これを開発現場の言葉に置き換えると、「アジャイル」「スクラム」「DevSecOps」であり、「マイクロサービス化」「ドメイン駆動設計(DDD)」「テスト駆動開発(TDD)」だという。ただし、アジャイル一辺倒ではなく、品質評価がしやすいウォーターフォール型の良さも生かすという。スクラムは、国内外の多拠点にまたがって実践していく。
さらに、今後も次々に登場する新たなITに追随し、即座に活用してサービスに組み込んで提供できるようにするため、システムをクラウドで稼働する。
みんなの銀行は、勘定系から情報系/一般業務システムまで、全てをクラウドで構築する「クラウドネイティブバンク」だ。
「Google Cloud Platform(GCP)」を中核としながら、「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Salesforce.com」など、さまざまなクラウドサービスの「良いところをつまみ食い」していくという。
勘定系システムは、グローバルなOLTPを実現するGCPの「Cloud Spanner」をデータベースに使い、コンテナサービスの「Google Kubernetes Engine(GKE)」を活用したソリューションをベースとしている。
みんなの銀行としてのGCP採用においても、Cloud SpannerとGKE(Kubernetes)が決め手となっているという。
「既存のメジャーなリレーショナルデータベースを使った場合、日本の東西に展開しても、どちらかが『正』でどちらかが『副』ということにしかならない。一方Cloud Spannerでは、東西どちらも勘定元帳として両現用で機能する」
その上で、GKEによるコンテナ環境をAPI基盤として活用することで、疎結合により機能の機動的な追加、拡張、オートスケーリングができるようにしている。
ゼロバンク・デザインファクトリーでは、高度なスキルを備えたエンジニアが、上記のように機動性や柔軟性、スピードを重視した開発を進めているという。
一方で、銀行という事業の性格上、ITガバナンスの確保も不可欠。そこで、ITガバナンスのチームをアプリケーション開発チームと対等な立場で配備している。相互に役割を分担し、アプリケーション開発者がガバナンスに足を引っ張られることなく実力を発揮してキャリア形成ができるように図っていくという。
「みんなの銀行設立準備会社とゼロバンク・デザインファクトリーには、銀行業やWebサービスなど、さまざまな業界の経験者が集結し、それぞれの良い経験を生かし、悪い経験は捨てる形で、スタートアップとして事業を作り上げている」と宮本氏は話している。
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