2019年にサポートが終了する主なMicrosoft製品をピックアップします。もし利用中の製品がある場合は、できるだけ早く何らかのアクションを開始してください。
「Microsoft Application Virtualization(App-V)」はアプリケーション仮想化ソフトウェアであり、Officeのクイック実行(C2R)形式のベースになったものです(以前は「SoftGrid」と呼ばれていました)。Windows XP SP2、Vista、Windows 7に対応したApp-V 4.5 SP2のサポートが2019年1月8日に終了します。しかし、システム要件が同じApp-V 4.6 SP3は、2020年7月14日までサポートされますし、Windows 7以降向けのApp-V 5.0/5.1は2023年1月10日までサポートされます。
ただし、Windows 10 バージョン1607以降、App-Vは「UE-V(User Experience Virtualization)」とともにWindows 10 Enterprise/Educationの機能として組み込まれたことに注意が必要です。Windows 8.1以前でApp-Vを利用していた環境をWindows 10に移行する場合は、EnterpriseまたはEducationエディションに移行しない限り、App-Vを利用できなくなります。
2019年1月8日に「Windows Embedded Standard 2009」、2019年4月9日に「Windows Embedded POSReady 2009」のサポートが終了します。いずれも、Windows XPベースの組み込み向けOSであり、Windows Embedded POSReady 2009はWindows XPベースの最後のOSになります。古い組み込みシステムでは、これらのOSが利用されている場合があるため、サポート終了の社会的な影響は大きいかもしれません。
また、Windows Embedded POSReady 2009向けセキュリティ更新プログラムを、正規とはいえない方法でWindows XPにインストールして延命するという話を聞いたことがあります。もうすぐそんなお忍び生活も終わりを告げます。これらのOSのサポート終了により、ようやくWindows XPは完全に姿を消すことになります。永遠にさようなら、XP!
2019年4月9日、Windows 10 バージョン1607のサポートが全エディションで完全に終了します。Windows 10 バージョン1709(Fall Creators Update)については、Enterprise/Educationエディションを除く、一般ユーザー向けのサポートが終了します。
現在、Windows Updateや「Windows Server Update Services(WSUS)」で配布されたり、Microsoft Updateサイトでダウンロード提供されたりする更新プログラムは、「Secure Hash Algorithm 1(SHA-1)」と「Secure Hash Algorithm 2(SHA-2、SHA256など)」の2つのコード署名証明書を用いてデジタル署名され、保護(改ざんがないことを証明)されています(画面3)。
 画面3 SHA-1のデジタル署名は2019年7月までに完全に廃止される。Windows 7 SP1、Windows Server 2008 R2 SP1、Windows Server 2008 SP2は2019年3月までの更新プログラムが重要に
画面3 SHA-1のデジタル署名は2019年7月までに完全に廃止される。Windows 7 SP1、Windows Server 2008 R2 SP1、Windows Server 2008 SP2は2019年3月までの更新プログラムが重要にMicrosoftは2019年7月までに、更新プログラムにおける段階的にSHA-1の使用を廃止し、SHA-2に完全移行する予定です。Windows 7 SP1、Windows Server 2008 R2 SP1、Windows Server 2008 SP2といったレガシーなOSは、2019年2月後半のマンスリーロールアップのプレビューまたは2019年3月の第二火曜日のマンスリーロールアップがインストール済みでない場合、2019年4月以降の更新プログラムを受け取れなくなる予定です。
また、WSUS 3.0 SP2向けのSHA-2サポートの更新プログラムが、2019年2月に提供される予定です。その他の新しいWindowsについては、SHA-1廃止の影響を受けることはありません。詳しくは、以下のサポート情報をご覧ください。
「SQL Server 2008/2008 R2」のサポート終了は、2019年で企業への影響が最も大きいものになるでしょう。多くのSQL Server 2008/2008 R2が稼働しているであろうWindows Server 2008/2008 R2のサポート終了は、もう少し先の2020年1月14日に控えています。これらの環境がある企業は、すぐにでも移行作業を開始すべきです。日本マイクロソフトはパートナー各社とともに「サーバー移行支援センター」を設立し、移行を推進しています(画面3)。
時間的に今からでは間に合わないかもしれませんが、解決策の一つは、クラウド(Microsoft Azure)への“リフト&シフト”による移行です。Microsoftは、Azure上のSQL Server 2008/2008 R2およびWindows Server 2008/2008 R2に対して、製品サポート終了後も最大3年間「延長セキュリティ更新(Extended Security Updates:ESU)」を無料提供します(オンプレミス向けには有料のもの)。取りあえず、Azureにそのまま上げて、追加で得た最大3年間で新しい環境に移行するのです。
「Microsoft iSCSI Software Target 3.3」は、Windows Server 2008 R2向けに単体のコンポーネントとして無料提供された、ソフトウェアベースのiSCSIターゲットです。これを利用すると、専用ストレージシステムを導入することなく、ソフトウェアベースでWindows Serverのストレージを「記憶域ネットワーク(SAN)」としてTCP/IPネットワーク上に公開でき、クライアントのiSCSIイニシエーターから接続することができます。iSCSIターゲットは、Windows Server 2012以降はファイルサービスの機能として標準搭載されました。
無料で便利だから気軽に導入し、そのまま利用を継続してきたものの、それがMicrosoft iSCSI Software Target 3.3であるということを忘れている場合があるかもしれません。しかしながら、Windows Server 2008 R2のサポートはすぐ先の2020年1月14日に控えているので、Microsoft iSCSI Software Target 3.3のサポート終了について苦慮する必要はないと思います(もちろん、Windows Server 2008 R2のサポート終了への対処は必要です)。
2019年10月8日、「Windows 10 バージョン1703」のサポートが全エディションで完全に終了します。10年間の長期サポートが提供されるLTSB(Long Term Servicing Branch:長期サービスブランチ)/LTSC(Log Term Servicing Channel:長期サービスチャネル)を含めれば、Windows 10 バージョン1511(OSビルド10586)に続いて、OSビルドとして完全にサポートされなくなる2つ目のバージョン(OSビルド15063)ということになります。
なお、Windows 10 バージョン1803(April 2018 Update)のEnterprise/Educationエディションを除く一般向けサポートの終了が1カ月ずれて見えるのは、Windows 10 バージョン1803が2018年4月30日(日本では5月1日)まで延びた影響です。
Windows 10は、PC、スマートフォン、ゲーム、HoloLens、IoT(Internet of Things)などのさまざまな種類のデバイスに、共通のプラットフォームを提供する統合OSとして登場しました。これは「OneCore」と呼ばれました。
「Windows 10 Mobile」はOneCoreの一翼を担っていたOSですが、その最後のバージョン1709(2017年10月リリース)のサポートが2019年12月10日に終了します。筆者はとうとう、Windows 10 Mobileを搭載したデバイスに一度も触れることはありませんでした(実は筆者はスマートフォンさえ持ったことがないのですが……)。そんな筆者はサポート終了の影響についてよく知りません。しかし、Windows 10との親和性に期待して導入した企業もあるではないでしょうか。既に他社のデバイスに乗り換えていることを願っています。
2020年1月早々、Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2、そしてWindows 7 SP1のサポートが終了します。
ところで、2018年と2019年(2020年1月14日まで)には「Microsoft Office」のサポート終了の話は登場しませんでした。Windows版Officeは、2017年10年10日に「Office 2007」のサポートが終了しました。次にサポートが終了するのは、2020年10月13日の「Office 2010」です。
一方、Mac版Officeは、2017年10月10日に「Office 2011 for Mac」のサポートが終了しました。次にサポートが終了するのは、2020年10月13日の「Office 2016 for Mac」になります。10年(5年のメインストリーム+5年の延長)のサポートが提供されますが、Mac製品はコンシューマー向けという扱い(5年のメインストリームのみ)です。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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