群を持っています。BigQueryは、そのいい例です。
――サハさんはGoogle Cloudへ転職する前、AWSで活躍していたとのことですが、Google Cloudにできて、AWSにできないことには何があるでしょうか?
サハ氏 AWSとGoogle Cloudを直接に比較することはしたくありませんが、次のことは言えます。
BigQueryは、クラウド型のデータウェアハウスサービスとして最高だと確信しています。「Looker」も、最高のBIソリューションだと考えています。特にこのツールはマルチクラウド対応しているという点を指摘したいと思います。
また、多くの顧客が活用しているストリーミングアナリティクスに関しては、Dataflowが市場における最高のプロダクトだと考えています。「Google Ads」「YouTube」「Google Nest」などのパイプラインに使われてきており、拡張性や洗練度といった点で、他に比べるものがない存在だと確信しています。
BigQueryに話を戻すと、これはクラウドデータウェアハウスで唯一の、サーバレス型製品です。使い勝手に関しては、次の3つの点で優れています。
1つ目は、リアルタイム分析における優位性です。BigQueryのストレージエンジンでは、ストリーミングデータを取り込みながら、瞬時に分析対象とすることができます。
2つ目は、BigQuery MLです。データアナリストが新たな知識を習得することなしに、機械学習をデータに適用できます。
3つ目は、アナリティクスの民主化です。BigQueryはSQLでアクセスできる他、LookerやTableauのようなツールからも使えます。また、「Connected Sheets」という機能を通じて、スプレッドシートからも利用できます。さらに「Data Q&A」では、自然言語で問い合わせができます。
使い勝手以外にデータアナリティクス基盤で重要なポイントは、利用できるデータ自体にあります。GCP上には多数のパブリックなデータセットがあり、その多くはBigQueryで管理されています。また、コネクタを通じて、サードパーティーのデータソースとの幅広い連携を行っています。多様なデータを即座に活用できることが、データ基盤の価値を高めています。
最後に指摘したいのは、データ分析をビジネスに直結させることができるかという点です。組織がデータを真に活用するためには、ビジネス上の質問に対する直接的な答えを、即座に得られなければなりません。そこでGoogle Cloudでは、ツールやデータの上にさまざまなビジネスソリューションを構築しています。
GCP上でのデータアナリティクス関連サービスの利用は、急速に成長しています。そこで私はGCPと、私自身の担当分野であるデータアナリティクスサービスの今後を、とても楽しみに思っています。
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